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タッチの効果を検証した数々の研究データを再分析して、その本当の効果を明らかにした研究が発表されました!(Packheiser et al.,2024)
しかもNature Human behaviorに掲載された、今年掲載されたばかりのとても信頼できる研究です。
多くの研究データを再分析して得られた効果量は下の表の通りになりました。(参考:効果量とはサンプル数によらず、ある介入の効果の大きさや関連の強さを算出した数値で、0から1の値をとります。0.2以上0.5未満は小、0.5以上0.8未満は中程度、0.8以上は大とみなします)
タッチ(種類に関わらず)の効果として最も大きいのは疲労(ストレス)回復の効果で、0.78でした。惜しくも大には届きませんが十分な効果です。
それから興味深いのは、状態不安(0.64)や抑うつ(0.59)にも中程度の効果があることです。ちなみに心理療法による抑うつへの介入効果量の最頻値は0.5なので(Nordahl-Hansen et al,2024)、タッチにも心理療法と同等の効果があるのです!
タッチはすごい!
今回は①タッチの時間、②回数、③触れる部位の効果の検証結果について解説します。
およそ100本の信頼できる研究結果のみを対象として効果量を算出した結果・・
① 1回あたりのセッションの時間は平均すると20分が最も多く、それ以上長くても効果は増大しませんでした。逆に20分を超えるとストレスホルモンのコルチゾールがやや増えるようです。つまり心身の健康にとって、1回20分程度が最も効果を高めるようです。
② セッションの回数は研究により1回から40回までありましたが、回数増えるほど順調に心身ともに健康効果は増大しました。特に特性不安、抑うつ、痛みについては顕著に増大しました。ただし新生児を対象にした場合は10回程度が最大の効果でした。
③ 部位は腕や胴体よりも、頭部や顔の方が身体的健康への効果が大きいことがわかりました。また腕のタッチは心理面への効果が大きいこともわかりました。
つまり身体面の不調がある人には頭部や顔に、心理面の不調がある人には腕や胴体へのタッチが効果的ということでしょう。
つづく・・
詳しく知りたい方はNature Human Behaviourに掲載文があります
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写真は先日のプレ性教育講座で行ったタッチワーク