先日2度目の朗読クラスに参加
テキストは
『雪女』

ある日山奥へと入った親子は
吹雪に見舞われ
近くの山小屋に避難します

いつの間にか寝入った息子・巳之吉が
ふと目を覚ますと
色の白い美しい女が
父親に息を吹きかけ凍らせてしまいます

そして巳之吉に
「お前はまだ若いから生かしておく
だが今夜見た事を母親や他者に話したら
その時は命はないものと思え」
そう言って消えていきます

それからしばらく後
巳之吉の前に
お雪という色白のたいそう美しい娘が現れ
やがて夫婦となり
10人もの子宝に恵まれます

ある晩
歳月を経ても変わらぬ美しさを持つ
お雪を見ていて
巳之吉はかつての山小屋での出来事を
話し始めます

するとたちまちお雪は豹変し
自分がその雪女であること
子どもたちのために
巳之吉の命は奪わないが
子どもたちの身に何かあれば
その時は容赦はしないと言って消え去り
二度と現れなかった

というお話です

今回は情景を描写する文章と
登場人物のセリフ部分の読み方に注目し
巳之吉が雪女の話をしてしまう下りから
お雪が豹変し発したセリフを
ひとりひとり読みました

例え同じ文章でも
読み手毎の解釈は異なりますから
それが個性になります

発想を飛ばし想像力を膨らませると
これまで平坦に読んでいた文もセリフも
見違えるほど彩りが出て
鮮やかになりました

先生の説明や
他の生徒さんの朗読を聞きながら
私はいつもの癖の「何故?」という
箇所を見つけ出します虫めがね

原作には細かい説明もないことから
とにかく自由にイメージ出来るので

①雪女は何故雪女になったのか?
②山小屋で何故“母親”と言ったのか?
③巳之吉が雪女の話を始めた時に
何故止めるのではなく
「話を聞かせて」と言ったのか?

この3つの何故に注目した私

①鬼滅の刃を見ていると
人間が鬼になった経緯が描かれていたことから
雪女ももとは普通の女性だったのが
よほど男運が悪かったのか
さんざん男に裏切られ傷つけられたため
雪女と化し
殺す相手も
女性ではなく男性限定だったのではないか

②あえて母親の存在を出すところを見ると
実は雪女は巳之吉の事を
山小屋で出会う前から
知っていたのではないか

③かつての約束をわかっていながら
山小屋での出来事を話すように促すのは
10人もの子をもうけたからこそ
巳之吉なら「これ以上は話せない」と
言ってくれるのではないか
その反面
約束を破れば今の幸せは手放すこととなり
期待と不安の入り交じる気持ちで
「話を聞かせて」と言ったのではないか

約束を破った巳之吉に対し
正体を明かした雪女が
これほどまでに愛した男性に
また裏切られた悔しさや悲しみは
いかほどのものだったのかと想像し

《業》と言うか《宿命》と言うか
哀れな運命にとても切なくなりました

そこでお雪のセリフを
悔しくて悲しくて
それでも巳之吉を
恨めしくても憎めない思いで読んだら
自然と声が震え
強弱、高低、遅速などの変化を
頭で考えずに出せました


朗読、面白いニヤリ