7月が終わりますね。私は一通り授業内試験が終わってホッと溜息をついています。

 

今回の話は面白かったです。

教師との掛け合いに生徒との掛け合い、そしてテーマも。

 

 

 

全体的な感想

今回の話は「盗撮」「セクハラ」の問題を軸に物語が展開した感じ。序盤と終盤を使って本筋が動いた感じだけど、同じようにして物語の流れも動いた感じ。面白いです。
前者の問題は学校のみならず、社会的にかつ今なお残る問題だからテーマになるのは良いんだけど、教師によるセクハラ問題は昨今において大問題化されているので後者の問題は特に注力を入れて書きたいと思います。
 

盗撮

物語の前半は盗撮問題。ここの手際はスムーズだったし、本筋を使ってでのミスリードも上手かった。
おかげで嶋田が赤嶺中学校に入り込んだ目的も分かったし、これからどういう物語が形成していくのか楽しみになってきました。
 
一応解説しておくと、ここで明らかになった目的としては、嶋田は赤嶺中学校が隠している不祥事について知りたがっている、どころかそれをひっくり返そうとしていることが目的らしい。そこに彼と関係にあった、亡き人の小川香里の死とその不祥事が大きく関わっていると言うのが彼の見通し。まあ、刑事の勘ってやつでしょう。元捜査一課の切れ者としては凄く良い見立てだと思います。
 
話を盗撮の問題に戻します。
体育館裏で盗撮されていた映像が三村翔子の活躍? によってそれが違法動画サイトに投稿されていたことが判明、すぐに嶋田はサイバー班に連絡して同時期に関係者に報告。そこでなぜ浅村先生が出てきたのかは不明だけど、恐らく自分から望んだことなんじゃないのかな……。前回と今回の話で、微弱だけど彼女のキャラに変化が見られている感じ。自分の手で真相を解き明かして、生徒を助けたいって言う気持ち。彼女らしくて良いと思います。
 
警察のサイバー班は優秀です。結果すぐに投稿元が判明、そこから赤嶺中にいる女子生徒:今井莉緒が犯人と分かる。そこでの場面が印象的。彼女の担任であった澤田敦子が「何言ってるんですか嶋田さん。今井さん女の子ですよ」という台詞からするに、澤田先生はステレオタイプの人間なんだなって思うし、生徒を我が物にしようとしている人格の持ち主なんだなって。まあ要はクズってことにもなるし、優しいフリをしながら実は影で生徒の悪口を言っている。そんな教師の印象。その後の今井の「キモいですよね」という台詞もまた印象的。
 
同性を「好き」の対象にしてしまった中学生・高校生ってまだアイデンティティは無論形成されていないし、これからな部分も沢山あるからこそ、他の生徒と比較して「あれ、私/僕って普通じゃない……?」となりがち。偏見だけど、そうやってそのことを隠しがちだし、教師にもなかなか言いづらくなる。
 
まあ現実は結果論、今井莉緒が犯した盗撮映像は彼の兄によって不正にダビングされ、ネットサイトにあげられ……。身勝手な行動に彼女は塞ぎ込んで、マネージャーを辞めてしまうと言う結末に。
 
でも、そんな彼女に対して嶋田が言い放った台詞が救います。
「勘違いしてないか? 自分のこと特殊な人間だと思っているかも知れないが、お前みたいなヤツはこの世の中にごまんといるからな」
同性愛って一見マイノリティーと思われがちだけど、それはメディアの影響を受けているだけ。少し考えてみれば、同性愛の人達って無論大昔にも存在していたと思うし、カミングアウトしてメディアという表舞台に出ている人達以外にも絶対にいる。これだけは断言しておきたいけど、同性愛はマイノリティーではない。絶対に。そう思い込んでいる人達はきっとメディアの死角に飲み込まれているだけであり、あまり考えていない人達。
 
かくして今井莉緒はマネージャーに復帰しましたとさ。めでたしめでたし。
 

セクハラ問題

物語後半に語られるセクハラ問題。近年世間的にも、教育的にも大問題化しているこの問題。上手く取り上げているよなぁって感心して見てました。
 
「盗撮」から発覚するセクハラ問題は物語構造を上手く取り扱っている証拠にもなるし、そこからの登場人物たちとの掛け合いもあるから面白いし、そこから発せられる台詞もまた重要な論点も含んでいるので尚更面白い。
 
例えば、中華料理店での場面。柴田先生がハラスメント認定について語っていたけど、確かに難しい。被害者と加害者に対し話を聞くのが普通なんだけど、そこで加害者が被害者のことを労るようなことを言ったら一気に難しくなる。
 
例としてわいせつ問題を取り上げてみよう。ある会社において、AさんはBさんを毎日のように呼んで会議室でわいせつ行為をしていた。そのことは生憎会社内部では知らされておらず、AさんはBさんを好んでいるという噂が広まります。そこでCさんの登場。その二人を調べようと、会議室に入るBさんの後をつけます。そうすると、AさんがBさんに対してわいせつ行為をしている光景を目撃、そのことが社内に一気に広がります。
 
時間の問題により、すぐに社内で起こったわいせつ問題は上層部による調査が始まり、問題の有無を確認します。そこで加害者であったAさんが「同意の上だった」と主張されれば、被害者のBさんが何を言おうがハラスメント、ここではセクハラ認定が難しくなります。
 
だけどこれはあくまで言葉によるものであり、具体的な証拠が無かったらの話。
澤田先生が逮捕された後に嶋田の行動が示唆していたと思うけど、ハラスメントである具体的な証拠があれば、加害者がどんな言い分を述べようが場合によっては逮捕状が出る可能性があるし、実際に逮捕されたら職務を追放されかねない事態になる。このことを睨んで、嶋田はあの部屋に盗撮カメラを仕掛けておいたのです。
 
ちなみに、あの場合の盗撮は違法行為ではないです。証拠になります。(ややこしくなるのでカット)
 
あと後半で思ったこととして、嶋田の澤田先生に対する態度。初めは普通の教師として接していた彼だったけど、澤田が犯人と分かれば態度は一変して容赦無く手錠を嵌めるような態度になる。
さすがは元捜査一課の切れ者かなと思ったんだけど、逆の見方をすれば一種の伏線とも捉えられる。
 
一般の見方をすれば「さすが警察だ!!」としかならないと思うんだけど、創作の見方からすればちょっとだけ首を捻りたくなるような態度。今までの嶋田の態度から分かることなんだけど、犯罪者に対しては学生であろうとも容赦しない態度をとっているし、生徒や教師に対しては不干渉の立場を取り続けているどころか、少しだけ疑っている感じ。特に校長に対しては顕著なんだけど、序盤で盗聴のイヤホンをつける限り、校長には何かあるんだろうなって睨んでいるんだろうな。うん。
 

まとめ

こんな感じ。次回もまた重要な論点が含んでいるみたいだし、浅村先生のキャラ成長に拍車がかかる話のようだから期待しかないです。
ではまた。