今日は、よく晴れた。
ここの所、雲の多い低い空が続いていたから、
”抜けるような”という言葉に相応しい青空だった。


パリに行ってから、もう一ヶ月が過ぎた。
記憶を辿り、思いを馳せ、紹介したい写真を選び、文章を書く。
結構手間がかかるものよなぁなんて思いながら、楽しんでいた。

読んでもらって、コメントもたくさんもらって、どうもありがとう。
また一つ、旅の喜びが増えた。

「また次回」なんて、もう少し書くつもりで書いてたけれど、さすがにこれ以上はね。
また、何かキーワードに引っかかったら、出てくるかもしれないってことで。

また違う旅の報告ができたらいいなぁ。
まだまだ世界には面白いことが、たくさんある。


最後に、どど~んとご紹介。


日曜日、ホテル近くに出てたマルシェ(市場)。野菜、果物、魚、肉、チーズなどの店が十数件並ぶ。
左の白いシートの店はトルコ料理のケータリング。


チーズ専門店。トム&ジェリーに出てきそうな穴あきチーズ♪


ビニールを被ってない野菜は、とてもおいしそう。ニンジンは1種類じゃない。


ある日の昼食。ハムとチーズのシンプルなサンドイッチ。

 

サン・シュルピス教会のパイプオルガン。脅威の大音量が出る。アンプもスピーカーもない時代に聴いたら、それだけで神を感じたに違いない。


サン・シュルピス教会を横切る古のローズ・ライン。イングランドのグリニッジ天文台が現在の子午線0度だが、それ以前はこのラインが0度だった。
「古の薔薇の下にキー・ストーンが眠る」。『ダヴィンチ・コード』では、ここにシオン修道会、フリーメイソンの秘密が隠されてた。・・・偽物だったけど(笑)


『ダヴィンチ・コード』つながりで、ルーブルの逆ピラミッド。地下ショッピングモールから、ルーブル美術館につながる地下広場にある。この下に、聖母マリアの秘密が埋まっているかも・・・。
世界的ベストセラーのため、観光客の多くが記念写真を撮ってた(笑)


ドラクロワ美術館の中庭。右の建物が住まいで、正面がアトリエ。
サン・ジェルマン・デ・プレ教会の壁画を描くために、ほど近いこのアパルトマンに移り住み、最晩年をここで過ごした。彼はこの小さな庭がとても気に入っていたのだそうだ。
作品は、ここにはほとんどない。ただ、絵具や手紙、暮らしていた場所、彼の人生を想うだけで、とても感慨を受けた。



ポンピドゥーにて。マティスを眺める少女。何を想う。

  
カンディンスキーにマグリット。あなたは何を想う?

 
赤い人。美はバランス。


映像など時間を加えた芸術もあるが・・・SONY製ブラウン管テレビ・・・うむ、まさに時間芸術。


ある日の昼食。パリ一番人気はベーグルサンド。


パリの朝焼け。ホテルの部屋から。


ロダン美術館にて。『接吻』。激情と愛しさと。

 
ロダンも手が好きだったようだ。部位だけで愛情を表現できるのは、手だけだ。

 
『地獄の門』。人生とは。


ルーブル美術館。ミケランジェロの『瀕死の奴隷』。
古代ギリシャ彫刻『ラオコーン』を見て、ミケランジェロは感銘を受けた。このミケランジェロを見て、ロダンは感銘を受けた。才は才を生む。知は知を育む。


ダ・ヴィンチの『洗礼者ヨハネ』。思わせぶりな微笑とポーズ。モナリザに似ている。違いは、こっちはじっくり見れるってこと(笑)。ダ・ヴィンチだと気づかずに過ぎ去る人も多いだろうな。
スフマート技法の見事なことったら。ガラスがなくてもテカっちゃうんじゃないだろうか。
『岩窟の聖母』『聖アンナと聖母子』が出張中でなかったのは残念(泣)


ヤン・ファン・エイクのモバイル祭壇画。ハードブックより少し大きいくらい。元祖トリックアート。
この人の絵は本当に緻密。『ゲントの祭壇画』が見たい・・・ベルギーにあるらしいけど。



ブリューゲルの魚バージョン。まさに魚の図鑑。

上の絵の左下アップ。ま~細密。一枚見るだけでも飽きない。ほかに動物、鳥、貴金属バージョンなんかがある。1600年代には、もう色んな生き物が知られてたんだな。

 
ルーベンス。縦は5m近いだろうか。ネロ、ごめんよ。じっくりと見れちゃった。しかもこんなのが4枚もかかってる部屋で。
と思ってたら・・・・

次の部屋は「ルーベンス・ホール」・・・・。ネロ、何だか、ごめん。全部ルーベンスの大作。


ラファエロ。整った、優しい絵で、この人を超える画家はなかなかいない。構図のお手本に、この絵は必ず出てくる。優等生だけど、本当に美しい絵。

 
フェルメール。空気を描ける画家。なんだかんだ言っても、本当に美しい。
子沢山で、ガキが走り回ってる中で、商業画家として絵を描いてたらしいって話も。繊細な絵とは裏腹な生活だったとか。
作品数が少ないのに、昨年末から日本にたくさん来ててビックリ。この隣に『レースを編む女』って有名作品があるはずだけど、日本出張中だった。



『ガブリエル・デストレとその姉妹ビヤール公爵夫人とみなされる肖像画』。・・・長い。
つまんじゃってるのは、ご懐妊を示すのだとか。高貴なのか好奇なのか。


カノーヴァ『エロスのキスで目覚めるプシュケ』。美しい。永遠にすべすべの肌。


  
左:古代エジプト「ホルスを抱くイシス」。右:メソポタミアの土偶。
イエスが生まれる何千年も前から、母子の姿は崇められてた。教会の大きな過ちの一つは、自らの根源を「異教」としたことだ。



ファイアンス(土に釉薬をかけて焼いた土器)のカバ。エジプシャン・ファイアンスで一番好き。


アクエンアテン像。第18王朝のファラオ。かのツタンカーメン王の父。
古代エジプトのファラオの中で、一番好きなファラオ。ストイックな改革を成そうとし、夢破れた男。この像の顔が細長いのも、理想化・形骸化が進んだエジプト美術を変えようとした証。

 
『書記坐像』。色が残っている彫像として有名。ルーブルの庭を眺める姿は菩薩のようだった。


窓辺にたたずむ猫。
古代エジプトでは猫も神様。これは猫のミイラを納める棺。ディティールの美しさたるや。


オルセー美術館入口。旧駅舎で、近年改修工事が終わった。・・・並ぶんだよ、ここ。


オルセーのトレードマーク大時計の内側から、セーヌ川、モンマルトルを望む。
印象派を集めたオルセー。どちらかと言うと僕は、古典主義からの精密画を好むので、印象派の印象はよくなかった。 されど、ミレー、マネ、クールベ、ロートレックは天才だった。モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、スーラを始めとする点描画家は・・・ごめん、好きじゃないや(笑)情熱は分かるけれど・・・。モローも思ったより残念。現代のイラストレーターに優れた幻想画家がたくさんいるから、中途半端に見えちゃって。
「印象派は生で見ないと分からない」。これは強く思った。ミレーの『落穂拾い』『晩鐘』の不思議さは画集じゃ絶対分からない。マネやクールベの潔さも。ほんとにビックリした。


帰りの飛行機。藍色の空に小さく輝くのは三日月。高度12000m 、朝も昼も夜も、混ぜ合わさった景色。


さぁ、明日の準備をしよう。
いつかの、次の旅に向けて。