異世界 商人 | スキル向上委員会のブログ

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skill:スキル(熟練、技)をテーマに日常の出来事、ニュース、情報を主観的、客観的に考え話にしています。作家:愛崎好生・1億人のスキルー人生の参考書を執筆。人生のお役に立てば幸いです。

異世界商人

 

第2章
翌朝、再びダリオの仕事へ
マルタとの出会い
香水作りの基礎
条件提示
必要な材料と準備
トマとの交渉
初めての蒸留
原液の完成
アルコールの購入と帰路
魔物との遭遇
退路を選ぶ商人の判断
無事帰還

 

第2章
 

◆ 翌朝、再びダリオの仕事へ
朝だ。良く寝た。

30Gで朝食をして、ダリオさんに会いに行こう。

朝の光が窓から差し込み、鳥のさえずりが町を包んでいた。階下に降りると、すでに数人の宿泊客が朝食をとっている。
女将が出してくれたのはパンとチーズ、それに薄いスープ。質素だが30Gならこんなものだろう。

今日も泊まるなら同じ値段でいいよ。どうする?
ヨシオはパンを齧りながら考える。
しばらくこの町で商売をしてみるなら、拠点は必要だ。
100Gを追加で渡し、連泊の手続きを済ませた。
残りは340G。財布が本格的に悲鳴を上げている。

宿を出ると朝の空気が心地よかった。
広場を通り抜けて荷車のところへ向かうと、ダリオはすでに到着しており荷車に荷物を積み始めていた。

ヨシオを見て、おう、時間通りだな。感心感心。
今日は隣町のヴェルデまで行く。片道で半日ってとこだ。
ダリオが荷車を指差した。昨日より荷が増えている。

で、だ。お前さん商人だって言ってたろ。道中で何か売れそうなもん見つけたら拾っていいぞ。
ただし荷車には載せろ、手で持って歩くのは無しだ。……商人の目利きってやつ、見せてみろよ。

判りました。代金は日当500Gで後払いします。

良い品物を見つけたら買います。

ふんと鼻を鳴らして笑った。

商売する気満々じゃねえか。いいぞ、好きにしろ。
ただし荷の管理がおろそかになったら承知しねえからな。

小物や生活必需品を町で購入した。

二人は町を発ち、街道を東へと進んだ。
石畳の道はやがて土に変わり、木立が増えてくるにつれ空気もひんやりと湿り気を帯びてきた。
荷車の車輪が時折小石を跳ね上げ、そのたびにヨシオが手で押さえる。
ダリオは前方で馬を操りながら、時折ヨシオに話しかけてきた。

ふと道の脇に目をやり、

おい、あそこ。見えるか?

街道から少し外れた木陰に、紫色の花をつけた低木が群生していた。

あれはラベンダーナって花でな。この辺にしか自生しねえ。
花弁は香料の原料になるんだが、町で買うと1束200Gはする。
群生してりゃ束ごと採れるが、根こそぎは駄目だぞ。

確かに甘い香りが風に乗って漂ってきている。
ダリオは興味なさそうに前を向いたが、「拾っていい」とは言った。
つまり、これはヨシオへの試験でもあるのだろう。

タダで収獲できるなら、籠1杯摘んでいこうかな。

手綱を片手に持ち替えて振り返った。

籠なんかどこに……ああ、まあ手で持てる分なら構わねえよ。
ただし荷車から離れすぎるなよ、すぐ出発するからな。

ヨシオは荷車から手頃な空の木箱と籠を降ろし、ラベンダーナの群生地に駆け寄った。
紫の小花は枝先に密集して咲いており、手で丁寧に摘めば傷もつかない上質なものばかりだ。
夢中で摘んでいると、あっという間に木箱の半分ほどが紫で埋まった。
香りは濃厚で、手に移り香が残るほどだった。

戻ってきたヨシオと木箱を見て目を丸くした。

おいおい、そんなに摘んできたのか。根は残してあるだろうな?

