「脳血管性認知症」

・急に発症し、脳卒中の再発ごとに階段状に進行する

・泣いたり、怒ったり感情の起伏が激しくなる

・症状に波がある「まだら認知症」が起こる。

 

 

〇早期から歩行障害など身体機能の低下がある

→脳梗塞や脳出血などの脳血管障害(脳卒中)によって脳の働きに支障がでて発症する認知症である。脳卒中で必ず発症するわけではないが、高齢になるほど出やすくなる。症状や経過は梗塞・出血が起こった部位によるのと、アルツハイマー型が合併することも多いため、かなり多様で「まだら認知症」とも呼ばれる変則的な発症の仕方も特徴的である。脳卒中の影響もあり早期から歩行障害、呂律が回らない、頻尿・失禁など身体機能に支障が出るので転倒や誤嚥(飲食物が気管に入る)にも注意が必要である。

 

※まだら認知症とは・・・

 →昨日できなかったことが、今日はできたり、さっきまで落ち着いていたのに、急に症状が悪化したり、簡単なことができない一方で、専門的な話をしたり、難しい本を読んだりと変動が激しい独特の症状の出方のこと。周囲も混乱するので認知症に気づくのが遅れる場合もある。

 

 

〇突然発症し、症状の激しい変動がある

→ゆっくり進行するアルツハイマー型とは違い、脳卒中をきっかけに突然発症。夜中に大声を上げて騒ぐ「夜間せん妄」感情のコントロールが難しくすぐに怒ったり泣いたりする「感情失禁」のほか、「抑うつ」や「意欲低下」も良くみられる。糖尿病、高血圧などの治療、バランスのより食事や運動など生活習慣病の対策が、最大の悪化予防と対策となる。

 

☆大きな脳卒中だけが発端ではない

→脳卒中といっても救急搬送されるような状態だけでなく、本人も自覚しないほどの小さな拘束を繰り返して、血流が悪くなることでも認知症は進行する。

 

☆メリハリある活動的な生活をサポートする

→脳血管性認知症は情緒的に不安定で抑うつや意欲低下も顕著なので、運動不足や昼夜逆転などにもなりやすい。脳血管障害予防のためにもメリハリのある活動的な生活を送るよう心がける。

 

 

※夜間せん妄の対応

 →せん妄が発症しているときは本人も意識が混濁し不安の中にいるので、理由を問いただしたりせず、落ち着いて「安心していいよ」ということを優しく伝える必要がある。

 

※進行の仕方

→階段状に進行するのが特徴

 脳の梗塞や出血が起こるたびに、がくんと悪化するが次の発症までは落ち着いているのが脳血管性認知症の特徴。これに対し、アルツハイマー型認知症やレビー小体型、前頭側頭型認知症は脳細胞が均一に障害されることから「変性疾患」と呼ばれている。