風が変わった。
だんだんクリアになっていく意識の遠くでそんなことを思った。
まだ目が明かない。
窓が開いたのだろうか…
吹き込む風が身体にまとわりつく。
でも自分の全身が五感がそれを心地よいと感じ取っていた。
『キュヒョン…キュヒョナ…』
ヒョンの声がストレートに入ってくる。
ヒョンに名前を呼ばれる悦びが全身を駆け巡る。
ヒョンの声が好きだ。落ち着く。
バカみたいな話だし人に知られるのは恥ずかしいけど…
「シウォナァ…」
髪を梳かれて思わず…思わず甘えた声を出した。
しまった!
と思ったときは遅かった。
髪を梳くヒョンの手が一瞬止まりついでに車も止まった。
上の瞼と下の瞼を無理やり引っ剥がして目を開けた時には
目の前にヒョンのドアップが迫っていて…
ヒョンが降ってきた。
次に俺の意識がクリアになった時には
唇と口中に残るヒョンの舌の感触と、身体の奥底で沸々と湧き上がる甘美なしびれに包まれていた。
『残念だけど、続きはついてから…』
ヒョンの手が俺の手をポンポンと叩いた。
え?
俺はヒョンにしがみついていたらしい。
「あっ、えっ、あっごめん…」
恥ずかしさとバツの悪さでしどろもどろになりながら
パッと手を放してバンザイのポーズをした。
ヒョンがクックックッと目尻に皺を寄せてうれしそうに笑うからつられて俺も笑った。
また車が静かに走り始めた。
周りの景色で自分たちがどこに向かっているのかなんとなく分かった。
俺の胸が次第に鼓動を早めていった。
☆
『さぁ、つい…あっ!おい!キュヒョン!』
俺の言葉を最後まで聞かずに、車が止まるか止まらないかのところでキュヒョンが車から飛び降りた。
そして、俺たちを出迎える2人の所に駆けていった。
じぃやとばぁや。
2人は満面の笑みで駆け寄ったキュヒョンに笑いかけ
3人がハグし合うのを荷物を降ろしながら見つめた。
微笑ましかった。
キュヒョンの表情が一瞬にして変わった。
そして俺を振り返り”ヒョン!!”と俺を呼んだ。
その目がキラキラと輝いてきれだった。
俺は軽く手をあげ合図を返し、荷物を持って3人の方へ歩き出した。
「おかえりなさい。坊ちゃま。」
『ただいま…』
俺は荷物をいったんその場に置き、一言挨拶をして2人をハグした。
「さぁ、さぁ。入りましょう。お腹すいたでしょ…」
『おっ、楽しみだな。お腹すくとキュヒョンは機嫌が悪くなるんだ…
さっきまで…』
「ヒョン!余計な事言わないで!」
キュヒョンが慌てて俺の口を塞ぐ。
降参のポーズでおどける俺にみんなが一斉に笑った。
「まぁ、まぁ、相も変わらず仲がよろしくて安心いたしましたよ。」
そして、俺たちを出迎える2人の所に駆けていった。
じぃやとばぁや。
2人は満面の笑みで駆け寄ったキュヒョンに笑いかけ
3人がハグし合うのを荷物を降ろしながら見つめた。
微笑ましかった。
キュヒョンの表情が一瞬にして変わった。
そして俺を振り返り”ヒョン!!”と俺を呼んだ。
その目がキラキラと輝いてきれだった。
俺は軽く手をあげ合図を返し、荷物を持って3人の方へ歩き出した。
「おかえりなさい。坊ちゃま。」
『ただいま…』
俺は荷物をいったんその場に置き、一言挨拶をして2人をハグした。
「さぁ、さぁ。入りましょう。お腹すいたでしょ…」
『おっ、楽しみだな。お腹すくとキュヒョンは機嫌が悪くなるんだ…
さっきまで…』
「ヒョン!余計な事言わないで!」
キュヒョンが慌てて俺の口を塞ぐ。
降参のポーズでおどける俺にみんなが一斉に笑った。
「まぁ、まぁ、相も変わらず仲がよろしくて安心いたしましたよ。」
そう、ばぁやが笑うと、
「そんな…別に…」
とキュヒョンが顔をしかめる。
『じゃあ、俺たちは仲がわるいのか?』とすかさず俺が問い返すと、
「いや、え…いや、悪いわけじゃ…」
『だったら…』
「まぁ、ほどほどに…」
『ふ~ん。ほどほどね~』
俺は呆れたと言わんばかりに目を大きく見開いてキュヒョンの額にデコピンをした。
「痛っ!なんだよ!」
と、キュヒョンが額を擦りながら"えいっ!"と言って俺を足を踏んだ。
『痛っ!コラッ!痛いじゃないか!』
俺は思わず踏まれた足を上げ、ケンケンしながらキュヒョンをみると、
小さなばぁやの後ろに隠れて、目を輝かせながら笑っていた。
「はい、はい。やっぱり仲がよれしくてよぉございました。」
ばぁやが呆れた顔で大げさにため息をつく姿に、俺たちはちょっと恥かしくなった俺たちは、照れ笑いで答えた。
☆
「あぁ~も~ダメ。もうこれ以上むりだよ~」
キュヒョンが切なそうな声でギブアップを口にした。
『なんだ、キュヒョン、もういいのか?
