はぁ…
ネクタイを首から抜き去り床に落とした。
そしてベットの上に両手を広げたまま倒れこんだ。
結局あの後、部長に呼ばれてるのも忘れて
気分が悪いと言って早退してきてしまった。
とてもあのまま仕事に戻るなんて無理だった。
大きな事件がない時でよかった…
もし、そんな時だったら私情なんて挟んでる余地はない。
でも、きっと取り返しの付かない様なミスを
しでかしていただろう。
それだけは絶対できない。
『右足付け根。内側。ほくろ3つ。』
なんでいきなりあそこであんなこと言ったのか。
まるで自分のものだと言わんばかりのあの態度。
考えれば考えるほど腹が立つ。
あいつのせいで何もかもがおかしくなってる。
よりによってリョウクとヒチョルさんの前で…
悔しさに目尻に涙がたまる。
クソックソックソッ
でも何が一番カンに触るって…
殴ってやりたいほど憎たらしいやつなのに
あいつを見てると落ち着いていられなくなることだ。
鼓動が早くなり息が苦しくなり
身体の奥底がざわざわと色めき立ってくる。
それをもう認めざる負えない状況になってきている。
あいつのあの視線に摑まると
いてもたってもいられなくなる。
クソックソックソッ
なんだよ。
一体なんだってんだよ。
俺はあいつの事なんて
これっぽっちも気にかけていないはずなのに。
「あぁ~」
と思わず叫びながら枕に顔をうずめた。
フッと上下する喉仏が浮かんだ。
思わず目をギュッとつぶり消し去ろうとする。
だけどそれは脳にインプットされているので
絶対消えない類のものだった。
あの喉元に唇を寄せたい衝動と戦う羽目になった。
☆
ブゥブゥブゥ…
揺れるスマホの音が低く部屋に響いた。
ガバッ!
と体を起こすとすっかり日が暮れ部屋の中は
もう真っ暗だった。
どうやら寝てしまっていたらしい。
一体今は何時なんだろう。
暗い部屋の中でスマホの液晶画面だけが明るく光っていた。
着信の相手はリョウクだった。
心配して掛けてきてくれたのだとわかっていても
どうしても出る気にならなかった。
躊躇しているうちに電話が切れた。
LINEのアイコンの上には20件を超す通知が届いていた。
鳴る。
切れる。
鳴る。
切れる。
それを数回繰り返していると
リョウクのそれとは違う通知が届いた。
知らないIDのその通知を普段だったら絶対
ムシするのに、
なぜか今日はその通知をタップした。
”怒った?”
短いたったその一言だったが
それだけで誰からかわかった。
何言ってんのこいつ。
思わずギリギリと歯ぎしりする。
あの状況で笑って許してもらえると思ってるのか?
今、目の前にいたら絶対殴りかかってる。
が、それをストレートに返すのは癪に障った。
”何が?”
そう打ち込んで送信をタップした。
精一杯の虚勢だった。
またあの夜がフラッシュバックし身体がブルッと震えた。
自分の意思とは反して身体がいうことを利かない。
腰のあたりが重くなりどうにもこうにもいたたまれない。
腰のあたりが重くなりどうにもこうにもいたたまれない。
でも絶対認めるわけにはいかない。
本当にあの夜はただのアクシデントだったんだ。
もう二度とあんなことはない。
手に持ったスマホをギュッと握りながらそう強く念じた。
とまた通知が届いた。
…なんだよ
タップするとそこには
店の名前と住所が書いてあった。
それだけだった。
ずっとそれを見つめた。
この宿舎からそう遠くない場所だったが
店の名前は聞いたことなかった。
…一体どう言うつもりなんだ
画面がスッとスリープモードで暗くなった。
が、そのまま画面を見つめたままだった。
そしてまた光った。
”くるよね?”
そしてまた暗くなった。
”くるよね?”
くるよね…?なんだよこれ。
なんで俺が行くことが前提なんだよ。
”来ないか?”
でもなく
”来てくれないか?”
でもなく
”くるよね?”
よしてよ。
俺がホイホイ出向いていくとでも思ってるのか?
…バカにするな!
…バカにするな!
俺はそれをベットに放りだし
服を脱ぎながらバスルームへ向かった。
キュッキュッキュッと
シャワーのコックを回して少し低めの温度のシャワーを頭から浴びた。
そうすればあいつのことを流し去れると思った。
あの、人を射るような眼差しが脳裏に浮かんだ。
あの目で見つめられると正常な判断ができなくなる。
絶対見るな!といつも自分を制してるのに
気がつくと引き寄せられてしまう。
そんな自分にイラつき浴室の壁を拳で殴った。
ジンジンする拳…
ジンジンする拳…
…ずっと待ってるつもりかな
頭のてっぺんからつま先まで
身体の曲線に沿って流れ続けるシャワーの湯が
排水口に渦を作り吸い込まれていくのを
ジッと見つめながらそんなことを思った。
…んなわけないか。
そうさ。
このままほっとけばいいんだ。
知ったこっちゃない。
シャワーを止め腰にバスタオルを巻き
タオルで濡れた頭をゴシゴシと拭きながら
キッチンに向かって冷蔵庫からペットボトルを取り出し
喉に流しこみながらテレビのスイッチを入れた。
えっと…
これなんていう映画だっけ…
題名を思い出せないまましばらくそれを眺めていたがぜんぜん頭に入ってこない。
身体の曲線に沿って流れ続けるシャワーの湯が
排水口に渦を作り吸い込まれていくのを
ジッと見つめながらそんなことを思った。
…んなわけないか。
そうさ。
このままほっとけばいいんだ。
知ったこっちゃない。
シャワーを止め腰にバスタオルを巻き
タオルで濡れた頭をゴシゴシと拭きながら
キッチンに向かって冷蔵庫からペットボトルを取り出し
喉に流しこみながらテレビのスイッチを入れた。
えっと…
これなんていう映画だっけ…
題名を思い出せないまましばらくそれを眺めていたがぜんぜん頭に入ってこない。
目に映ってはいるがそれだけだった。
我慢できずにベットに駆け寄った。
放り投げたスマホがみつからない。
ブランケットや枕をひっくり返し見つけた。
タップすると何件かの通知が来ていた。
リョウクからとヒョクからと
どうでもいい通知…
そして…あいつからだ
まさか、まだいるのか?
一瞬躊躇ったが結局タップした。
………え?
俺は素早く着替えを澄まして
スマホと財布を手に持ち
3分後には家を飛び出していた。
そして送られてきた住所と名前を頼りに
あいつがいる店へと急いだ。
3分後には家を飛び出していた。
そして送られてきた住所と名前を頼りに
あいつがいる店へと急いだ。
cont
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久々続けてアプできました。
いつも待っていてくれて
ありがとうございます
m(__)m