「・・・海?!」
見慣れた渇き切った砂漠の風景は一変していた。
目の前には真っ青な水の世界が果てしなく拡がり、空との境界線さえ分からない。
「凄い…」
それ以上の言葉が無かった。
「あれ全部水なんだよね・・・ホントなのかな・・・」
俺を支えながらアイバがぼそりと、まだ信じられない心持ちをストレートに口にした。
「突然、砂漠の地中から大量の水が染み出して、
1時間あまりで地表の約半分が海へと変化した。
多分、もう少し海域が広がるだろう。それから・・・」
すっかり姿を変えた景色を見て呆然とする俺に、ショウが遠くの空を指差した。
「・・・黒い雲。」
「雨雲だ。
雨が降り川が流れ、地面に水が浸透していく・・・。
自然の循環が始まったんだ。この星の再生が始まったたんだよ、BIG-NO。
これがAquaの発動なんだ。」
MJとアイバ、それにショウの話によると、
俺がセントラルに入ってから今まで、俺の感覚では何ヵ月も過ぎたように思えるのだか、
実際はたかが3時間程度らしい。
MJとアイバがセントラルのゲートで俺と別れてから、
セントラルエリアに入り込むチャンスを辛抱強く窺っていると、
突然ゲートの扉が開いたという。
電気系統のなんらかのトラブルにより解錠されたのだろうが、
この好機を逃かず訳もなく、まんまと二人はセントラルへの侵入を果たした。
一方、カズの部屋に入った俺を見送ったショウは、
部屋の中が異常な高温になっていくのを、なすすべもなく管制室のモニターで見ていた。
あっという間に計器を振り切る温度に達した直後、凄まじいエネルギーの放出が起こり、
想像を遥かに越える電圧の負荷がセントラル中の電気系統を破壊した。
何が起こったのか誰にも分からなかったが、
続いて星全体に起こった奇跡の様な事象に研究所のみならず、
セントラル全体が騒然となる中、
ショウは管制室を抜け出して、俺とカズのいる(はずの)部屋に向かった。
その途中、不法侵入中のMJとアイバにばったり出くわしたらしい。
何故この建物に侵入したのかをMJに問うてみると、
”一番騒ぎが大きい場所に行った”
そんな答えが返って来た。
偶然合流した3人は、ショウの先導でこの部屋まで来たがドアが開かない。
建物全体の警報が鳴りっぱなしの非常事態に、
アイバとMJは何ら躊躇もなく、壁ごとドアを吹き飛ばした。
そして、散々な有様の部屋の中で、機械の右腕がバラバラに砕け、
血だらけで倒れている俺を見付けた。
そこにカズの姿はなかった。
「・・・サトちゃん、カズはどうなったの?」
じっと海を見つめたままのアイバが、重い口を開いた。
「・・・長い話になるぞ・・・」
つづく
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大野くんの主演映画が決定したのねo(^▽^)o
時代劇?忍者?!
楽しみが増えました!
ニノちゃんはまだかな・・・(贅沢)(;´▽`A``