百花の亡くなった日
その日までに記憶を徐々に掘り返す
ももか
パピヨンのおんなのこ
耳と尻尾とお尻が黒い
黒パピ
目の周りが茶色い逆パンダ逆たぬき
白黒パーティではなく
トライカラーだったか3色だとおもう
職場に突然よちよちパピヨンが
自動ドアを開けて飛び込んできた
飼い主さんが
薬を取りに来たのだったか
診察ではなかったので
連れてきちゃったみたいで
可愛さが極限で限界突破した
いぬ嫌い
ゆきこおばちゃんのいぬ
チワワのラッキーに追いかけられて
階段に逃げていた
ヤツは階段が登れない
ゆえに
おれは下僕扱いでよく抱っこでお運びした
仲悪いんじゃなくて
下僕だった
家来
ラッキーはおれをじぶんより下に
格付けしやがった
いぬは家族の一員になり
いちばんおさない家族をじぶんの下に認識するらしい
保護したり可愛がったり躾したり
鉄拳制裁として噛む吠える追いかける
ラッキーだけではない
百花は母を敬い
おれを
見下していた
おれにだけ尻尾は振らないと決めていて
なんて逆差別しやがるんだ
初対面で兄にお腹を出して服従した
兄に対してじんわり殺意が湧く
ずっと姉と妹みたいな
百花がおれを生かしてくれていて
命令されてごはんを用意し
水くれ
水入れは爪でカシャカシャすると
下僕が用意するものである
納豆は開けると直ぐに
振り返ると百花が居る
あたしのでしょ
はやくよこせ
みたいに
キラキラ見つめる
納豆のフィルムに3粒
残して指でぺちゃんこにつぶして
召し上がれ
フィルムを舐めて
百花さまご満悦
海苔すき
百花さまキラキラ見つめる
ちぎって召し上がれ
百花さま
上手に召し上がってご満悦
こんな感じ
トイレを上手に使えるまで
タオルがトイレ
トイレシーツを芸術的に細かく裂く技を駆使し
シゴトから帰宅するたび
がっくり
反応を見てなお毎日作品が築かれていく
ちっち
というとトイレに行ってできる子
終わると
拭け
はいご主人様
トイレットペーパーでぽんぽん
えーと
おれは可愛い愛犬を迎えたのでは
なかったのでしょうか
困惑
いぬって
こうか?
憧れたパピヨンとの優雅な生活
どこやねん
繁殖犬になるはずだった百花
うちに来る為になんか特殊能力お使いですか
みたいな
前振りの可愛いパピ子
後に友人の夫になるカレシがミニチュアダックスを飼っていて
お嫁さんでもおれが飼うか
と
ペットショップに
何故行く
いぬ嫌いだが
おかしい
なにか着々と
だれの企みだ
この子売り物じゃないの
でも売ってもいいよ〜
衝撃の出会いリターン図
パピヨンだああああああ
即決
即買
即契約
サンタモニカちゃん
うちのこになった〜
ミニチュアダックスのおんなのこは?
嫁は?
もはやすべてぶん投げ
よくある
おれの人生
わりと目的から遠くに着地して
途方に暮れる〜♬