【短】 とらいあんぐる㉟ | ウォンキュ☆ひたすら妄想~

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superjuniorのシウォン(siwon)とキュヒョン(kyuhyun)のふたり
ウォンキュ(wonkyu)がベースな小説展開中。
が、いろんなカプも活躍中!!


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リビングのソファーに腰かける俺の隣にキュヒョンが腰を下ろした。
そして、肘を膝の上に置きちょっと前かがみになって
手元の招待状を見つめながら話し始めた。

「ダニエルさんは…俺を助けてくれたんだ。」
キュヒョンがそう切り出した。

そして何も答えない俺を首を捻り見上げ

「助けてくれただけなんだ。」

と俺の目を見てしっかりした口調でもう一度念を押すかの様に繰り返した。

それから淡々とその時のことを話してくれるキュヒョン。
偶然でもなんでもダニエルとキュヒョンが出会ったことが気に入らない。

でもそんなこと言えるはずもなく…
無意識にくるくると指輪を回すキュヒョンの手元を見つめた。

「ちょうどこのパーティーにどうしても出ろって言われて…
俺、その頃人前に出るの好きじゃなくて、
ウニョクかゲーム仲間以外とはあんまり…
家にこもってゲームばかりやってて…
その日もすっかりパティ―の事忘れてて
迎えが来てもなんのことかわからなくて…
とにかくドレスコードも無視して着の身着のまま
会場に行っちゃったんだよ。」

手振りを加えてキュヒョンが続ける。

「で、会場についてユジンに電話したんだけどでなくて
どこに行っていいのかもわからなくて。
会場の中をウロウロしてたら
セキュリティーに止められちゃったんだ。」

『招待状は?』

「持ってなかった。」

『それじゃ…』

「そうなんだよ。止められてあたりまえなんだけど、
こっちがいくら説明しようとしてもあの人たちほんと、聞いてくれなくて…
俺、ほんっと変な格好してたし。
携帯で連絡しようとしてポケットに手を入れたら
いきなり抑え込まれちゃったんだ。
銃とかナイフとか出すんじゃないかって思われた。」

『…』

「ほんと銃、向けられたし、俺が何言っても聞いてくれないし。
俺もパニクッちゃって訳のわからないこと叫んじゃうし、
相手投げ飛ばしちゃったし。」

『投げ飛ばした?』

「うん。ほら、昔から最低限の自分の身を守るために
護身術とか…ヒョンだってそうでしょ?」

キュヒョンが俺をまた見た。
俺はうんうんと頷いて見せた。

「で、なんかすごいことになっちゃって…
向こうはセキュリティ―のプロだからあっという間にまた抑え込まれて…
連れ出されそうになったところでもみ合ってたらシャツも破れちゃってて
ちょうど胸の傷…見えちゃって。そんな傷あるからまたみんな驚いちゃって。
銃で撃たれた傷がある不審者って。
失礼な話だよね。
死ぬか生きるかの傷だってのに。」

