「ほーら止まったじゃねぇか。」
ヒチョル先生 は口角をすっとあげニヤリと笑った。
「いっ、いっ、いっ…」
何か言おうとするけど言葉にならなかった。
「あぁ。礼なんていいから。」
ヒチョル先生はそう言いながら俺の尻をポンポンと叩いた。
俺は目を見開いた。
「せ、先生!いったい何するんですか!!」
やっとの思いで声を絞りだした。
やっとの思いで声を絞りだした。
「い、い、いきなり、な、なに考えてるんですか?!」
俺はナース服の肩口で必死に唇をぬぐった。
着いて来いと言われてエレベーターを降り
ヒチョル先生の医局に向かった。
ヒチョル先生の医局に向かった。
鍵を開け、入るよう言われ部屋に入ると
指をクイクイと曲げ俺を呼んだ。
指をクイクイと曲げ俺を呼んだ。
ん?
と首を突き出すとあろう事にヒチョル先生は
いきなり俺の頭を引き寄せキスをした。
と首を突き出すとあろう事にヒチョル先生は
いきなり俺の頭を引き寄せキスをした。
はい?
あまりにもビックリすると人間全機能が停止するのだろうか。
俺はピクリとも動けずにそのままの姿勢で固まった。
ん…柔らか…ってちがーう!!!
「うわー!!!!!!!!」
と長い沈黙のあと俺の叫び声が響き渡った。
ヒチョル先生別に悪びれた風もなく
むしろ自慢気だった。
「っるせーなー!止まったんだからいいだろ?!」
「な、なんですかその開き直りは!!」
「あぁ…ごちゃごちゃとうるさい!」
「っるせーなー!止まったんだからいいだろ?!」
「な、なんですかその開き直りは!!」
「あぁ…ごちゃごちゃとうるさい!」
「あぁぁぁぁ~もぉぉぉぉぉぉ~」
もうほんと何もかも最悪だった。
思いつく限りの悪態をつくがヒチョル先生は知らんぷりだった。
どこの世にしゃっくりを止めるのにキスする奴がいるんだ?
ありえないだろ?!
そりゃーそりゃー驚いてしゃっくり止まったよ。
止まったさ。
止まったけど違うだろこれ。
礼はいらない?
はぁ?何言ってんの?
こんなのヒョンに知れたら…
ふとヒョンが頭に浮かんだ。
が、それと一緒に思い出した。
ヒョンと一緒にいた女の人。
真っ赤なマニキュアをした手。
その手がヒョンの胸に添えられていた。
ヒョンのびっくりした顔と
振り返った女の人の大きな瞳。
見たことはあるけど誰なのか思い出せない。
一体二人であそこで何やってたのか。
胃の上にどーんと乗っかってるうまく処理できない感情。
ピッチがなって応対してるヒチョル先生を
ぼーっと目線でとらえながら思わず胃に手を当てた。
「おい。」
「おい!」
「ふへぇ?」
「何があった?」
「え?」
「何があったんだよ。」
「…別に。先生には関係ないんで。」
俺を心配して聞いてくれてるんだとわかっても
どうしても素直には言えなかった。
別にヒョンが医局で誰と何をしてようが
別にどうでもいい話だし…
「…ォンが来るぞ。」
「え?」
「シウォンが来るぞ」
俺は珍しいものをみるようにヒチョル先生をみた。
そして人差し指を立てそれを逆さにして足元をさしながら
”ここに?”とジェスチャーして見せた。
ヒチョル先生は大きく二度うなずいた。
「なんで?」
「知らねぇ~よ。なんか相談があるって。」
あ~、えっと…
「失礼します。ありがとうございました。」
俺は頭を深々と下げそそくさと出口に向かった。
トントン
ガチャ
俺が扉を開けるより早くその扉は開いた。
『レラ。入るぞ。』
そのまま足を一歩踏み入れたヒョンが
目の前にいる俺を見て声を失った。
早っ!もう来たのか?
