佐藤佳穂です🌝💙

2ndソロライブで朗読した物語を
まとめたので
暇なお時間があるときに
読むなどしてください♡



🎀



これは、ある特別な夜のお話です。

少女は、森のはずれにある
小さなお家へ向かっていました。

今日は、いつもとはちょっぴり違う夜。

なぜなら――
少女にとって、
とっても大切な人たちが集まる夜だからです。

もしかすると、とんでもなく特別な夜が
始まるかもしれませんね。

【誘惑のガーター】
【MARIA】
【おねだりシャンパン】
【声出していこーぜ!!!】

あらあら!大変!
どうやらパーティーの準備中に、
シャンパンがこぼれてしまったようです。

「きゃー!もうやだ〜!」

少女はピンクのドレスに身を包み、
妖精さんたちと大慌てでお片付け。

椅子をしまって、
魔法のステッキを立て掛けて、
歌を歌いながらフルーツを並べて……

「よし!完璧!」

……と思った、そのとき。

少女は、
床に落ちているあるものを見つけました。

「これは……ガーター?」

ふと顔を上げると――

そこには、
ガーターを嬉しそうに掲げる妖精さんたち。

「どこで拾ったの?」
と少女が聞くと、

「僕たちのところに、
ビューン!って飛んできたんだ!」

妖精さんたちは大喜び。
どうやら今日のパーティー、
何かが起きそうな予感です。

「あれ?」

少女がふとテーブルを見ると――

「え、シャンパンタワー……?」

さっきまで、こんなものは無かったはず。

どうやら、
キラキラしたものが大好きな少女の憧れを
妖精さんたちがこっそり叶えてくれたようです。

「すごーい!」

少女が目を輝かせていると、
妖精さんが得意げに言います。

「声に出したら、お願い事は叶うんだよ!」

少女は、その言葉を聞いてハッとします。

「声に出したら……お願い事が叶う?」

今日という特別な夜なら、
ずっと胸の中にしまっていたお願い事も、
叶うかもしれない。

少女は夜空を見上げ、そっとつぶやきました。

「……綺麗な月が見たい」

すると――

妖精さんたちの目がキラリ。

「月だって!」
「マリア様にお願いしよう!」
「ダメだよ!僕たちで準備しなきゃ!」
「じゃあ僕、月を持ってくる!」
「無理だよ!」

……どうやら妖精さんたち、
さっそく大騒ぎです。

「もう!またケンカしてるんだから!」

少女は慌てて妖精さんたちをなだめます。

すると――

「ウォーーーーン……」

どこからか
オオカミの遠吠えが聞こえてきました。

「……え?」

「……オオカミ?」

妖精さんたちの動きがピタリと止まります。

実はオオカミにとって妖精さんは
大好物なんです。

これまでにも、
たくさんの妖精さんが
オオカミの餌食になってきました。

「大変だ!」
「オオカミが来る!」
「逃げろーー!」

妖精さんたちは一斉にパニック!

「待って!逃げる前に、みんなを助けないと!」

少女が叫びます。

そう。
このままでは、みんな食べられてしまいます。

「よし!オオカミを追い返そう!」

するとある妖精さんが言いました。

「オオカミは赤いものが大好きなんだよね?」

「じゃあ……
赤いものをいっぱい集めればいいんじゃない?」
「それだーーー!」

妖精さんたちは一致団結。

「赤いものどこかにない!?」

お部屋中を探し回ります。

ところが――

「赤いものが足りない……!」

少女も妖精さんたちも、だんだん焦ってきます。

「ウォーーーーン……」

オオカミの声が近づいてきます。

そして……

「……ドン。」

「……ドン。」

「……ドン。」

オオカミの足音まで聞こえてきました。

「まずい……!」
「どうしよう!?」

少女は部屋を見回します。

「何か、もっと赤いものを……」

するとある妖精さんが叫びました。

「ペンライト!」
「え?」
「ペンライトがあれば、赤くできる!」
「それだーーー!!」

みんな一斉にペンライトを探し始めます。

「赤!赤!赤!」
「もっと光らせて!」
「急いで!」

妖精さんたちは無事に赤いものを集め、
オオカミをだまして
逃げ切ることができるのでしょうか!?

