大宮 B L妄想物語
*閲覧注意*














いよいよ今日から
智の店"月兎"の出張販売が始まる。



ウチの部署でも朝から
その話しで持ちきりだった。



量産は無理なことは伝えてあり
ウチの社の担当者もそれは了承してくれていた。


月兎の定番品にプラスして
トースターやレンジがなくても
美味しく食べれるものを新商品として
販売することになった。

試作品を重ね出来あがったのは、

クランベリーとレーズンのライ麦パン
米粉の黒ゴマチーズパン
紫芋を練り込んだベーグルドーナツ


あと、持ち帰り用にと
半斤の食パンを並べたらどうかと僕が案をだした。





新しい男性の従業員も先日入った。


今まで勤めていたパン屋が閉店することになってしまって、月兎の紹介を受けたらしい。



帰宅後智に呼ばれ面接中の彼と僕は対面した。



その時の智がカッコ良くて
今思い出してもニヤついてしまう。




「彼がさっき話した俺のパートナーの二宮和也」



「はじめまして、丸山隆平と申します。」



「////あ、二宮です。」



「もし俺らのことが受け入れられないなら
今回の話しはなかったということで、、」




「あ、大丈夫です!オレ偏見とかないです!
月兎の評判は伺っていたので是非働かせて下さい。」



「ホント?和のことイジメたりなんかしたら
俺、許さないからね」 



「そんな、イジメるなんて、、
こんな可愛らしい人にそんなことしないです!」



「可愛らしい…ねぇ」



「あ、すみません!」



「まぁ、丸ちゃん俺と同じ誕生日だし、
じゃあ採用ね」



という智の独特の理由で無事面接を通過した
彼、丸山くんが入り
智の負担も減りつつあった。










「ニノ〜昼飯行こう」



「うん!」



いつもより少し早めにランチの誘いに来た潤くんと
フリースペースに向かった。



「今日はもちろん大野さんのところだろ?」


「うん、いっぱい来てくれるといいんだけど…」


「大丈夫だろ!みんな噂してたぞ」


「そうだけど、なんか僕が緊張する」


「ふふ、」






フリースペースの奥に簡易的に設置された場所に
智はいた。
見慣れたばんじゅうが並べられ
見慣れた智の達筆の手書きのポップが目に入った。



その前には沢山の列がなしていた。


「大盛況みたいだな」


「うん、良かった。」


智と目が合いアイコンタクトをとった。



僕らも列の最後尾に立ち順番を待った。




あと少しで僕らの番って時
すれ違った女性グループが 



『ヤバい!すごくカッコよくない?』
『ね、ヤバいね♪』
『パン王子だよ。パン王子♡』
『ね♡』



と、テンション高めで女性グループが
通り過ぎた。





きっと潤くんにも聞こえたはずだが
何も言わないし聞かないでいてくれた。





そして僕らの番になった。




「和♪
松本くんも、この間はありがとう。」



「いえ。」



「すごい大盛況だね」



「ああ、良かったよ。何にする?」



「そうだなぁ」




こうやって智と対面でパンを買うのが久しぶりだ。


片思いしてた頃を思い出す。




「じゃあ、ウィンナーパンとチーズパン」



「おっ、テッパンの組み合わせだ」



「ふふ、潤くんは何にする?」



「あ、オレ?オレはカレーパンで」



「潤くんもテッパンだね。」

「な。」





「じゃあ、智頑張ってね」


「和も頑張って」


「うん」






窓際のカウンター席に潤くんと隣同士で座り
智のパンを食べた。



「ニノ…」



「ん?」



「大丈夫…か?」



「あ、さっきのこと?大丈夫だよ?」



「強がってないか?」



「全然、こうなることわかってたしね」



「そっか、
あまりダメージ受けてなさそうで良かったよ」



「まぁ、、
数週間前の僕だったら無理だったかな」



「その数週間に何があったんだよ」



「ふふ♪知りたい?」



「///や、やめとくは、なんとなく
大野さんの愛がニノを強くしたのはわかる」



「ふふ、僕は、パン王子のパートナーだから♡」



「そっか、良かったな」



背中をポンと叩かれた。