心の器だっけ?エヴァンゲリオンは。
そっちではないんだ、今回は(笑)
秋は、人恋しい季節。
足早に沈んでしまう太陽や、冷たい朝の紅葉は、
独り身でいる者に、溜息をつかせるのに十分だ。
単純に考えれば、
気温が下がり、温もりを欲し、人恋しくなるのだろう。
産まれた時から、
人は、誰かと抱き合う温もりに安堵し、幸せを感じる。
「気温が下がっただけで、気分が変わるなんて!」
と憤慨する、強い人もいることだろう。
強くなくても、充実している人は、さほど感じないに違いない。
ムード。
って聞くと、「雰囲気」って思わない?
いいムード。嫌なムード。色っぽいムード。
「女を口説くなら、音楽と照明でムードを良くしなきゃ」なんて、
それほどモテそうにない先輩から伝授されたりね。
ムード歌謡なんてのもあったし。
mood。
和訳は「気分」。
good mood は、「良い雰囲気」ではなく、「良い気分」。
間違いというより、
季節や雰囲気を大切にしてきた日本人の感覚が、
外と内を近くしたからだと、僕は思っている。
ちなみに、
甚だしく気分が定まらず、
日常生活に支障が出る人に付けられる病名は、「気分障害」。
躁うつ病より範疇が広く、最近はこの病名が多い。
英名は「 mood disorder 」。
ムードの不調。混乱したムード。
ね、不思議な感じがしない?
「気分」と言えば、確かに病名らしいが、
「ムード」と言うと、そわそわするような場面を思い浮かべたり。
季節の変わり目は、精神科救急が賑わう。
また、街が華やぐ、クリスマスからの年末年始にも。
普段にも増して、孤独を感じるようなムードが漂うと、
人はムードに変調を来たしやすくなるようだ。
秋の気温や景色は、
孤独な者には、寂しさや切なさを、
傍に寄り添う人がいる者には、温かさや充実感を、
しっとりと感じさせる雰囲気を持っている。
「○、△、□。あなたは自分をカタチに例えるなら、どれ?」
たまに心理テストっぽい質問であるよね?
○は、穏やかな人、
△は、理想の高い人、
□は、安定している人、みたいなね。
確かに、その通りだと思う。
僕は、若い頃、この中だと△って言ってた気がする。
何かね、とんがってて、かっこつけてる感があるよね(笑)
でも、いつも疑問に思ってた。
□ 以外は、寄り添えないじゃんって。
△は、きっちり積めば可能だけど、
△な奴がきっちり並ぶとは思えないし、
同じ△な奴だらけの状態を好むとは思えない。
特に数が増えると、余計にピッタリにはならない。
色んなカタチの積み木を、
ざっくり寄せ集めた画を想像して欲しい。
どうしたって、隙間がたくさん出来てしまう。
☆なんかの多角形も合わせると、もっと隙間は増える。
そこで、また思ってた。
この隙間も、カタチだよねって。
隙間のカタチが、
一番多くのカタチと寄り添ってて、いいなぁって。
多角形のトゲトゲした所も包み込み、
穏やかな曲線にも合わせられ、
筋の通った直線にも同意できる、カタチ。
だから、いつからか、
僕は、隙間のカタチ、
なれることならアメーバみたいな軟体がいいって、
言うようになった。
そして、いつからか、
同じアメーバ同士なら、
譲れないトゲや直線をたまに作っても、
絶えず変形し、ピッタリ寄り添い続けられるのにって、
夢を描いてた。
逆に、カタチのないカタチは、自己主張が薄れる。
時に「私は☆だ!」って人に、
「何?どんなカタチ?!」ってイラつかれたり、
「私は□が正しい人間だと思いますよ」って人に、
「八方美人で、優柔不断ですね」と呆れられたり、する。
分かってる。
それでも、僕はアメーバが美しいと思ってしまう。
媚びへつらっているアメーバではなく、
変幻自在で、楽しんでいるアメーバ。
周りから見たら、大差ないんだろうけれど、
アメーバにはアメーバの思いが、ある。
そして同時に、
アメーバは、ひどいトゲを弾き返す弾力も兼ね備えていると、
信じている。
人のカタチ、心のカタチ。
秋の夜長に、ぼんやり想う。
一時の慰めでも、誰かとピッタリくっついて、
温もりを感じられたら嬉しいだろうなぁって、思う。
・・・あら、こんなところにムード障害の兆しが(笑)