そして――

少女の「綺麗な月が見たい」という
その願いは、今夜叶うのでしょうか。

今日は、特別な夜。
目の前にはきっと
真っ赤に輝く、
ストロベリームーンが現れることでしょう。

【狼とプライド】
【ボーイフレンドの作り方】
【青い月が見てるから(ゆづさん)】

ふぅーーーっ!

どうやら無事に赤いものを集め終わり、
オオカミを追い返すことができたようです。

「オオカミ、赤いものに夢中だったね!」
「みんな、食べられなくてよかったぁ!」

赤いペンライトをたくさん集めたおかげで、
妖精さんたちは無事に助かりました。

「でも……
今日のオオカミ、いつもと少し違わなかった?」

少女が首をかしげると、

「うん。僕たちには気付いてなかったみたい」
「ずっと月ばかり見てたよね」

そうなんです。

私たちが赤いものを集めて
大騒ぎしていたというのに

オオカミはまったく気付かず、
空に浮かぶ月に夢中だったのです。

「綺麗だったなぁ……」

少女が夜空を見上げて、ぽつりとつぶやきます。

赤いペンライトに照らされた月は、
いつもよりも大きく、優しく、
光輝いていました。

「うん、綺麗だったね!」
「なんだか優しい月だった!」
「ストロベリームーンだね!」

妖精さんたちも少女の周りに集まり
月を見上げます。

すると、
ひとりの妖精さんが少女の顔をのぞき込みました。

「……どうしたの?」

少女は少し不安そうに、
胸の前で手をぎゅっと握ります。

「今夜くらいは……勇気を出せるかな」
「えっ、何の勇気?」
「もしかして、あのこと?」

妖精さんたちが一斉にざわざわし始めます。

「私ねーーー……」

少女が話し始めた、そのとき。

「恋は命懸けなのよ!」

突然、ベテランの妖精さんが登場しました。

「恋をするなら、覚悟が必要なの!」

ベテランの妖精さんは、
どこか遠い目をしながら語り始めます。

「私も昔はね、さりげなくお手紙を書いたり……」
「偶然を装って、何度も待ち伏せしたり……」
「それ、さりげなくないよ!」

妖精さんたちからすかさずツッコミが入ります。

でも、少女は興味津々。

「それで……どうなったの?」

どうやら少女は、
ベテランの妖精さんから恋の秘訣を
たっぷり教わったようです。

そして――

「よし!」

綺麗な月を見上げた少女は、
ついに立ち上がりました。

「今日こそ……好きって伝えるんだ!」

少女には、
ずっと想いを伝えたい相手がいるようです。
光り輝く月夜の下で、
少女はその想いを伝えることが
できるのでしょうか?

「どうしよう……ドキドキしちゃう」

少女は心臓の上に手を置き、そわそわ。

「こんなに緊張してる姿、久しぶりに見たね」

妖精さんたちも、
少女の姿を見て嬉しそうに応援しています。

「あっ、そうだ!」

ベテランの妖精さんが、
何かを思いついたように走っていきました。

そして戻ってきた手には――

レモンとオレンジ。

「えっ、どうして……?」

そう。
黄色とオレンジ色は、
少女が勇気を出せる魔法の色なのです。

「この色に囲まれたら、
きっと安心するでしょう?」

「うん……ありがとう!」

妖精さんたちは、
レモンとオレンジを少女の周りに並べていきます。

黄色、オレンジ、黄色、オレンジ。
まるで勇気の魔法陣です。

「これで大丈夫!」
「きっと、好きって伝えられるよ!」

果たして、
黄色とオレンジ色に囲まれた少女は
勇気を出して想いを伝えることが
できるのでしょうか?

少女がそっと息を吸うと――

なんだか
甘酸っぱいレモンの香りがしてきました。

今夜、少女は勇気をだして
大切な人に好きと伝えることが
できるのでしょうか?

