今日は面会日。

長女は所用があり来れなかったけれど、長男次男が来た。

 

まずは、長男から報告。

「志望私立大学に合格しました」と。

うむ。彼はもう、自分の道を歩み始めている。

 

年末に会った時、志望大学を聞いたのだけれど、

ネームバリューくらいでしか大学を知らない僕は、彼の志望大学が分からなかった。

どんな学校だと聞いたら、

コンピューターやAIのプログラミングを学べる学科がある学校だ、とのことだった。

それを聞き、ああもう僕からとやかく言う必要はないなと思った。

彼はちゃんと自分が学びたいことや自分の学力、親の経済力などを把握していて、

見栄や誇大妄想や逃亡による学校選びをしていないと解ったから。

なので、そうか頑張りたまえとだけ伝えていた。

 

で、きっちり合格祝いは請求された。

ゲーム機を買う予算を少しばかり援助して頂きたい、と控えめに。

ゲーム機を買えと言わない辺り、父の財布事情まで把握しているか。

とりあえず、彼の把握力に敬意を表し、褒美を取らせておく。

 

近親者の高校の卒業祝いというか、新生活のスタートに当たり、

僕は、財布を贈ることにしている。今までは、甥の2人に贈ってきた。

この儀式は、僕が大学に入学した際、姉が財布を買ってくれたことに由来する。

 

多くの高校生男子にとって、

財布なんてものは、「破れてなければいい」くらいのもの。

ていうか、僕はそうだった。

そんな僕に、

姉は「そんな財布じゃモテないわよ。ちょっとくらいカッコがつく財布を持ちなさい」と、

ブランドものの財布を買い与えた。

当時は大仰だなと思ったけれど、

後になってアレは大人になるために知っておいた方がいいことだったな、と思った。

 

僕はブランド品崇拝者ではない。

けれど、ブランド品完全否定者でもない。

良いものは良い。悪いものは悪い。そういう品定めがしたいと、常に思っている。

そのためには、ブランド品もノンブランド品も知らなければいけない。

だけれども、若者にとってノンブランド品を知るのは容易いが、ブランド品はそうはいかない。

初手は特に、信頼できる年長者の支援を得た方が良いし、

節度ある指南を受けた方が、後々見境がなくなることは少ない、と思う。

今後、格好いい大人になるための、品定めのセンスを養うために。

 

君はどんな財布を使っているかと長男に問う。

彼は、ボロボロになったからつい最近買い替えたんだけどと折畳み型の財布を出した。

彼は長財布よりも折畳み財布を好むようだ。

新しく、使い勝手は良さそうな財布だったが、高校生男子のナイロン財布だった。

 

これから君は、食事や買い物の際、親よりも自分で支払うことが増えていく。

使うほどに擦り切れていくナイロン製ではなく、

使うほどに年季が増していく革製の良き折畳み財布を、

彼に贈ってやろうと、思う。