確認するように木箱を覗き込んで、

……ほう。花の状態もいいな。潰れもほとんどねえ。やるじゃねえか。

ダリオの表情には素直な感心が見て取れた。
ラベンダーナを売る当てがあるのかと問いたげな目つきだったが、あえて口には出さなかった。

商人の領分には踏み込まない、という暗黙の了解らしい。
馬が小さくいなないて、馬車がゆっくりと動き出した。

ラベンダーナを煮詰めて、香水を造ればひと儲け出来る気がした。

手綱を握りながら横目でちらりとヨシオを見た。

香水か。そりゃあ当たりゃでかいが……蒸留器と設備がいるぞ。
ヴェルデの町に鍛冶屋はいるが、貸してくれるかどうかは別の話だ。

馬車は林道を進んでいく。木漏れ日が車輪に斑模様を落とし、鳥が頭上で騒がしく飛び立った。

少し間を置いて、

まあ、お前さんなりに伝手を探すんだな。俺の知り合いにマルタって薬師がいる。
ヴェルデに店を構えてる婆さんでな、香料の扱いに詳しい。紹介してやってもいいが……タダじゃねえぞ。

ダリオはそう言って前を向いた。金を取るのか恩を売るのか、その先は言わなかった。
林道の出口が見え始めており、遠方にはヴェルデの町らしき石造りの壁が陽炎の中に揺らめいていた。

マルタさんを紹介して下さい。

香水が作れたらダリオさんと商売できます。

口の端を持ち上げて、

話が早えじゃねえか。いいだろう、紹介してやる。

ただし条件がある。もし香水ができたら、最初の卸し先は俺だ。
ヴェルデじゃ香水は貴族向けの高級品でな、うまくいけば1瓶で1万Gは堅い。
独占させろとは言わねえが、優先権はもらう。

ヴェルデの門が近づいてきた。
町の規模はヨシオが最初にいた町より一回り大きく、門番も二人体制だ。
ダリオが顔見知りらしく軽く手を挙げると、すんなりと通過できた。

門をくぐってすぐ、通りの右側を指差した。

あの青い屋根の家がマルタの店だ。「マルタ薬房」って看板が出てる。昼過ぎなら大体いるはずだ。
荷車を商会の倉庫に届けてからでも、時間は十分にある。
マルタという薬師がどんな人物かは会ってみなければわからないが、香料に精通しているなら心強い味方になり得るだろう。

商談をするにしても、手土産の一つもないのは些か心許ない。

ラベンダーナの花をみやげにするか?
残りは香水にする方法を教えてもらい、日当で蒸留器をさがそう。

まずはダリオの荷降ろしを手伝い、商会の倉庫に荷を収めた。
倉庫の番人がラベンダーナの木箱にちらりと目をやったが、何も言わなかった。

よし、じゃあ今日の分だ。約束通り500G。

ダリオは革袋から銅貨を数えてヨシオに渡した。

あと、マルタの店はこの通りを真っ直ぐ行って左だ。……せいぜい上手くやれよ。

ダリオは馬車を引いて去っていった。
ヨシオは木箱からラベンダーナを数束選り分け、残りを荷車に残したまま、マルタの店へ向かった。

◆ マルタとの出会い
青い屋根のこじんまりとした店で、扉の前に乾燥ハーブの束が吊るされている。
「マルタ薬房」の文字は年季の入った木彫りのに刻まれていた。扉を叩くと、しばらくして中から声がした。
はいはい、ちょっと待っておくれ。

出てきたのは白髪をきっちり結い上げた小柄な老女だった。
背筋はしゃんと伸びているが、目元には深い皺が刻まれており、長い年月を生きてきた人間特有の重みがある。

ヨシオと手元のラベンダーナを交互に見て、わずかに目を細めた。

……ほう、ラベンダーナかい。いい色だね。それで、あたしに何の用だい?

ラベンダーナから香水を作りたいのですが、香水の作り方を教えて欲しいのですが?

マルタは束ねたラベンダーナをひょいと手に取り、鼻先に近づけた。
目を閉じて香りを確かめるようにしばらく沈黙した後、ゆっくりと束を下ろした。

香水ねえ。あんた、素人だろう?

