僕は、【義務】って言葉が好きじゃない。

じゃ、反対語は何だって調べたら、対義語として【権利】が出た。

この言葉も好きじゃないから、何だか得心がいかない。

 

【義務】

①人がそれぞれの立場に応じて当然しなければならない務め。

②倫理学で、人が道徳上、普遍的・必然的になすべきこと。

③法律によって人に課せられる拘束。法的義務は常に権利に対応して存在する。

【権利】

①ある物事を自分の意志によって自由に行ったり、

 他人に要求したりすることのできる資格・能力。

②一定の利益を自分のために主張し、また、これを享受することができる法律上の能力。

 私権と公権とに分かれる。

③権勢と利益。

 

人間は愚かなんだね。

こうでもしないと大人しくしていられないんだろう。

放っておけば、好戦的で、利己的で、怠惰な生き物なんだろう。

もちろん、かく言う僕もきっとそうだ。

分かっている。

なのに、

何故この気持ち悪さは消えないのか。

 

 

混んでいる電車に、お年寄りが乗り込む。

座っているあなたは「良かったら、どうぞお座りください」と席を譲る。

お年寄りは「ありがとう」と一礼をして席に着く。

あなたも、お年寄りも、気持ち良く電車に揺られる。

 

これが、

譲ろうとする前に、

「13歳から65歳の者は、66歳以上の方に席を明け渡すのは義務であり、

守らなければ義務違反の厳罰を受ける」って言われたら、

果たしてあなたは気持ちよく席を立てるだろうか。

お年寄りが、

「上記に基づき、私には席に着く権利がある。よって、そこの君、席を換わりなさい」

って言ってきたら、

果たしてあなたは気持ちよく席を立てるだろうか。

 

極論であり、ファジーな境界であることは認識している。

けれど、絆創膏や湿布を継ぎ足し続けてきた法律や道徳は、

今やどこが傷だったのかも分からなくなってしまって、

上記の喩え話のような事態をたくさん生んでいるのではないか、と思う。

 

 

今現在、僕の仕事はそんな義務や権利で雁字搦めになっている。

もっと穏やかに、自発的に、等身大の親切で、気持ちよく居たいのに。