「形跡を探して(仮)プロローグ」


「はぁ~・・・・・・結構あるわねぇ」

いつものように、預かっている鍵で先輩俳優の自宅に入ったキョーコは、その「いつも」を繰り返すうちに少しづつ持ち込んで貯めてしまった私物を、用意した大きめの鞄に詰め込んでいった。

その中にはいつでも泊まれるようにと置かしてもらっていた下着などの着替えも含まれており、今更ながら自分の厚かましさに嫌気が差した。

先月蓮から聞いた(聞いたのは坊としてのキョーコだが)、「キョーコちゃんへの告白をする予定の月」が、間近に迫っていた。

それまでに、この家から自分の形跡を奇麗に消し去ってしまわねばならない。

敦賀さんが何年も片思いした相手、キョーコちゃんがこの部屋に入ったときに誤解を招いたりしないように、完璧に。

そうしないと、蓮に・・・・・・・恩を仇で返した後輩として、憎まれてしまうような気さえしていた。


「只の家政婦でも、誤解の種になっちゃうかもしれないものね」


自分と同じ年齢のキョーコちゃん。

誕生月まで同じと判明したキョーコちゃん。

貴女と敦賀さんの邪魔はしないから・・・・・・・・・・・

せめて、仕事場で挨拶を交わせるくらいの後輩でいることだけは許してくださいね?

そう願いながら、冷凍庫に保存していた料理ストックをすべて保冷バッグに詰めたあと、その家を後にした。

明日、この手に持った鍵を松島に返せば・・・・・・・・すべてが終わる。



珍しく使ったタクシーの中で、敦賀さんなら自分の誕生日にも例年通り祝おうとしてくれるかも?いや、きっとするつもりだろうという結論に思い至ってしまったキョーコは、この3年間とても幸せだったその日の思い出まで消し去ってしまいそうな、蓮から受けるであろう義理のお祝いを心底恐れた。

誕生日には絶対会いたくない!!

お願いだから・・・・・・・思い出まで取り上げないでほしい。

幸いにも、今年は何故か社長の計らいで、24日の朝から丸3日間の休みをもらっている。

遠くに旅行に出てしまおうか?

それとも・・・・・・・・・・



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

蓮は、キョーコが逃げ出す前に告白することができるのか!?

タイトル、内容アレンジ自由。
罠文の使用、不使用、アレンジ使用も自由です。

ドボンお待ちしております。


この罠にはこの方が嵌ってくれました。
<リク記録81>被害者「徒然妄想記」さんの場合

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