アメリカの研究所で
増殖力の高い危険な肉腫細胞を
普通の筋肉細胞に変化させる技術が
開発されたという記事📰
癌の治療と言えば
腫瘍を手術で取り除いたり
抗がん剤などで
がん細胞を体から排除するのが主流
しかし
がん細胞は殺されそうになると
普通の細胞に擬態して免疫の目を欺いたり
一時的に無毒化して攻撃から逃れるなど
主流の方法で完全に抹殺するのは難しいものです
今回注目されている新たな方法とは
がん細胞たちに癌を辞めて
普通の細胞に戻ってもらう方法
体に巣食う悪者(がん細胞)たちに
健全な職場を斡旋し
普通の人(普通の細胞)たちになってもらう
そんな例えで説明されていました

がん細胞はしぶとく
無理矢理排除しようとしてもうまくいきません
でも、もし普通の細胞に戻れたなら
がん細胞も抹殺ではなく生存を約束され
体だって健康を取り戻せる
先ず研究所で立てられた仮説は
「ある遺伝子を破壊すれば
がん細胞が普通の細胞に戻るはず」
というもの
がん化は遺伝子の突然変異が
原因であることが判明しています
それならば理論上
逆にがん化を解除する変異も
存在する可能性がある
そこで研究者たちは
がん細胞の遺伝子を1つずつ破壊していき
普通の細胞に戻るかどうかを確かめる
地道な作業を繰り返し
核転写因子Y(NF-Y)と呼ばれる遺伝子を
破壊したところ
普通の筋肉細胞に変化し
さらに筋肉に変わった肉腫細胞たちは
がんとしての性質を
全て失っていることも判明したそうです

ただ本来のNF-Yの役割は
遺伝子の活性度を制御する「調節役」にあるため
研究では
NF-Yがどんな遺伝子の調節を行っているかを
追加で調査し
未熟な細胞を筋肉細胞に分化させる
「PAX3‐FOXO1」と呼ばれる遺伝子を
活性化させる作用があると
判明したのですって

これまでの研究で
無限に増殖する能力を持つ多くのがん細胞は
体内にある未熟な細胞ががん化したものと
考えられています
体内でちゃんとした役割を担う
分化細胞(職業)についていないがために
無分別な活動につながっていたとすれば
彼らに成長を促すことで
がん細胞から足を洗って
筋肉細胞という堅気になってもらおう
と言うお話なのね

研究者たちは今回の研究結果が
肉腫細胞以外の他の種類のがん細胞に対しても
普通の細胞に戻す方法を探索するのに
役立つ可能性があると述べています
そう遠くない未来に
がんの種類に合わせて普通細胞に変化させる
がん細胞の“転職”薬が開発されるかもしれない
そうなれば
癌は怖い病気じゃなくなりますね



研究内容の詳細は
2023年8月28日に『PNAS』に掲載されました
https://nazology.net/archives/133296