・平山優著『真田信繁』と黒田基樹著『真田信之』があった書店で購入。
・一読後、後白河院は政治的人間では無いと認識を改める。徳川家康以上の
強運の人であり、それ以上でも以下でも無い人と言うべきか。
・名君では無いけど暗君かと言うとそうでもない。後白河院が暗君だと
したら院政を始める前に失脚していると思う。
・清盛と後白河院の他に清盛の子重盛や後白河院の近臣(藤原信頼や成親等)に
興味を持つ。
「安徳と時子は、降伏すれば身の安全は保証されたであろう。しかし、
彼らを待ち構えているのは、敵意に満ちた後白河の下での屈辱的な生に他ならない。
時子はあえてそれを拒否したのである。そして、近藤好和氏が指摘するように、時子
は安徳天皇と神器を道連れにすることで、敵が希求したものを絶対に渡そうとしなかったことになる。これも武士の一族として参加した一形態であったといえよう。」
本書229㌻12~16行を引用
「『平家物語』の作者は、建礼門院に天上道から畜生道に至る六道の体験を語らせ、後白河によってもたらされた平氏の苦難を突きつけさせる。姿は法体ながら俗臭を漂わせた後白河は、凛然とした建礼門院の言葉の前にひれ伏し、野心を挫かれて涙に暮れて帰洛してゆくのである。
事実とすれば、平氏の女人は、時子に続いて再び後白河に痛撃を与えたことになる。」
本書232㌻14~18行を引用
・名著である。カドカワストアを検索したら在庫なしと表示されている。復刊もしく
は文庫化(角川ソフィア文庫や講談社学術文庫、ちくま学芸文庫等)を希望する。
多くの人に本書が読まれる事を強く望む。
元木泰雄 著
『平清盛と後白河院』239㌻
角川学芸出版 角川選書504
1600円(税抜)小島直人 編集
カバー作品 木田安彦『三十三間堂』(ガラス絵)
平成24(西暦2012)年3月25日初版発行