なんとも片手落ちな三陸の漁業の復興アイデアがありました。



田原総一朗 公式ブログ  ⬅ 朝まで生テレビのジャーナリストさん
http://www.taharasoichiro.com/cms/?p=689

たとえば、古賀さんは次のように提案する。
外資を利用して東北を復興しようと。
宮城県の村井知事は、漁業への企業参入を認めてほしいと言っている。
それなら、ノルウェーの漁業会社を誘致してはどうか。
三陸沖は世界有数の漁場である。
世界中の漁業会社が狙っている漁場だから喜んで来るだろう。
その代わりに漁港の整備をさせる。加工工場も作らせる。
漁船を失った日本の漁業従業者をたくさん雇うことも可能だ。
ノルウェーの会社が来れば、仙台との行き来が頻繁になり、
仙台空港から定期便が飛ぶようになって、空港周辺も栄える。
ノルウェーの人がたくさん来るから、街も賑やかになる。
津波のためにほとんどの漁港は壊滅している。
これらの漁港を以前のような小さな漁港にそのまま戻すのではなく、
機能を集約した大規模な漁港をつくる。
そうすれば、大型船舶が入れるようになる。
周辺施設を一体的に整備して、効率的な漁業を可能にする。
その資金やノウハウを持った外資の力を活用するのである。
さらに、三陸沖で獲れた魚は、半分はヨーロッパに持っていっていいが、
半分は日本国内で流通させる。
ヨーロッパで売るためには厳しい放射能検査が必要である。
そこで安全が証明されれば、EUのお墨付きが得られたということで、
日本の食卓でも安心して食べてもらえる。

いいことづくめである。

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たぶん、企業として成功している=経営努力がすごい=被災した三陸でも成功できる、

という考え方だと思われる。

でも、ノルウェーの漁業会社が儲かってる理由は、一企業としての経営努力だけが成功の理由じゃないってことぐらいは、わかっててもらいたい。

国として、水産資源をどう管理して漁業利益に結びつけてゆくか、という、国としての政策がノルウェーと日本ではまったく違っていて、その違いがノルウェーの漁業会社が成功している大きな理由なのです。

例えば、ノルウェーでのサバ漁なら、大型の3歳以上のサバになるまで漁獲は控えて、世界最大のマーケットである日本で高値のつく大型魚だけを狙ってとっているが、これは、各船ごとに漁獲枠を設定するいわゆるIQ方式による資源管理方式がとられているからこそ可能な企業戦略なわけです。
日本ではこうゆう作戦はできないわけよ。

日本の漁業は、単純に、企業努力や経営能力の不足のせいで衰退の一途をたどっているわけではなくて、日本の水産行政のシステムが絶対に衰退するようになってしまっているわけ。

天然資源に依存している産品ってのは、水産資源とか山林の資源とかを扱うマーケットってのは、適切な規制がされなければ、いわゆる共有地の悲劇がおきるってことがよく知られているわけです。

つまり、政府や社会が厳密な規制措置をとることによって、持続的な生産ができるし、利潤の最大化ができるってこと。

日本の漁業規制がノルウェーとまったく違うから、日本の漁業は衰退して、ノルウェーの漁業はどんどん拡大しているのです。

つまり、「ノルウェーの漁業会社が日本に参入しても100%失敗するから三陸の復興はできない」ってことです。



再生産する天然資源を扱う産業であるってことをよく理解しないといけないと思います。