ヒチョルとイトゥクでシウォンを病院へ送還中、
リョウクの何気ない一言でみんなが一部屋に集まった。
イェソンとリョウクの部屋に入ると照明が最小限に落とされ、
シャンパンやフルーツが並んだテーブルの上にはキャンドルが並べられ、
グラスにはシャンパンが注がれていた。
「うっわー!!なんかすっごー!!雰囲気満点じゃんかぁ~」
ウニョクが部屋中見回し思わず声を高めた。
「でしょ?」
薄暗い部屋の中でもわかるくらいリョウクの頬は赤く染まり
頬を両手で押えながら首をちょこんと傾げた。
イェソンが慌てて部屋の電気をつけた。
「うわぁ~、すっげーこれなんだよぉー。」
バスルームからウニョクの声がして、イェソンが慌ててかけて行った。
リョウクを見るとパタパタと両手を顔の前で仰ぎふぅ~っと息を吐いていた。
バスルームの入り口で慌ててウニョクを引き出そうとしていた
イェソンの肩口から覗き込んだキュヒョンとドンヘが思わず
”わぉ~”と声を上げた。
バスルームにもキャンドルが多数セッティングされていて
お湯が張られたバスタブの中には深紅のバラの花弁が散らされており
ゆらゆらと漂い甘い香りを漂わしていた。
「もういいから早く出ろ!」
3人が感嘆の声をあげながら部屋へ戻った。
「なぁ、リョウク。これもお前が?」
「ううん、ジョンウンさんが全部セッティングしてくれたんだよ~。ふふふ。」
そう言ってイェソンを見つめるリョウクがものすごくかわいく見えた。
「ばっか、リョウガ!」
イェソンは慌てて人差し指を当て「しぃ~」と言ってリョウクの口に手を当てた。
それが妙に艶めかしくてこっちが照れてしまう感じだった。
「へぇ~・・・イェソン先生って・・・ものすごーくロマンチストなんですね。」
キュヒョンが思わず声に出すと、イェソンが”うるせぇ。”といって目線を反らした。
「ってか、ねぇねぇねぇ、ふたりってやっぱりそういう関係なの?」
「ばっか、ウニョク、今さら何言ってんだよ!」
「いや、そうじゃないかと思ってはいたけど、誰も言ってくれないし」
「本当の事ってのは敢えてみんな口にしないんだよ!覚えとけバーカ!」
「え。ドンヘ先生ひっでぇ~。俺だってわかってたけどさぁ、なんかこう生々しいと・・・」
「生々しい言うな!」
ドンヘがウニョクを羽交い絞めにしながら笑った。
ウニョクとドンヘのやり取りを聞きながらキュヒョンは2人をただただ見つめた。
「なんだよキュヒョン。何か言いたいことがあるのか?」
「え?いえ・・・」
「なんだ。言ってみろ。」
「あ・・・いやぁ・・・えっと、お2人はどのくらい・・・?」
「ん?どのくらいの付き合いかってことか?」
「はい。」
「聞いてどうする?」
「いや・・・どのくらい経てば、えっと・・・その・・・自然な感じに・・・」
「俺たちみたいになれるのか?って事か?」
「はい。」
「それはなぁ・・・時間じゃなくて俺の努力の上に成り立っている。」
「え?」
イェソンが腰に手を当てうんうんと頷きながら話し出す。
「おれのこの涙ぐましい努力。リョウガを喜ばす努力を怠ったことがない。」
「はぁ・・・」
「リョウガはなぁ・・・一見弱々しく見えるけど・・・すごいんだぞ。」
「す、すごいんですか?」
「そう、すごい・・・」
「って、な、何が?」
「なにがって、ほらその(バッチーン!)・・・イテっ!」
リョウクがイェソンの頭にお盆を振りおろしていた。
「リョ、リョウガ!え?な、なんだ・・・?」
「もぉー、ジョンウンさんのバカ!!」
「え?どうしたリョウガ?兄さん何かしたか?」
「変なこと言わないでよ・・・もう知らない!」
「え?ちょっと待て。待てよリョウガ。どうした?何で怒ってる?」
頬っぺたをプクっと膨らまして向こうへ行ってしまったリョウクを
イェソンが慌てて追いかけていった。
リョウクをなだめる一生懸命な姿が何とも情けなく思えたが
リョウクにあんなにメロメロになってるイェソンの姿が微笑ましくもあった。
「どうした?何羨ましそうにみてんだよ。」
ウニョクが肩をポンっと押してきた。
「え・・・?別に・・・」
慌てて咳払いをしながら2人から目線を外した。
「なんだキュヒョン。シウォンにあんなに愛されちゃってるのに
人様の方がうらやましいのか?」
ドンヘの言葉が胸に突き刺さった。
「愛されちゃってるって・・・ドンヘ先生こそ、
ヒチョル先生にべた惚れされちゃって・・・ウザくないですか?ぶっちゃけ・・・」
「え?全然!むしろまだまだ足りない。」
「足りない?あれで足りないんですか?」
「あぁ、足りない。俺なんての方がもっと溢れてるからね~」
「どんだけですよ、ドンヘ先生。」
「どんだけって・・・愛情なんてそんなもんだよ。もっともっとって。」
「あぁ~確かに!ってことは・・・
俺もトゥギ先生への愛情、まだまだ足りないのかなぁ。」
「おまえは溢れすぎだろ~。まぁ、トゥギはどうだか知らないけどなぁ~」
「え?トゥギ先生、本当は俺の事あんまり愛してないってことー?!」
ウニョクがうぉぉぉーと叫んであたまを抱えた。
「ドンヘせんせい・・・あんまりヒョクをイトゥク先生ネタでいじらないでくださいよ。」
「いや、まさかこうなるとは・・・ヒョク大丈夫か?ねじ一本外れてないか?」
「おれ、ダメだ、おれ・・・電話する。トゥギに電話する・・・」
ウニョクがひとりアタフタしながら電話をしようとしたのでみんなで慌ててiphoneを取りげた。
(画像お借りしてます)