初恋はレモンの味なのかもしれませんね。

【涙の湘南】
【回遊魚のキャパシティ】
【オルフェス】
【ガラスのI LOVE YOU(みことさん)】

「わーーい!」

少女がちゃんと想いを伝えることができて、
妖精さんたちは大喜びです。

「緊張したぁ」
「僕たちまで緊張したよ」
「キャパオーバーすぎるー!」

妖精さんたちは
次々と床に倒れ込んでしまいました。

「ここにいる沢山の妖精さんたちも
キャパオーバーなのかな?」
「なんかずっと、キャパキャパ言ってたね」

少女と妖精さんが顔を見合わせると、
またみんなでくすくす笑いました。

すると、そこへ――

「もう眠たくなっちゃったわぁ……」

どこからともなく
ベテランの妖精さんがふわふわと飛んできました。

「わあ!」

少女がビックリして振り返ります。

「おばけ〜?」
「顔に何つけてるの?」
「ふふふ。
これはオルフェスのフェイスマスクよ」

ベテランの妖精さんは、
顔いっぱいに白いパックをつけています。

「ストロベリーの香りつきよ」

妖精さんがくんくんと鼻を動かします。

「パンチが強いねぇ」
「ストロベリーパンチだ」
「ポコポコポコ、、ふぅ♡」

ベテランの妖精さんは、
ふわぁっと大きなあくびをしました。

「今日はいっぱい働いたから、もう寝るわねぇ」

そう言った次の瞬間、
そのまま空中で眠ってしまいました。

すると、
一匹の妖精さんが少女に近づいてきました。

「好きって、ちゃんと伝えられたの?」

少女は少しだけ驚いた顔をして、
それから恥ずかしそうに頷きます。

「うん。あのねー……」

ほっぺをほんのり赤く染めながら、
少女は話し始めました。

「近くに行くだけでドキドキしちゃって……」
「きゃーー!」
「わかるぅ!」

妖精さんたちは大騒ぎ。
みんなで楽しくお話をしていると――

パリーン!!!

突然、大きなガラスの割れる音が響きました。

「え、なに?」
「こっちから聞こえたよ!」

みんなで慌てて音のしたほうへ駆け付けます。
すると、そこには

「あ! キラメキジュエルだ!」
「アイラブユー!アイウォンチュー!もあるよ!」

妖精さんたちは興味津々。

「これは一体何なの?」

少女が尋ねると、
妖精さんたちは嬉しそうに答えました。

「僕たちの宝物だよ!」
「良いデザインでしょ!」
「どうやって作ったの?」
「それはねー……」

妖精さんたちは顔を見合わせて言います。

「K2の魔法で作ったんだよ!」
「……そうだったんだ」

少女は光のそばに落ちていた、
レモンとオレンジを拾い上げます。

「レモンとオレンジの魔法のお陰ね」

少女は妖精さんたちに微笑みかけました。

「でも、なんでレモンとオレンジなの?」

妖精さんが不思議そうに尋ねます。

「それはねー……」

少女は二つの色を見つめながら、
少しだけ照れたように笑いました。

「私が大切な人から貰った色なんだ」
「大切な人から?」
「それって……?」

妖精さんたちが一斉に少女を見つめます。

少女はいたずらっぽく笑って――

「ひみつ!」
「えーーー!」
「教えてよぉ!」
「気になるー!」

妖精さんたちが一斉に騒ぎ始めます。

少女はそんなみんなを見て、
くすくす笑いました。

「でもね」

少女はもう一度、
黄色とオレンジの光を見つめます。

「この色は大切な人たちが
私を照らしてくれる色でもあるの」

「照らしてくれる……?」
「うん」

少女は空を見上げました。

夜の空に浮かぶ月のように、
そっと寄り添ってくれる光たち。

暗い道でも、迷わないように。

寂しいときには、
ひとりじゃないよって教えてくれるように。

「月みたいでしょ!」

妖精さんたちも一緒に空を見上げます。

「ほんとだぁ…」
「綺麗だね」

やさしい光がみんなを包み込み、
夜空にはまん丸のお月さま。

少女はその月を見つめながら、
愛を込めて言いました。

「今宵は月が綺麗ですね」


🎀