キュヒョンが口角を上げてクツクツと笑った、

「で、警備室に連れて行かれそうなところで偶然遅れてきたダニエルさんが…」






そう。
あの時のダニエルは、正に救世主だった。

訳の分からない状況にパニックを起こしていた俺を
一瞥すると、自分の身分を名乗り、
セキュリティーの責任者を呼ぶようにとそう言ってくれた。

そして、”みんな落ち着きなさい。”と一喝して
俺をみて”大丈夫か”と声を掛けてくれた。

そしてシャツが破れてしまって半裸になっていた俺に
自分のジャケットを脱いで着るようと渡してくれた。

「君、名前は?」
そう聞かれて名前を告げると
そこにいた誰もが一瞬動きを止めた。

招待客の中でも特が付くVIP扱いの一人だと誰かが気が付いた。
そして、駆けつけたセキュリティー責任者は青くなった。
ダニエルはその様子を面白そうに見ていた。

少しするとユジンが来てしこたま怒られた。

俺が怒られたんだ。
チョ家に恥をかかすなって。

でもあの時の俺の姿見たらそれも仕方ないことだって思う。
ぼさぼさ頭に度の厚いレンズのメガネ。

あのころの俺は本当にひどかった。
ほんと、ひどい恰好だった。

ダニエルが俺をその場から連れ出してくれた。

「君。この傷は?」
エレベーターに乗った時にジャケットをめくられ
傷を指さし聞かれた。

一瞬驚いたが、こんな傷見たこの人の方が驚いてるんだろうと
ガバッと前を開けて傷を全部見せた。

「心肺停止で開胸したときの傷なんです。
大きな事故に巻き込まれて…」
体の中央を走っているその傷はまだ赤黒く、
グロテスクな様相だった。

そう説明している間もダニエルさんはジッと俺の傷を見つめたままだった。

「気持ち悪いですよね。こんなの。すみません見せちゃって…」
極力人前で着替えたりしないようにして余り人には見せたくなかった。

やり過ぎたと思って、
借りたジャケットの前を慌てて閉めようとした時
手を掴まれて阻まれた。

そしてもう片方の手で傷をそっと撫でられた。
その指先の冷たさに肌が粟だった。

「これはどこで?」

「え?」

「ドクターは誰?」

突然聞かれてびっくりしたけど、
俺は病院名と会ったことのないドクターの名前を告げた。

すると小さく息を飲んだダニエルさんは
「そうか…」と一言だけ言って黙ってしまった。


エレベーターを降りてまず、
恰好を整えようと、ホテルの一室に連れて行かれた。
そしてダニエルさんが何かを指示すると
数々のシャツにスーツ、タイに靴が運び込まれ、
目の前に並べられた。

何度か試着を繰り返し、ダニエルさんのオッケーが出た時には
だいぶ時間が過ぎていた。

財布からカードを取り出し店員に渡そうとしたら
プレゼントだと言って自分のブラックカードを店員に渡した。

会ったばかりだというのに…
結局、頭から靴まで一式揃えてくれた。

その時のダニエルさんは洗練された大人で
本当になにもかもがスマートだった。
自分が女だったらきっとあこがれていただろうな…
そんな事を思ったことを思い出し苦笑いした。

その後、パーティーには戻らず
結局ホテルのラウンジでカウンターに一緒に座った。

俺はワインには少々詳しくて話を聞いてくれるダニエルさんに
俺としては珍しく夢中になって話をした。

そしてダニエルさんもいろんな事を教えてくれた。
年の功とでもいうんだろうか。
俺が知ってる事の何倍も、何十倍もいろんなことを知っていた。

俺はそんな話ができる人がいることに少なからず興奮した。
手を宙に振りかざしながらずっと話し続けた。

と、突然頬にダニエルさんの手が触れスーッと撫でられた。
ゴミでもついてるのかと思って”すみません”というのと同時に
ダニエルさんの顔がアップになったと思ったら
”これからどうする?”と耳元でダニエルさんがそう言った。

夢中になり過ぎた。
酔いも回ってたし、あの時は話しをわかってくれる人が
目の前にいて、ついつい調子に乗った。

「すみません。ウザいですよね。初めて会ったのにこんな話ばかりで…」

もう黙れってことだと思って、俺は頭を掻きながら謝った。

「いや、とても楽しいよ。君と会えてよかった。」

「いえ、俺こそ助けていただいた上にすみません。洋服まで…」

そう言ってパンパンと体を叩いた。

するとダニエルさんの側にホールスタッフがスッと寄ってきて
部屋のキーをそっと置いて行った。

「あの、キュヒョンくん。よかったら、場所を移さないか?」

カウンターの上に置いた手にダニエルさんの手が重なった。
そう言われて俺は慌てた。

そして、カウンターの椅子から勢いよく立ち上がり
ダニエルさんに平謝りに謝って
助けてもらったお礼と、買ってもらった洋服のお礼を言って
俺は失礼しますと頭を下げて大慌てでユジンのところへ行ったんだ。

「俺、ダニエルさんのこと邪魔しちゃったみたいで、気が付かなくて…」

そこまで話して俺は念を押した。

「ダニエルさんが俺の傷見たのは…偶然だったんだ。
で、その時だけなんだ。
ヒョンが思ってるような事なんて何もないんだ。」

そう言ってヒョンの顔を見ると
ヒョンがなんだか変な顔して俺を見る。

…え?まだ疑ってるの

「ヒョン…なに?」

俺ちゃんと説明してるのに…
わかってもらえないの?









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このイメージで…😅

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