【短】 とらいあんぐる㊱ | ウォンキュ☆ひたすら妄想~

ウォンキュ☆ひたすら妄想~

superjuniorのシウォン(siwon)とキュヒョン(kyuhyun)のふたり
ウォンキュ(wonkyu)がベースな小説展開中。
が、いろんなカプも活躍中!!


twitter→@won_kyu7


side:siwon


『キュヒョン。ダニエルを置いてそのまま帰ったのか?』

それまでとにかくキュヒョンの話を聞こうと
極力口を挟まず黙っていたが、
どうしても聞かずにはいられなかった。

「うん。」

『部屋に一緒にって言われたのに?』

「ううん。ダニエルさんは場所を移すって言っただけだよ。
だからそれってもう部屋に帰りたいって遠まわしに
俺に言ってるんだと思って…
話ししてて忙しい人だってわかったし、
早く部屋に帰って休みたいみたいだったから
邪魔しちゃ悪いし。
俺に気を使ってたのか、部屋に戻りたいって
はっきり言えなかったみたいだったんだ。」

『キュヒョン、お前…』

「気が付かなくて悪かったなぁってそれは今でも思ってる。」
そうキュヒョンがバツが悪そうに何度も頷きながらそう言う。



俺は目の前にいるキュヒョンの言ってることが最初理解できなかった。

ホテルの部屋のキーが届いて”場所を移して…”って言われたら
それは夜を一緒に過ごそうと誘っているに決まってるじゃないか。
手まで握られて…

そう。
ダニエルはキュヒョンとの甘い夜を想像していたに決まっている。

早く部屋に戻って寝たいから案に帰るようにと促す男が
この世の中にいるわけがないって本当に知らなかったのか?

キュヒョンの天然ぶりが功を成したというかなんというか…

俺はこめかみを押さえながらこの幸か不幸かの話を理解しようとした。

「なんだよ。俺、本当のことしか言ってないから…」

キュヒョンが唇を少し突出し不服そうに話す。


…大変興味深い。とにかく彼はすばらしい

そう言っていたダニエルの言葉を思い出したら
笑いが込み上げてきてたまらなくなってきた。

ダニエルはキュヒョンを抱くことができなかった。

ざまあみろ。

そう思いながらちょっと気の毒に思ったら笑いが止まらなくなった。

キュヒョンは今、俺のものだ。
こんなに痛快なことはない。

できることならカウンターにひとり残され苦笑してる
ダニエルをこの目で見るために、その日にタイムスリップしたいくらいだ。

にしてもだ。
本当にキュヒョンにはいつも驚かされる。

その後ダニエルは病院に現れて、ドックでメンテナンスと称して
何かにつけキュヒョンに絡んでいたようだったが
この様子だとダニエルの空振りに終わっていたようだ。

ダニエルは偶然にも助けたこのキュヒョンの口から
俺の名前が出た時、どんな気持ちだったんだろうか。

少しでも俺を覚えていたのであればきっとすぐわかったはずだ。

キュヒョンに興味を持ったのも事実だろうが
キュヒョンを介して本当は…
ついそんな甘い考え方をしてしまう。

頭を振りながら余計なことは考えないように
考えをシャットアウトした。

「……ョン……ねぇ、ヒョン…聞いてる?」

『え?なに?あぁ…いや、聞いてるよ。』

「俺の話そんなに退屈?それとも端から聞く気がなかったってこと?」
キュヒョンが顔を歪め立ち上がり歩きだした。
その腕を掴んだ。

『いや。話してくれてありがとう。よくわかった。』
俺もソファーから立ち上がりキュヒョンの正面に立った。

「……」

『キュヒョン。俺が勝手に勘違いしてお前を傷つけたこと
心から謝る。本当にすまなかった。』

そう謝りながら、よく今まで何事もなく過ごしてこれたものだと
まじまじと顔を見つめる。

「な、何?」

そうか…
ウニョクか。ウニョクがガードしてたのか。

額にかかった髪を優しく掻き上げる。

結局キュヒョンはダニエルの下心なんてこれっぽっちも疑わなかったのが
事実なんだろう。
ただ、結果それがダニエルの気を引くことになってしまっただけだ。

世の中の人はみな善人だと信じているキュヒョンが愛おしかった。

キュヒョンを守るのはダニエルじゃない。
この自分しかいない。

キュヒョを見つめ、手の甲でそっとキュヒョンの頬を撫でた。

そしてそっと抱きしめ、キュヒョンを自分の懐に閉じ込めた。







抱きしめられて、本当なら心ときめく瞬間なんだろうけど
ヒョンが何を感じて何を考えてるのかがわからなくて
なんだかものすごく怖い。

ヒョンが触れた頬が熱くてしかたない。

どうしていいかわからない。

本当の事しか話してない。
何も隠す必要ないし、ヒョンにわかって欲しかった。
でもヒョンの態度は予想を超えてて…

本当は逃げ出したかった。
でもここでまた逃げてたら何も解決しない。
ダニエルさんのことは絶対はっきりしておかないと…

悪い人じゃないのを知ってるから余計このままではダメなんだ。
だってあの人を絶対嫌いになんてなれないと思う。

でもそれはヒョンに対する感情とまったく違うものだと
わかってもらわないとならないことだし…

なんであんなに気にするかがわからなかった。
俺に問題がないってことはヒョンに何かあるはずだ。

うん。

何を聞いても大丈夫だなんて自信なんてない。
ダニエルさんと同じ土俵になんて立てないのわかってるから余計怖い。

でも、ヒョンがいなくなるのはもっと怖い。
いなくなるなんてこと考えられない。

ヒョンは優しいから俺に気づかせずに
本当にいきなりいなくなってしまうかもしれない。
気が付いたらひとりになってたなんてこと絶対耐えられない。

少し前の俺だったら一人でもきっと大丈夫だった。
でも、この居心地のいい空間を知ってしまったらだめだ。

俺は得体のしれない大きな何かに飲みこまれそうになって
知らず知らずのうちにヒョンのシャツをギュッと握りしめた。

握りしめたんだけど…

な、なに…

抱きついたヒョンの体が小刻みに揺れている。
最初はほんとに小さく。

が、それは次第に大きくなり最後には声を出して笑い出した。

「ヒョ、ヒョン?」


今度は俺がヒョンの顔をまじまじと見つめた。