TTP(Trans-Pacific Partnership、環太平洋戦略的経済連携協定)について、

農林水産業へのダメージと、輸出中心とした商工業への利益を天秤にかかけてさまざまに議論されいるところ。


農林水産省は、「国境措置撤廃」(関税がなくなったら)どのくらい影響あるのかを試算して公表している。
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/renkei/fta_kanren/sisan.html

これによれば、
農業4.1兆円、林業500億円、水産業4,200億円の生産減少である。農林水産業全体のGDPが8兆円強のなかで、例えば米の生産は10%だけしか残らず、90%(1.9兆円)が減少するとしたものである。 


(蛇足:これに対し、内閣府は3.2兆円のGDP増につながるとし、経産省は2020年には約10兆円増となると公表し、農林水産省の試算は過大ではないかと論争を招いた。)





なんだ、林業は500億円しか影響を受けないのかよ~たいしたことね~な。



と思っちゃうけど、

林業の生産減が少ない理由は、既に壊滅的影響を受けているからなのだ。





 丸太は1951年、まだ日本が連合軍の占領下にあり、関税自主権がない間、米国の意向により関税ゼロ
となった。その後製材・合板も5%前後に下げられた。

その結果、木材自給率は94%から最低時18%に急降下した。この間に丸太価格は4分の1に下がり、生産量も3分の1に減った。


つまり、林業においては、

すでに関税がほぼ撤廃されており、国内産業もすでに崩壊しているから、

もうこれ以上はダメージないわけです。





関税撤廃をあまくみていると、林業のようになっちゃうかもしれないのです。





でも、

輸出を促進して、外貨を得て、経済的に豊かになる、という、経済成長サイクルは、

もはや、日本にとっては前近代的なスタイルに感じる。



なにより、

「一次産業の生産物を輸出する。輸入する。」って、エコじゃないと思う。

フードマイレージって概念はどこへいっちゃったんだよ?

輸出したって、輸送コストを上乗せして、むやみに製品価格をあげるだけだ。





だからといって、いままでと同じように、

食料品に高い関税をかけて、値段を高くして、輸入しにくいようにするってことも、

前近代的だ。





なんというか、

関税以外の手法で、輸入量をコントロールする方法が必要じゃなかろうか?

その手法をうまくつかって、国内の食糧が豊富な時は輸入量を減らして、

国内の食糧が枯渇した時は輸入量を増やすことができるような、都合のいい、

手前勝手なルールがあると一番いいんじゃないだろうか???





TTPに参加したら、食料品については、

「関税は撤廃します。でも、そうゆうルールでやりましょう。」ということは、

できないんだろうか?






じゃあ、具体的にどんな手法があるのか?

関税の代わりとしてよく知られているのが、HACCPとかGAPのような衛生管理や生産管理の制約だ。

他には、漁獲証明書もある種の制約だ。

これらの手続きを煩雑にしたり、手数料を高くしてしまうことも制約になる。
(中国は似たようなことしてる)






この際だから、「保険付き食品」しか輸入できないようにしてはどうだろう?

つまり、中国の冷凍ギョウザ事件のように、有毒な製品が販売され、健康被害がでても、

外国のメーカーに対して損害賠償を請求することもなかなか難しいと思うので、

最初から、「この商品を食べて、仮に健康被害がでたら無制限に補償する保険をつけております」と

いう、商品だけを輸入許可するとか。



これなら、関税撤廃しても、輸入量はふえねーだろ。