今日は、とても生温かい日で、

冬の曇天にも拘らず、アウターなしでも昼休みに煙草が飲めた。

渡り鳥のような精巧な体内磁石は無いにしても、

自分の中の磁石がくるくると落ち着かない違和感があって、気味が悪い。

 

気味悪さの正体は、風だった。

冬には北西からの乾燥した冷たい風が吹き下ろす場所で、

南東からの湿った温かい風が吹いている。

シベリアから降りてくる寒波を押し退けるほどの、

台風のような低気圧が近畿沖の太平洋に発生して、

僕のいる場所は、その低気圧による風が勝ったということだろう。

 

然るべき場所に然るべきものがない。

この感じ、僕は結構嫌いなのかもしれない。

 

 

業務の一環で、豆知識的なものを書いているのだけれど、

近々のものに「2月7日は作詞家の阿久悠の誕生日」というネタを上げた。

70年代、時代を作った人だ。

 

尾崎紀世彦「また逢う日まで」、ペドロ&カプリシャス「ジョニィへの伝言」、

都はるみ「北の宿から」、沢田研二「勝手にしやがれ」、石川さゆり「津軽海峡・冬景色」、

ピンクレディー「UFO」、八代亜紀「雨の慕情」、西田敏行「もしもピアノが弾けたなら」、

小林旭「熱き心に」、和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」、

「宇宙戦艦ヤマト」、「デビルマンのうた」、「ピンポンパン体操」。

ここに挙げただけでも、日本歌謡曲の殿堂入りばかり。

代表作なんて、とても選べない。ピンクレディーなんて全曲がヒット曲だし。

 

国際条約を結ぶ人も、巨大建造物を作る人も、子を産み育てる人も、

老若男女、歌をまったく聞かない人はいないだろう。

ゆえに、彼は正しく時代を作った人に違いない。

 

そんな彼は物書きでもあったから、名言も色々残している。

その一つが以下。

 

「何が美しい、何がカッコいい、何が恥ずかしいか。

 この3つの基準だけをしっかり持って照合すれば立派に生きられる」

 

ずどん。

先生、参りました。

 

僕は、評価すべきものを見落としてやしないか。

僕は、周囲の価値基準に流されてやしないか。

僕は、誇りと自制心を蔑ろにしてやしないか。

 

ハードボイルドに生きるのは苦しいけれど、

落ち着かない磁石を抱えて生きるのは、

僕は結構嫌いなのかもしれない。