「えっと、あ、失礼します。」
俺は体をひねりながらその脇をすり抜け
その場から立ち去ろうとした。
『キュヒョン!待って!』
ヒョンに腕をつかまれたが俺は”離せよ!”と一喝して
その手を振り払って逃げるようにしてその場を後にした。
あの女の人の大きな目が俺を見ているようだった。
それから病棟に戻った俺はまったく使いものにならなくて
さんざんやらかすだけやらかして退場を命じられた。
ナースステーションから出るなと言われた。
まったくなんなんだよ。
よくよく考えたら俺が逃げるっておかしな話じゃないか。
俺はなーんにもしてない。
「俺は悪くない!!」
思わず勢いで声に出てしまった。
パコン!
ナースステーションにいい音が響き渡った。
ヒョクが俺の頭を一発はたきやがった。
「いて!なにすんだよぉ~…」
「お前なぁよくいえるなぁそんなこと。」
「いや、ちが…」
「お前、食事禁の患者に飯食わせるところだったんだぞ!」
「あ、あ…えっとそれは…」
「俺が気が付いたからよかったけど
あのまま食べさせてたらそれこそどんなことになってたか。」
「……」
そういわれるともう何も言えない
あぁ…穴があったら入りたい…
俺は口を尖らせたままおとなしくカルテの整理を続けた。
「お疲れ様です~」
「お疲れ~」
「じゃ…」
「あぁ、気を付けて帰れよ!」
夜勤のスタッフと申し送りを終えこれからジムに行くというヒョクと別れ
自転車置き場に近い裏口に向かった。
もうほんと何もかも最悪だった。
思いつく限りの悪態をつくがヒチョル先生は知らんぷりだった。
どこの世にしゃっくりを止めるのにキスする奴がいるんだ?
ありえないだろ?!
そりゃーそりゃー驚いてしゃっくり止まったよ。
止まったさ。
止まったけど違うだろこれ。
礼はいらない?
はぁ?何言ってんの?
こんなのヒョンに知れたら…
ふとヒョンが頭に浮かんだ。
が、それと一緒に思い出した。
ヒョンと一緒にいた女の人。
真っ赤なマニキュアをした手。
その手がヒョンの胸に添えられていた。
ヒョンのびっくりした顔と
振り返った女の人の大きな瞳。
見たことはあるけど誰なのか思い出せない。
一体二人であそこで何やってたのか。
胃の上にどーんと乗っかってるうまく処理できない感情。
ピッチがなって応対してるヒチョル先生を
ぼーっと目線でとらえながら思わず胃に手を当てた。
「おい。」
「おい!」
「ふへぇ?」
「何があった?」
「え?」
「何があったんだよ。」
「…別に。先生には関係ないんで。」
俺を心配して聞いてくれてるんだとわかっても
どうしても素直には言えなかった。
別にヒョンが医局で誰と何をしてようが
別にどうでもいい話だし…
「…ォンが来るぞ。」
「え?」
「シウォンが来るぞ」
俺は珍しいものをみるようにヒチョル先生をみた。
そして人差し指を立てそれを逆さにして足元をさしながら
”ここに?”とジェスチャーして見せた。
ヒチョル先生は大きく二度うなずいた。
「なんで?」
「知らねぇ~よ。なんか相談があるって。」
あ~、えっと…
「失礼します。ありがとうございました。」
俺は頭を深々と下げそそくさと出口に向かった。
トントン
ガチャ
俺が扉を開けるより早くその扉は開いた。
『レラ。入るぞ。』
そのまま足を一歩踏み入れたヒョンが
目の前にいる俺を見て声を失った。
早っ!もう来たのか?
「えっと、あ、失礼します。」
俺は体をひねりながらその脇をすり抜け
その場から立ち去ろうとした。
『キュヒョン!待って!』
ヒョンに腕をつかまれたが俺は”離せよ!”と一喝して
その手を振り払って逃げるようにしてその場を後にした。
あの女の人の大きな目が俺を見ているようだった。
それから病棟に戻った俺はまったく使いものにならなくて
さんざんやらかすだけやらかして退場を命じられた。
ナースステーションから出るなと言われた。
まったくなんなんだよ。
よくよく考えたら俺が逃げるっておかしな話じゃないか。
俺はなーんにもしてない。
「俺は悪くない!!」
思わず勢いで声に出てしまった。
パコン!