まだまだこれからが…』
ばぁやが用意してくれた料理は相変わらずどれもこれも素晴らしく、
人間の欲のうちの一つ、食欲をこの上なく満足させる物ばかりだった。
人間の欲のうちの一つ、食欲をこの上なく満足させる物ばかりだった。
今も、デザートを手にばぁやがもどってきた。それを見たキュヒョンが目を丸くした。
じぃやの勧めるいろいろなワインを試しながらいつしかキュヒョンもリラックスしたようで食事が終わるころにはすっかり上機嫌で俺の心まで晴れやかになる。
キュヒョンは満足気な顔で膨れた腹をさすっていた。
「キュヒョンさんはなんでも本当に美味しそうに食べてくださるので
作り手としては本当にうれしゅうございます。」
ばぁやがそう言いながら開いた皿を手に取りさりげなく下げていく。
「だって本当にどれもこれもおいしい!
さっきのあれ。あのパイ生地で包まれたあのヤツ。
あれ本当においしかった。ウクにもたべさせてあげたいなぁ。
あいつがここにいたら本当に喜ぶだろうな…」
キュヒョンがリョウクの名を出して残念そうにそう言った。
「お友達ですか?その方。」
「うん。すごくいいやつなんだ。料理がものすごく上手で
いつも俺たちのために何かしら用意してくれて…
あっ、もちろんばぁやさんの料理も本当に美味しいし…
うわぁ~俺って本当に幸せもんだな~
こんなに料理が上手な人たちが周りにいて…
ねぇ、ヒョン。ヒョンもそう思うでしょ?
あぁ~あいつとばぁやさん絶対気が合うと思う。
いつか合わせてあげたいなぁ~」
程よく酔いが回っているのかキュヒョンが上機嫌でそんなことを言い出した。
饒舌なのが珍しい。
「私もお会いしてみたいですね、その方に。
キュヒョンさんのお友達なら猶更ですよ。」
「ぜひ!ぜひあのパイのヤツ教えてやってほしいなぁ。
そしたら俺、いつでも食べられる!」
キュヒョンがそう言いながらクツクツと笑う。
程よく…と思ってたが、実はかなり回ってるらしい。
「あいつ見かけは小っちゃくてすっごい頼りなさそうにみえるんだけど
そこらへんにいる女子より女子だし。でも怒るとすっごく怖いんだ。
ヒョンなんていっつも怒られてて小さくなってて…
この前なんてね…」
『キュヒョン!』
何かとんでもないことを言い出しかねない状況になってきたので
俺は思わず止めた。
が、キュヒョンはそんなことお構いなしで話し続ける。
その間もワインのグラスは手に持ったままで
次々と注がれるワインを堪能していた。
もうそろそろ止めた方がいいかな?
そんなことを思いながら目を細めてキュヒョンを見つめた。
今まで饒舌だったキュヒョンの舌が急に重くなった。
「……ないでよ…」
『ん?なに?』
「……そんな目で…みないでよ…」
『え?』
下を向きながらもごもごとキュヒョンが何か言ってる
「キュヒョンさん大丈夫ですか?
もう、あなた…調子に乗って飲ませすぎるから…」
「いや、キュヒョンくんならこのくらいじゃ…大丈夫ですか?キュヒョンさん。」
じぃやとばぁやも心配し始めた。
『どうした?気分でも悪いのか?』
俺は席を立ちキュヒョンの傍にたち肩に手を置き顔を覗き込んだ。
「ちがう…そうじゃない…」
キュヒョンが頭を左右に振りながら違うというが、
そう言ってるうちに顔がみるみる赤くなっていき…
『おい。本当に大丈夫か?もうその辺で…』
キュヒョンの手からワイングラスを受け取ろうとしたが、
キュヒョンはグラスから手を離さない。
「そうじゃない…ってば…」
キュヒョンはそういうとグラスに残っていたワインを一気に流し込もうとした。
『あっ、ばか、そんな風に飲んだら…ほら、それよこして』
今度はちゃんとグラスを取り上げた。
グラスの中身がこぼれ俺の手を濡らした。
と、キュヒョンがその手をつかんで俺の顔を見上げた。
キュヒョンの目元が赤く染まり、潤んだ目のキュヒョンはとても官能的だった。
「ばぁや…水を…」
俺は気を反らすべく咳ばらいをしてばぁやにそう告げた。
「大丈夫か?」
そう言いながら視線を戻すと、キュヒョンは俺の目を見つめながらペロリと舌を出した。
そして俺の手を濡らしたワインの滴をペロリと出したそれで絡めとった。
俺ののどがヒュッと鳴った。
さ…これを…」
キュヒョンの頬に手を伸ばそうとしたときばぁやが水を持ってきてくれた。
『さぁ、飲んで…』
ばぁやから受け取ったグラスをキュヒョンに手渡した。
キュヒョンの喉仏が上下して口元から一筋水が流れた。
思わず俺の喉も上下する。
チッ…
無意識の誘惑が一番タチが悪い。
『キュヒョン。ちょっと外を歩こう…』
俺は逸る気持ちを抑えながらキュヒョンの手を取り庭へと向かった。
cont
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ネバーエンディングストーリー
的な?(^◇^;)