現在「ケロちゃんの暴走?!」にて絶賛開催中の「切恋祭り」に、乙女恋愛脳がすでに壊死してる魔人が参加!
完全に血迷ってます!すみません!


嫌いになりたい 前編 / 中編 / 後編 3-1 / 3-2 / 3-3

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「嫌いになりたい」<前編>


敦賀さんと付き合いだして1年が経った。

彼がくれる甘い言葉と温かい抱擁に、癒やされると同時に、どんどん苦しくなってきていた1年が。


「これがずっと続くなんて考えちゃ駄目よ、キョーコ」
今日も自分に言い聞かせる。



「当たり前だと思っちゃ駄目!すぐにお別れがくるんだから!」
それは今日かも知れないし、明日かも知れない。でも、遠い未来ではあり得ない、いつか。



「あの人には、本当に好きな人がいるのよ」
本当に愛してる女の子が、私ではあり得ない愛しい誰かがいるあの人。



「私と付き合ってくれてるのは、あの人が優しすぎたからよ。仕方なくよ!それを忘れちゃ駄目!」



冗談だったろうに、私との恋人宣言がテレビに流れてしまったから。

私を傷つけないために、嘘を本当のことのようにしてしまった優しすぎるあの人。酷すぎるあの人。

そして、そんな分かりきった嘘を暴けない、卑怯な私。

なんて汚い。

嫌な女。

迷惑な女。



でも。



あと少しだけ・・・あともう少し。



そうして過ごしてしまった1年。偽りの幸せと後悔だけが積み上げられた日々。




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「キョーコ、明日は付き合って1年の日だよね。大事な話があるから、外で食事しないか?」



携帯の留守録に入った緊張気味の彼の声に、夢の終わりを告げられたかのような気がした。

明日で付き合ってちょうど1年。

明日で終わるんだ。

哀しいような、ホッっとした様な複雑な気持ちで了解のメールを打とうとしてやめた。



「また、彼に嫌な役を押し付ける気?」



頭の中に自分を詰る声が響く。



「そうよね。敦賀さんから別れを告げさせようだなんて、酷い女よね」



そう。優しすぎるからこそ、1年も好きでもない女と付き合ってしまった彼。

それも、本当に私を愛しているかのように、優しく、包み込む様に。

その優しさに最後まで甘え尽くそうだなんて。



「シャンとしなさい、キョーコ!あんたは女優でしょ?最後はキッチリ自分から別れるのよ!あの人に心配をかけないように、奇麗サッパリと未練を断ち切るのよ!」








そうして私は、電話をかけた。




最後の電話を。




愛しくて堪らなかったあの人に。



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中編に続く。



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