ナースステーションにいい音が響き渡った。
ヒョクが俺の頭を一発はたきやがった。
「いて!なにすんだよぉ~…」
「お前なぁよくいえるなぁそんなこと。」
「いや、ちが…」
「お前、食事禁の患者に飯食わせるところだったんだぞ!」
「あ、あ…えっとそれは…」
「俺が気が付いたからよかったけど
あのまま食べさせてたらそれこそどんなことになってたか。」
「……」
そういわれるともう何も言えない
あぁ…穴があったら入りたい…
俺は口を尖らせたままおとなしくカルテの整理を続けた。
「お疲れ様です~」
「お疲れ~」
「じゃ…」
「あぁ、気を付けて帰れよ!」
夜勤のスタッフと申し送りを終えこれからジムに行くというヒョクと別れ
自転車置き場に近い裏口に向かった。
本当はこのまま帰りたくなかったけど、ジムに行く元気はなかったので
どこかで時間を潰そうとしてリョウクに声をかけた。
どこかで時間を潰そうとしてリョウクに声をかけた。
けど、ジョンウン先生とデートだと言われてあっさり振られた。
チェッ…
仕方なくチョウミの所のラウンジにでも顔を出そうかなどと、
思ったりもして考えあぐねていた。
あぁ!もぉ!!!
思わず天を仰いだ。
「ねぇ、君。確かシウォン先生の病棟の人だよね?」
「わっ!」
まさか人がいるとは思ってなかったので心底驚いた。
振り返ると皮膚科のドクターが俺に向かって話しかけていた。
優しくてイケメンだとうちの病棟のナースたちにも評判な先生だ。
「あっ、はい。」
そう答えると先生は”よかった”と言ってにっこり笑った。
「これ。シウォン先生に頼まれたんだけど捕まらなくて。
病棟のキュヒョンっていうナースに渡してくれって言われて。
君…キュヒョン君だよね?」
「えぇ、はい、キュヒョンです。」
「これ頼むよ。ちゃんと塗布するように伝えてくれる?
じゃないと痕になるからって。」
「……えっと」
俺は手渡された袋をじっと見つめた。
…痕になる?
…ん?
「とにかくよかった。先生によろしく言ってくれな。」
「えっと、あっ、はい。いや、あの~?」
事態がよく飲み込めないまま声をかけたが先生は行ってしまった。
しばらくその袋を見つめたが、どうせ分からないことだからあれこれ考えるのをやめた。
思ったりもして考えあぐねていた。
あぁ!もぉ!!!
思わず天を仰いだ。
「ねぇ、君。確かシウォン先生の病棟の人だよね?」
「わっ!」
まさか人がいるとは思ってなかったので心底驚いた。
振り返ると皮膚科のドクターが俺に向かって話しかけていた。
優しくてイケメンだとうちの病棟のナースたちにも評判な先生だ。
「あっ、はい。」
そう答えると先生は”よかった”と言ってにっこり笑った。
「これ。シウォン先生に頼まれたんだけど捕まらなくて。
病棟のキュヒョンっていうナースに渡してくれって言われて。
君…キュヒョン君だよね?」
「えぇ、はい、キュヒョンです。」
「これ頼むよ。ちゃんと塗布するように伝えてくれる?
じゃないと痕になるからって。」
「……えっと」
俺は手渡された袋をじっと見つめた。
…痕になる?
…ん?
「とにかくよかった。先生によろしく言ってくれな。」
「えっと、あっ、はい。いや、あの~?」
事態がよく飲み込めないまま声をかけたが先生は行ってしまった。
しばらくその袋を見つめたが、どうせ分からないことだからあれこれ考えるのをやめた。
俺はそれを鞄の中に押し込んで足早に病院を出た。
cont
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まだ続く…
_φ(・_・