す、すみません・・・
長いかも。
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キュヒョンは目覚めると、
微睡みながらいつものくせで、
すぐ隣で眠るシウォンに触ろうと手を伸ばした。
が、一緒にいたはずのシウォンはそこにはおらず、
その手はさまよったまま居場所を失った。
---あれ?
キュヒョンが慌てて体を起こし、
周りをキョロキョロと見渡した。
時間を確認すると、すでに22時を過ぎていた。
---ヒョンはどこだ?
寝ぼけた頭でしばらくじっとして考えていたが、
突然、どうしようもない不安感に襲われ、
体がブルッと震えた。
---え?いなくなっちゃた?
---本当にどっか行っちゃった?
キュヒョンは肌触りのよいブランケットを引き寄せ胸の前で抱えた。
---いなくなっちゃえ。
---いっしょにいたくない。
---嫌いだ。
シウォンに投げつけた自分の言葉が
次々とフラッシュバックして心臓が痛いくらい鼓動する。
---え?
---本当にいなくなっちゃったの?
いったんそんなことが頭に浮かんでしまうと、
不安は恐怖心に変わり、いてもたってもいられなくなった。
慌ててベットから飛び降り、床に足を下した途端
膝から崩れ床に突っ伏してしまった。
---うっ・・・また・・・
シウォンを思い出し、体が熱を帯びる。
散々啼かされた体が疎ましい。
立ち上がる気力もなくっていうよりも、
体がいう事を聞かずなかなか起き上がれないでいた。
ガチャッ・・・
ベットルームのドアが開いたので顔を上げて
ドアの方を見ると隣の部屋の明かりを背に
見慣れた姿のシルエットが立っていた。
その影が一瞬とまったかと思うと、慌てて駆け寄って来た。
『おい、キュヒョン!どうした?大丈夫か?』
シウォンは床に突っ伏しているキュヒョンの肩に手をかけた。
「大丈夫じゃない。シウォナのバカ・・・」
顔だけぴょこっと上げて心配そうに見下ろすシウォンをみた。
『え?』
「誰かさんのせいで動けない。」
ちょっと恨みがましく言いながら頬を紅く染めた。
『あぁ~・・・それはキュヒョンが・・・それより、さぁ、起きて。』
シウォンはクスクスと笑いながらキュヒョンを支えて
立たせようと手を差し伸べた。
キュヒョンはブツブツと不満を口にしながら
シウォンの手を借りてベットの端に腰を下ろした。
シウォンがブランケットを肩から掛けると
キュヒョンはそれを胸の前でかき集めギュッと掴んだ。
シウォンはベットには座らず、キュヒョンの前に膝を折って屈んだ。
「どこ行ってたんだよ・・・」
心配そうに下から覗き込むシウォンにそう言うと
自分でもどうしてなのかわからないけど涙がぶわっ!と浮かんできた。
『え?どうしたキュヒョン?どこか痛めたのか?』
膝の上に置かれたシウォンの手に力が入った。
「気が付いたらいなかったから、俺・・・」
『ちょっとあっちの部屋にいってただけだよ。』
「本当にいなくなっちゃったんじゃないかって怖くなって・・・」
『何だよそれ。どこにも行くわけないだろ?』
「でも・・・俺ひどいこと言ったから・・・」
『何を言った?ひどいことなんていわれてないぞ?』
「ウソ・・・本当は怒っててもう一緒にいたくなくなったのかって・・・」
消え入りそうなキュヒョンの声にシウォンは
キュヒョンの横に座り、キュヒョンの肩をグッと抱き引き寄せ。
『ごめん。起きるまで側にいるべきだった。』
シウォンがキュヒョンの髪にキスをするとキュヒョンが
シウォンの体に手を回し、ヒシッ!と抱きついた。
「だって・・・俺・・・おれ・・・」
キュヒョンの体は小刻みに揺れていた。
『どこにも行かないって、約束したろ?』
シウォンがキュヒョンの震える体を摩りながらゆっくりと告げた。
うんうん。と首を縦に振るキュヒョンがとうとう泣き出した。
『おいおい、なんだか今日のキュヒョンは泣き虫だなぁ・・・』
シウォンはキュヒョンの顎に手をかけグッと持ち上げると
涙にぬれたキュヒョンの目元にキスを落とした。
『キュヒョン。ちょっと話しをしようか。』
「え?な、なに?改まって話って・・・え?やっぱり・・・」
『違う違う。そんなんじゃないよ。とにかく聞いてくれないか?』
「う、うん・・・わかった。」
それからのシウォンの話は
どうしてこの見合いを受けたのか、
とか、
なぜキュヒョンの姉のユジンを知っていたのか、
とか
どれだけみんながキュヒョンを心配していたか、
とか
今回の見合いに至るまでの経緯とか
それに対しての対応とかモロモロ
シウォンとユジンとチョウミとでシナリオが
すでに出来ていたという事だった。
「え?ねぇ、ちょっと待って。
それって俺とウニョクだけが知らなかったって事?」
『あぁ、ウニョクに言わなかったのは、知らなければ
キュヒョンに嘘をつく必要がないからだ。
もし知ってしまったら、ウニョクの事だからものすごく悩んで
最後には絶対キュヒョンに話すだろうってユジンが・・・』
「なんだよそれ。みんなして俺たちを影で笑ってたってことかよ!」
『おい。なんで笑ってたとかそうなるんだ?』
「だってそうじゃないか!
