『ミッション:インポッシブル』など
スパイもののシリーズを
立て続けに観たりしていたから
タイトルに惹かれて視聴した
『83歳のやさしいスパイ』
老人ホームに入居中の母親が
盗難や虐待の被害を受けているのではないか
と疑う娘さんの依頼を受け
80歳以上のスパイアルバイトを募集
そこに応募してきた
83歳のセルヒオを入居者として潜入させ
3ヶ月間調査活動をするその様子を撮った
ドキュメンタリー映画です
使い慣れないスマホでのビデオ通話
ペンやメガネに仕込まれたカメラでの撮影など
スパイ道具を駆使しながら
《ターゲット》の様子を伺ううちに
「目立たないように」と
言われていたにもかかわらず
セルヒオの紳士的な態度や
心優しい人柄によって
入居後2日目にして一躍
ホームの人気者になってしまいます

実はこの映画
舞台となる老人ホームの許可を得てはいますが
入居者の方々には
セルヒオの正体を明かさず
3ヶ月間に渡って撮影されたもので
私自身
ドキュメンタリーとは知らずに観ていたので
ご年配の方々があんなに
“セリフ”を覚えて言えるものなのか
と思って感心していたのですが
観終わってからドキュメンタリーと知って
また違った感動を覚えました

あの素敵な老婦人たちの言葉は
セリフではなく
ご本人による真実の声(言葉)なのだ
そう思ったら
急に涙がこぼれました
家族の誰も面会に来ず
他者を気遣いながらも
寂しい思いと孤独に不安を抱える姿は
他人事ではないですから

第17回ラテンビート映画祭や
第33回東京国際映画祭では
「老人スパイ」のタイトルで上映され
第93回アカデミー賞では
長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた
素敵な作品です
