saide:K
『キュヒョナ…ごめん。』
『キュヒョナ…俺が悪かった。』
『キュヒョナ…すまなかった。』
『キュヒョナ…怒ってるの?』
『キュヒョナ…機嫌直して』
『キュヒョナ…どうしたら機嫌直してくれる?』
『キュヒョナ…』
またヒョンがしつこい。
あぁ~なんかイラつく。
俺がちょっとでもイラつく態度みせたり、ムシすると、途端に謝り始める。
とりあえず謝っときゃいいみたいなの…
「ムカつく。」
いつも最後に俺がそう吐き捨てる。
そうすると、ヒョンが嬉しそうに目を細める。
そして何とも言えないデレた顔で俺を見つめる。
喜ぶってどうなんだよ、これ。
でも、俺はその顔が好きで見とれてしまいそうになって思わず顔を背ける。
…全く、ヒョンにはプライドってもんがないのかよ。
そう、心の中で言いながらグッとこらえる。
side:S
男のプライド?
なんで、そんなものが必要なんだ?
そんなものキュヒョンの前では何の役にも立たない。
「うるさい」
「聞こえない」
「あっち行って」
「触んないで」
「キモいよ」
どれもこれも俺にとって心地いい響きだ。
ずっと心無いおべっかや賛辞を受け続けて
誰も俺と本気で向かい合ってこなかった。
でもキュヒョンだけは本心で向かってきてくれる。
…ボスッ
うっっっ キュヒョナそれはちょっと…
油断した。
また一発食らってしまった。
そう。
たまにこうやってパンチを食らったりするが、
それがなんだっていうんだ。
俺が腹を撫でながらキュヒョンを見る。
そっぽを向いたキュヒョンの口元は口角が上がり
目をキュッと細め、キュヒョンなりにニヤケてるって
よーくわかる。
本人は自覚がないようだが、そんなキュヒョンを見るのが
この上なく好きで思わず見とれる。
side:wk
『なぁ、キュヒョナ…そろそろ…機嫌…』
にじり寄る。
「ヒョン。ウザい。」
吐き捨てる。
目を細める。
そっぽ向く。
弛む口元。
上がる口角。
心地よい瞬間。
極上な瞬間。
「ヒョン…」
『ん?』
「なんでもない。」
『キュヒョナ…』
ふたりの息が上がる。
至福。
そんな瞬間
end
*********************************
ちょっとでもほっこりしてもらえたら
うれしいです。ペコリ(o_ _)o))