大宮BL妄想物語
*閲覧注意*







N.side











「二宮くん、大丈夫?」



「え、あっ、何かミスがありましたか?」



これから一件の結婚式が行われる

その準備が一段落したところで

上司の櫻井さんから声をかけられた。



「立っているの辛そうだから」


「あ///少し腰痛があって、」



「え、大丈夫!?湿布とか貼る?」


「大丈夫です///動いていたらじきに
良くなってくるので」




普通にしてるつもりだったのに
櫻井さんに気付かれてしまった。



僕の腰痛の原因なんて

前日の夜に智に抱かれたからで///

心配されるようなことじゃないから
恥ずかしい///





同棲を初めて3ヶ月が過ぎた。

智とは日々愛を育んでいる。



一緒に住むようになってすぐだったか、

智が僕を抱くのに躊躇うって
嘆いたことがあった。

抱いて色気駄々もれの僕を
仕事に行かせたくないとか
なんとか言っていたんだけど……

そんなことを気にする様子はすぐになくなっていた。


部屋のそこかしこで気のままに抱かれ、
今はもう智好みの身体に仕込まれた。


これが一般的に良いことなのか
悪いことなのかわからないが

僕の身体で愛する人が快感を得てくれるなら
これ以上の幸せはないと思っている。





「良かった。
体調が良くないなら残業を頼むの悪いなって
思ったけど、大丈夫そう?」




「はい、大丈夫ですけど、
急な仕事入りましたか?」




「以前撮影で来たモデルの松本潤様がね、
営業終了後にここを使いたいようで…
また二宮くんにサポートをお願いしたいって
指名されたんだ。」


潤くんが…


「わかりました。」



「もしかして、松本潤様と知り合いなの?」



「あ、はい。」



「やっぱりバトラーとかやってると
すごい人と知り合いになるね。」



「そんな…」



「いやいや、二宮くん関係の繋がりで
利用者増えたし。すごいよ」



「ありがとうございます」




僕がブライダルコンシェルジュになったと
知った過去に付いたお客様が、
親戚や知り合いにここを推薦してくれて
挙式やパーティーの利用者が増えてきた。



今までやってきたことが
報われてるようですごく嬉しい。









皆が帰り静まり返った場内

僕はエントランスの端にあるベンチに座り
夜空を眺めていた。


丘の上だから体に当たる風が冷たいが
空は澄んでいた。


都内のネオンが届かない光害のないこの場所は星が綺麗に見えた。



「智にも見せたいなぁ」


ポケットに入っているスマホを取り出し
それを空に向けた。


今日は遅くなるって言っていた。

仕事中かなと思ったが…

撮った写真を智に送信した。


すぐに既読になり、

今、この瞬間は智と繋がっている。

そんな些細なことが嬉しかった。




しばらくすると、、

遠くの方から車のエンジン音が聞こえてきた。



そろそろ来るかな。


僕は立ち上がり 正面玄関に向かった。






だけど、見えた車はスポーツカ一1台。


スタッフさんを乗せたワンボックスカーは続いていなかった。


正面玄関から少し離れた所に車は停止し
運転席から潤くんが降りてきた。




「ニノ!」



「潤くんお疲れ様♪」



「ごめんな。わがまま言って。」


「ううーん大丈夫だよ。
それよりスタッフさんは?遅れてくるの?」


「あーそれなんだけど、、」


潤くんが車の方に振り返り
手を振っていた。


僕はそこを凝視する

助手席から降りた男の人。


暗くて顔はハッキリ見えないが
背格好で誰なのかすぐにわかった。


「智!?・・・・え?潤くんどういうこと?」


「俺からのサプライズ」


「何それ///」


「あの人が"来たい"ってうるさいから
連れてきた。」


「////」



「何こそこそしてんだよ。」


「してませんよ。じゃあ、大野さん。
しっかり送りとどけましたからね」


「ああ。ありがとう。」


「あ、今度、飯、奢ってくださいね。」


「ああ。」


「美味しいワイン付きで」


「わかったよ。サンキューな。」



潤くんは車に乗って帰って行ってしまった。



「え、智?どういうこと?潤くんの撮影は?」


「ああ…ない。」


「ないの?え、智は?何で来たの?」


「和也と星を観に来た」



「・・・え///」


イケボで言われて一瞬ドキッとしたけど


「星は今さっき送ったばかりでしょ」


騙されるところだった。


「ふふっ」


そしたら、腰に腕が回ってきて


「和也を迎えに来た。」


耳打ちされた。


「///」


またドキっとしてしまう。


「その格好で?」


家を出るときに着ていた私服とは明らかに違うかしこまった服装だった。


「あ、格好いいだろ?衣装買いとってきた」



「///格好いいけど」



暗くて良く見えないが…
黒っぽいジャケットに
中のシャツは同系色で
うっすら柄が入ったものを着ている。
ズボンはジャケットとセットの物だろう。


その大人っぽくて素敵な格好から…


ただ迎えに来たって感じではなかった。