言葉は辛辣だったが、追い返す気配はなかった。
マルタは扉を開けたまま、まあ入りな。立ち話で済む話じゃない。

店内は薄暗く、天井から吊り下げられた薬草や根が影を作っていた。
中央の作業台にはガラス器具が整然と並び、奥の棚には瓶詰めの液体がずらりと陳列されている。
マルタが椅子に腰を下ろすと、ぎしりと木が軋んだ。

◆ 香水作りの基礎
香水ってのはね、花の精油をアルコールに溶かして作るんだよ。
精油の抽出には蒸留器がいる。火加減と冷却の温度管理が命でね、失敗すりゃ花は駄目になるし、出来損ないの泥水が残るだけさ。

マルタの目がヨシオを真っ直ぐ射抜いた。

教えてくれってことは、設備も人手もないんだろう?
あたしを便利屋扱いする気なら帰ってもらうよ。

蒸留器とアルコールを仕入れてくるので、ラベンダーナから香水を作ったら差し上げます。

ふん、と短く息を吐いた。だが口元にはかすかな笑みがあった。

あたしに試供品で恩を売ろうってのかい。……悪かない考えだ。

◆ 条件提示
ただしね、アルコールならそこらの酒屋で買えるが、蒸留器はそうはいかないよ。
普通の鍛冶屋じゃ作れない。分留器が必要になるからね。うちのを貸してやってもいいが……

マルタは指を一本立てた。

条件がある。まず、作った香水は最初にあたしのところに持ってくること。
品質の確認はあたしがする。それと、もし商売として軌道に乗ったら、精油の定期仕入れはあたしを通しな。
野草を自分で摘むのにも限度があるだろう?

つまりダリオと似たような条件だが、より専門的な知見を得られる相手でもある。
香水作りの師匠であり、販路の一角を担う存在。悪くない取引だった。

奥の棚から小瓶を一つ取り出し、机の上に置いた。琥珀色の液体が光を受けて揺れている。

これが精油だよ。ラベンダーナから採れたものだ。匂いで覚えな、これがあんたが目指すものの完成形だ。

ラベンダーナの香水は、爽やかな香りなのですね。

◆ 必要な材料と準備
この量を作るのにラベンダーナの花はどれだけ必要ですか?

マルタは精油の小瓶を指先で回しながら、

そうだね、この量を作るのにラベンダーナなら……ざっと5束ってところかね。
ただし、花が咲ききってから摘んだものじゃないと駄目だ。蕾のうちに摘んでも精油の成分が足りない。

荷車にはまだラベンダーナが残っている。今朝摘んだばかりのものだから、鮮度は十分だろう。
ヨシオの顔を見て、

その顔は心当たりがあるね?持ってるのかい。

……持ってるなら話が早い。あたしの蒸留器を使いな。
ただし今日は先客が使ってるから、夕方まで待ちな。それまでにあんた、やることがあるだろう。

マルタが立ち上がり、壁に掛かった鍵束を手に取った。

この町の西側に雑貨屋がある。「トマの店」って看板だ。
そこで蒸留用のフラスコと冷却管、あと蒸留後の残滓を濾す布袋が要る。
全部揃えな。値段は……まあ800Gってとこだね。

800Gか?少し資金不足だな。

交渉で値引きさせてみるか?

呆れたように肩をすくめた。

交渉もいいけどね、トマは頑固者だよ。値切るならそれなりの材料を持っていきな。
あいつは物々交換にも応じる男だ。

ヨシオはマルタに礼を言い、店を後にした。


◆ トマとの交渉
手元にはまだラベンダーナが数束残っている。西通りに向かうと、「トマの店」はすぐに見つかった。
間口の狭い店で、中に入ると天井まで棚が積み上げられており、所狭しと商品が並んでいる。