俺たちが今日どんなに驚いてどんなに辛かったか・・・」
『だからそれは悪かったって・・・でも理由は説明したろ?』
「理由?理由なんて・・・
ただただみんなで俺の事めんどくさいやつだとか
うるさいやつだとかそう言って笑ってたんだろ?」
『だから、どうしてそうなるんだよ!違うって言ってるだろ?』
「ほんっとこれだから嫌なんだよ。
姉さんは姉さんでいつまでも俺を子ども扱いして
チョウミはいつも姉さんの味方で、
今度はヒョンもかよ!!」
『・・・・・大丈夫か?キュヒョン。』
「あぁ~も~!!ホントにひどいよ。みんなひどい!!」
キュヒョンが声を張り上げてみんなを罵りながら
そのままベットに倒れこみブランケットを被って拗ねてしまった。
『キュヒョン、ほら、キュヒョン。
そんなとこに潜ってないで顔を出して。』
「やだ。知らない。シウォンなんて知らない!」
『え?なんだって?そんなの被ってるから聞こえないなぁ。』
「うるさい!シウォンなんてどっか行っちゃえばいいんだ!」
『それはひどいなぁ。俺は一緒にいたいのに・・・
でも、わかった。
これ以上キュヒョンを怒らすわけには行かないから
どっかヘ行くとしよう。うん。そうだな、それがいい。』
シウォンはワザとらしく足音を立てベットルームの
ドアに向かって歩いて行った。
そして、ドアを開け、出てい・・・かず、
抜き足の大股でベットの方へ急いで戻った。
---え?シウォン、本当に出ていっちゃった?
頭からかぶったブランケット越しに部屋の様子を伺うが
さっきまであったシウォンの気配がしなかった。
「ちょっと、シウォナ?!」
キュヒョンがシウォンの名を呼ぶのと同時に
かぶっていたブランケットから顔を出した。
『どうした?キュヒョん。』
「え?」
目の前にはにっこり微笑むシウォンが立っていた。
「ひぃっ!!」
っと驚いて手繰り寄せようとしたブランケット
シウォンはすかさず取り上げてしまった。
「か、返せよ!寒いだろ!!」
『ほんとにキュヒョンは全く・・・』
シウォンが徐にキュヒョンに手を伸ばしたかと思うと
そのまま抱き上げた。
「ちょ、ちょっと、何?降ろしてよ!」
『こら、暴れるな。暴れるとこのまま落とすぞ!』
シウォンと腕の力をフッと抜いてワザと落とそうとしてみせる。
「うわっ!やめてよ!」
キュヒョンは落とされまいとシウォン首に手を回し
必死にすがりついた。
『そう。そうやって最初から素直に捕まればいいんだよ。』
「ど、どこ行くんだよ。」
『バスルームだよ。そこで・・・』
「そ、そこでなんなんだよ。」
『分からず屋のキュヒョナは俺にお仕置きをされます。』
「お、お仕置き?!」
『そう。たーっぷりお仕置きです。』
「ちょっと、なんで俺がお仕置きされるんだよ。
されるとしたらシウォナの方だろ?」
『俺を?俺を一体誰がお仕置きするんだ?』
「俺・・・」
『キュヒョンが?』
「そう、そうだよ!」
『それは楽しみだなぁ。』
「お仕置きだぞ!楽しみってなんだよ、楽しみって!」
『いや、キュヒョンがしてくれるお仕置きってどんなのかぁって』
「もう!それじゃお仕置きはなし!」
『いやいや、ぜひしてもらおう。
それまでキュヒョンへのお仕置きはお預けだな。』
「ふぇ?お預け?」
『あれ?キュヒョン、もしかして残念がってる?』
「ば、ばかな事言わないでよ!残念がってるなんて、
そんなわけ、ない・・・じゃん・・・ん・・・あぁ・・・」
『しー・・・もう黙って。ホントにキュヒョナは・・・』
「な、なんだよ。」
『かわいいよ。この世の誰よりも一番かわいい。』
「何だよ、それ。凛々しいとか、かっこいいとか
イカしてるとか・・・そういうのじゃ・・・」
『はいはいはい・・・わかったわかった。』
「あぁ~、絶対そう思ってないだろ!」
『思ってるさ。思ってるからさぁ、もう黙って・・・』
シウォンが、”ん・・・”と付きだす唇にキュヒョンはパクっと噛みついた。
目をまん丸くしたシウォンが笑ってしまい、
力が抜けたのか、バスルームの手前でバランスを崩した。
「うわっ!」
『おっと!』
キュヒョンを支えきれなくなってしまいそのまま2人一緒に床に転がった。
お互いの顔を見合わせ2人はしばらく笑いあった。
そしてどちらからとなく合わせた唇からこぼれるのは
呼び合うお互いの名前とキュヒョンの甘い吐息だった。

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2回に分けようかすっごく悩んだんですが、
一回でアプしてしまいました。。。
ちょっと流れ的なこだわりがありまして・・・
たいしたことないんですがねぇ~
端から見たらきっと(笑)
お付き合いいただきありがとうございます<(_ _)>