女優・八千草薫さんが逝去




学生の頃
毎年欠かさず
両親宛に八千草薫さんご夫妻から
年賀状が届いているのを
不思議に思って尋ねたら

両親がロンドンに住んでいた頃
八千草さんと
映画監督の谷口千吉さんの
イギリス滞在中の
お世話をしたご縁があるのだと
聞かせてもらいました

もう何十年も前のことです

その後
私が東宝現代劇養成所を卒業する直前に
八千草さん主演の舞台
『花影の花』に
出演する機会をいただき
親子揃ってご縁が生まれました

それ以降は
私宛にも毎年、年賀状をくださるほど
お気遣いの細やかな方で

ある年の
銀座みゆき館劇場という
小さな劇場での舞台に出演した時

大変お忙しい中でしたのに
劇場までお越しくださり
カーテンコールまで
席を立たずに
いらしてくださった事があって

その時にいただいたプレゼントは
あまりに光栄で
一度も使えずにいます




テレビドラマ「やすらぎの刻」を
がん治療に専念するために降板した
という報道を目にし
お見舞いのお手紙を出したところ

今年の3月に
お手紙の返事を頂戴していました

文面も肉筆も
八千草さんらしい柔らかさで
またお元気な姿を拝見できるものと
心待ちにしていたのですが

本当に残念でなりません


いつも穏やかでたおやか
とても丁寧で
素晴らしい方

“女”性としても“優”れた
まさに女優
いらっしゃいました

心よりご冥福を
お祈り申し上げます