カウンターに肘をついた中年の男が、入ってきたヨシオを無愛想に見た。

いらっしゃい。……何探してる。

店主のトマは角張った顔に太い眉、いかにも商売人といった風貌だった。
ヨシオが蒸留器の消耗品を探していると告げると、奥からフラスコ一式を出してきた。
冷却管、布袋、合わせてマルタの言った通り800Gだ。

少し値引きしてもらえませんか?足りない分はこのラベンダーナを差し上げます。

ラベンダーナを一瞥して、

花ぁ?うちは花屋じゃねえんだが……

だが手は自然と束を掴んで香りを嗅いでいた。

……ほう。色も香りも上物だな。

トマの目の色が変わった。無愛想な表情の奥に、商人の計算がちらついたのが見て取れた。

これ、どこで摘んだ。

ヨシオが街道沿いの群生地のことを話すと、トマは腕を組んで唸った。
あの辺りのラベンダーナは採り尽くされて最近は市場に出回らなくなっていたらしい。

……650Gでいい。ただし条件がある。

太い指でヨシオを指した。

この花、定期的に仕入れられるか?

うちの嫁が香り袋を作るのにラベンダーナが要るんだが、最近は市場じゃ高くて手が出ねえってぼやいてんだ。

またラベンダーナを摘んできます。

それを売ってください。

にやりと笑って、よし、決まりだ。

棚から蒸留器一式を取り出し、カウンターに並べた。フラスコ、冷却管、布袋。中古だが手入れは行き届いている。

全部で650Gだ。……毎度あり。

ヨシオは代金を支払い、品物を受け取った。残りは100G。日当500Gがあれば明日も食いつなげる。
トマがラベンダーナの残りを大事そうに奥に仕舞い込むのを横目に見ながら店を出た頃には、陽が西に傾き始めていた。


◆ 初めての蒸留
マルタの店に蒸留器の部品を預けに行くと、ちょうど先客が帰ったところだった。
老女は蒸留器の蓋を開けて中を点検し、それからヨシオに向き直った。

そろそろ夕方だ。準備はいいかい?
マルタが蒸留器の火の番を務め、ヨシオに手順を指示し始めた。
フラスコに水とラベンダーナを入れ、下から火を当てる。
やがて蒸気が立ち昇り、冷却管を通って冷やされていく。ぽたり、ぽたりと透明な雫が布袋に落ちた。
焦るんじゃないよ。ゆっくり冷やすんだ。……そう、その調子。

ラベンダーナのしずくに感動した。

◆ 原液の完成
初めて創る香水の原液。

布袋から滴り落ちる液を小皿で受けながら、満足げに頷いた。

いい色だ。透き通ってる。これが精油だよ。

小皿に溜まった精油はほんのわずかだった。5束分のラベンダーナから、たったこれだけ。香水に換算すれば数滴分だろうか。
それでもヨシオにとっては初めての自分の作品だった。
手の甲に一滴落として嗅ぐと、朝摘みの花束とは比べ物にならないほど凝縮された香りが鼻腔を満たした。
精油を慎重に小瓶に移し替えながら、

ここからアルコールで希釈して香水にするんだけど、それは明日にしな。今日はもう蒸留器を洗って片付ける。

マルタが手際よく蒸留器の火を落とし、水を張った桶で洗い始めた。

明日またおいで。アルコールは酒屋で一番安いのを買いな、果実酒用のやつで十分だ。……それと。

老女はヨシオを振り返った。

精油が冷めたら香りが変わるから、今日のうちに少し手首にでもつけておきな。
自分の香水の出来を覚えておくのも大事なことだよ。

わかりました。

明日またラベンダーナを摘んできます。よろしくお願いします。

マルタは片付けの手を止めずに、

ああ、待ってるよ。

◆ アルコールの購入と帰路
マルタの店を辞した頃には日がすっかり落ちていた。
ヴェルデの夜道は街灯の魔法石が淡く光り、幻想的な雰囲気を醸し出している。
酒屋はすぐに見つかり、果実酒用のアルコールを50g購入した。

ヴェルデにも宿はあるが、手持ちを考えると来た道を戻って最初の町に帰る方が賢明だった。
夜道は少々不安だが、月明かりもある。ヨシオは街道に出て歩き始めた。

しばらく歩いた頃、前方の茂みからがさりと音がした。風ではない。何かが動いている気配だ。

◆ 魔物との遭遇
月光に照らされた草むらから、低い唸り声。犬ほどの大きさの影が二つ、街道にのそりと這い出てきた。

牙が月光を反射してぎらりと光る。灰色の毛並みに赤い目、野犬か、あるいは魔物の類か。

ヤバイ。オオカミか?

