お休み前夜に
映画『12モンキーズ』を観て
ちょっと心が重くなり
このままじゃ眠れないと思って観たのが
『つみきのいえ』

第81回
アカデミー短編アニメーション賞受賞
この賞を受賞した初の日本映画で
この他にも
2008年に
アヌシー国際アニメーション映画祭で
最高賞となる
アヌシー・クリスタル賞と
こども審査員賞
第12回
広島国際アニメーションフェスティバル
ヒロシマ賞と観客賞
第12回
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門
大賞
など国内外10の映画祭で
14の賞を受賞している名作です

海面が上昇したことで
ほとんどの家々が水没したある町に
一人で暮らす老人
海面が上昇する度に上へ上へと
家を建て増しし
積み木のような形の家の
今の居住スペースはワンルーム
部屋の中から釣糸を垂らし
魚を釣ってはパイプを燻らせ
穏やかに過ごしています
ある日お気に入りのパイプを
家の底(海中)へ落としてしまい
それを拾うため
ダイビングスーツに身を包み
下へと潜っていきます
下の部屋には今は亡き妻のベッド
その下の部屋には
娘一家と過ごしたソファ
さらに下の部屋では
まだ幼かった娘が積み木で遊んだ思い出が
一番下の部屋にたどり着き
外から見上げた家は
ワンルームから始まって
家族が増える毎に部屋の数も増え
また老夫婦二人になると
部屋数が減りワンルームへ
愛する妻と二人で築いたその家は
まわりに誰も住まなくなった今でも
やはり離れがたく
大切な思い出が詰まっています
脚本を担当した平田研也さんは
地球温暖化の問題をアピールすべきと
アドバイスしたそうなのですが
作画・監督の加藤久仁生さんは
「どんな過酷な環境にあっても
人は生きていかねばならない」
と言って
主人公の老人の生活を淡々と描くことで
人生というものを象徴的に表現し
観た人たちが
人生の中で大切にしているものや
過ぎ去ってしまったものに対して
どのような姿勢をとるのか
考えるきっかけになる作品にしたかったと
御自身のイメージを貫いたそうです
この作品にはセリフは一切ありません
映像とBGMだけで
物語が進んでいきます
だからこそ
観た人の数だけ
捉え方も様々なのでしょう
私はホロリと涙をこぼした
とても好きな作品でした
