大宮BL妄想物語。
*閲覧注意*








N.side















金曜日の夜、
営業部みんなで居酒屋に来ていた。


今日は大野さんの歓迎会だ。


うちの部署はみんなお酒が大好きで
こういう会の集まりがいい。


営業サポートの女性従業員数名と
営業は全員参加だ。



座敷席の個室の貸し切り。


僕は部長の隣に座り

真ん中に座る大野さんを観察していた。








大野さんが着任して3週間

仕事を覚えるのが早いうえに、
僕が一部を教えただけですぐに理解し
全体像や本質を理解出来る人。


そして人を頼るのが上手な人で、
アドバイスを素直に聞くから
確実に成長していっていた。



先日営業に初めて一緒に回ったが
大野さんの物腰が柔らかな人柄が好印象を与え
すぐに打ち解けていた。

懐に入るのがうまい人。


今だってそう…みんな大野さんと話しがしたくてしょうがないって感じだ。


それにしても、
次から次へとひっきりなしに人が入れ替わり

お酌をされ主役は大変そうだ。






「ん?大野か?」



大野さんのことをじっと見ていたのを
部長に気付かれた。



「あ、いえ///」



「あまり飲みの席で仕事の話しはしたくないが、
大野に教えててやりづらいところはないか?」



「ないです。大野さんとっても気さくな方で…」



「そっか、確かにもう人気者だな。」



「そうですね///」



しばらくすると、
大野さんが部長の隣に来てお酌をしていた。



「すっかり営業部に打ち解けてるようじゃないか」



「はい、ありがとうございます。」



「営業の仕事は慣れたか?」



「まだまだですが…
二宮さんがわかりやすく教えてくれるので」



「そんな///大野さんが優秀だから」



「そんな、」



「・・・まぁ…とにかく
2人ともウチの若手のホープだから頼んだよ!」



「ハイ」
「はい///」




それから部長の隣に係長が来て
部長の意識はそちらに向いたタイミングで
大野さんがいつものトーンで話しかけてきた。



「みんなすごい飲むね。」



「大野さんこそ、みんなに次々とお酌されてたようですけど大丈夫ですか?」



「まぁ、それは大丈夫。」



「ふふ、お酒強いんですね。
でも、ちゃんと食べてますか?」



「ああ、あまり食べてないかも」



「それは良くないですね、これ?食べますか?」



「もらおうかな。」



大皿に盛られている料理を取り分けてあげた。



「ありがとう」



大野さんは僕の隣に座り
今までの分を取り返すように
もぐもぐと食べだした。




何度かお昼を一緒に食べたことがあるが
この人はお箸を持つ手がキレイだ。


そう、
大野さんは字もキレイなんだ。


字って人柄が出るっていうけど
大野さんの字を見て妙に納得したっけ。





それから大野さんは僕の隣で
くつろいでいた。




「二宮さんは、お酒弱いの?」


「え、///どうしてですか?」


「もう、頬が赤いから」


「あ、僕すぐに赤くなる体質で///」


「そっか。可愛いね。」


「え、///か、かわいい?」


「うん、可愛い」



と、屈託のない笑顔が返ってきた。


男の僕を可愛いって……

どういうことだろう。


ここで大野さんに聞き返しても
「そのまんまの意味だよ」
と言われそうだからやめた。













貸し切りの制限時間になり
飲み会がお開きになった。

ぞろぞろと皆が店から出だした時
部長に声をかけられた。




「二宮、送っていく」




いつも飲み会とか、外回りが一緒の時は
同じ方向だからと、
わざわざタクシーで送ってくれる。




「·····いつもすみません。」



今日も僕は部長に甘えた。