逃げるにもオオカミの方が足は速い。

どうするか?

二匹の獣は低い姿勢のまま、じりじりと間合いを詰めてきた。
片方が小柄で、もう片方は一回り大きい。おそらく親子だろう。
腹を空かせているのか、牙の間から涎が垂れている。

ヨシオは荷物を地面に降ろした。手ぶらの方がまだ動ける。
月明かりの下、獣の動きを注視する。先に動いたのは小さい方だった。
横に回り込むように駆け出し、同時に大きい方が正面から突っ込んできた。
大きい獣が跳躍し、鋭い爪が月光に閃いた。
咄嗟に横へ転がれば躱せるかもしれないが、体勢を崩せば次はない。
街道沿いに人影はなく、助けは期待できなかった。

◆ 退路を選ぶ商人の判断
そうだ。ふところに食物があった。

とっさに食物をばらまいた。
ヨシオは腰の袋に手を突っ込み、残っていたパンや干し肉を掴み出して地面に投げ散らした。
獣たちの注意が一瞬そちらに向く。小さい方が鼻をひくつかせて干し肉に飛びつき、大きい方も首を巡らせた。

その隙にヨシオは後ずさりながら距離を取った。獣たちは地面の食料に夢中で、追ってくる様子はない。

しばらく様子を見ていると、親子は食べ終えて再び茂みの方へ戻っていった。
完全に姿が消えるまで息を殺して待ち、それからようやくヨシオは深く息をついた。

命は助かったが、手持ちの食料はすべて失った。残りはアルコール50gと小銭のみ。
明日の朝食も確保できない状態で、月夜の街道をとぼとぼと歩き続けるしかなかった。
明日の朝食もないな。空腹で歩くしかないか。でも、道は間違えていない。

水もある。少し我慢しよう。

マルタのおばあさんには、香水を作ってもらわないとならないし。

空腹を抱えたまま月明かりを頼りに歩くこと数刻、見覚えのある街道の分岐点がようやく見えてきた。
ここを曲がれば最初の町まであと少しだ。夜明け前に町に着けるだろう。

ふと、ヨシオは思った。あの獣たちは野犬にしては毛並みが綺麗だった。
赤い目は魔物特有のものかもしれない。この世界にはテイムや召喚のスキルがある。
もし手懐ける手段があるなら、護衛にもなるし、将来的には狩りの相棒にもなり得る。
だが今は空の腹と50gのアルコールだけが現実だ。まずは香水を完成させて稼がなければ、夢物語に過ぎない。

◆ 無事帰還
やがて町の外壁が闇の中に浮かび上がった。夜番の門兵が松明を掲げている。
ヨシオはふらつく足取りで門に近づき、門兵に通行料の10Gを払った。
宿までの道のりがやけに遠く感じたが、赤枕亭の扉を開けた瞬間、女将の寝ぼけ顔と温かいランプの灯りに心底安堵した。
明日は朝一でマルタのところへ行き、香水を仕上げる。それがすべての始まりになるはずだ。

ただいま。なんとか帰ってこれました。

おやすみなさい。
女将は半分寝落ちしかけた状態で「はいはい、おかえり」と欠伸混じりに鍵を差し出した。
部屋に入るなり、ヨシオはベッドに倒れ込んだ。空腹も疲労も限界だった。

 

第3章
香水の完成とラベル作成
ラベルの印刷
ダリオの店で初販売
初めての販売成功
自作香水の量産
マルタの助言
新作香水
マルタの評価
エルマ薬草商
新たな一歩
リーナ商会

 

次回もおたのしみに