「FAST」・・・アルツハイマー型認知症の重症度や進行度を日常生活の障害の程度で分類したもの。ニューヨーク大学バリー・ライスバーグ博士が考案

 

◎FAST

ステージ1:正常:認知機能の低下がない。5~10年前と比べても変化が見られない。

 

ステージ2:正常な老化:非常に軽度の認知機能低下。年齢相応の物忘れもわずかで、周囲も気づかない。

 

ステージ3:境界領域:軽度の認知機能低下。複雑な仕事や家事では失敗することもあるが、日常生活ではほとんど失敗がない。

 

ステージ4:軽度:来客の接待や食事の準備、家計の管理、買い物など手段的ADLで失敗する。

 

ステージ5:中等度:入浴や服選び等基本的ADLに障害が生じる。気分や情動の変化も伴う。

 

ステージ6:やや高度:独力で服を正しい順に着られない、入浴に介助を要する、後半には尿失禁、便失禁が起こる。

 

ステージ7:高度:質問されても文節や単語でしか答えられない、歩行能力の喪失、座っている機能の喪失、笑顔の喪失、頭部固定不能、最終的に意識喪失(混迷・昏睡)

 

 

 

 

「認知症」に関する語句について

〇認知症:脳の病気、障害など様々な原因で認知機能が低下し、日常生活をするうえで支障が出ている状態(およそ6か月以上)のこと。

 

〇認知機能:認知とは外からの刺激を理解、判断する知的機能。加齢により低下するため、75歳以上の自動車運転免許証更新では認知機能検査が義務付けられている。

 

〇認知症予防:国の認知症背策推進大綱では「予防とは、認知症にならないという意味ではなく、発症遅延、進行を穏やかにすること」とされる。運動習慣や社会参加などで発症リスクを低減。早期発見・早期対応。対応の工夫でBPSDを抑え、重症化を防ぐなど段階的な予防策がある。

 

〇ADL:日常生活をするために最低限必要な動作。介護保険制度の介護度認定やリハビリテーションの場で身体能力や日常生活能力を図るための指標ともなる。そのうち「手段的ADL」は家事や交通機関の利用、電話対応、スケジュール調整、服薬管理、家計管理、趣味など複雑な日常生活動作。「基本的ADL」は移動、食事、更衣、排泄、入浴、身だしなみなどの基本的な動作のこと。

 

 

◎認知症になりやすい12要因

世界の認知症専門家からなるランセット委員会の調査報告書によると・・・

1)高血圧

2)難聴(聴覚障害)

3)喫煙

4)肥満

5)うつ病

6)運動不足

7)糖尿病

8)若齢期の教育歴

9)過度の飲酒

10)外傷性脳損傷

11)大気汚染

12)社会交流が少ない

 

の12項目が認知症のリスク要因として明らかになった。絶対的な認知症予防はできない中でも、12項目を回避・改善することで認知症の発症を遅らせたり、約40%予防したるすることが期待できるという。