「ふーん・・・なんか楽しそうだね。」
少し大きめのソファーにどっしりと座り、ドンへとリョウクを小脇に抱え
ヨジャ姿のソンミンをひざの上に乗せたシウォンをキュヒョンは蔑んだ目で
見下ろしほくそ笑んだ。
「キュ、キュヒョン!!」
目の前に突然現れた想い人の姿にシウォンは弾かれたようにソファーから立ち上がった。
そして大きく手を広げ抱きつこうとした瞬間、キュヒョンからみぞおちへ一発くらいそのまま前のめりに倒れた。
「イトゥク先生、いろいろすみません。でも、俺、やっぱり帰ります。」
「え?待てよキュヒョン。ここまで来て何言ってんだよ!」
倒れ込んでいるシウォンを横目で見ながらイトゥクにペコリと頭を下げると出口へ向かった。
イトゥク先生に説得?されてのこのこついてきた自分に嫌気がさしていた。
「おいおいおいおい、ちょちょちょチョイ待て!!」
慌てたヒチョルがキュヒョンの腕を掴んだ。
「まぁまぁまぁ・・・ちょっとだけ話に付き合えや。」
「・・・・・なんですか?」
「どうした~キュヒョン。何か嫌なことでもあったのか?シウォンに何かされたのか?」
「・・・別に。」
「そうか。別になんだな?」
「はぁ、別に・・・あったとしてもヒチョル先生には関係ないことですよね・・・」
「おや、冷たいなぁそれ。」
「・・・・・」
「いいかぁ、何もないにしてはシウォンのあの状態。あれ、どう思う?」
「別に・・・俺には関係ないことですから。」
キュヒョンが冷たく言い放った。
「お前なぁ~、それはないだろ?なぁ、ジョンウン」
「えっ?あぁ・・・えっと・・・そのぉ・・・まぁ、そうだって言えばそうだけど・・・」
いきなり振られて焦ったイトゥクは「お前いきなりこっちに振るなよ」と
ヒチョルに小声で抗議した。
「あのなぁキュヒョン。お前がそうやってシウォン先生に冷たくしてると
みーんなが迷惑被るって話なんだよ!」
ウニョクの言葉にヒチョルもイェソンも大きくうなずいた。
「なんだよそれ。」
「なぁ、あれ見てみろよ」
ウニョクがシウォンとシウォンの周りに集まる面々を指差した。
「みんな気が気じゃないんだよ。」
「え・・・?何で?」
「何で?何でってお前・・・あっ!トゥギ先生まで!!」
情けない顔で何か一生懸命語りながらシウォンがイトゥクに抱きついていた。
「キュヒョン、早くどうにかしろ!拗ねてないでシウォン先生どうにかしろよ!」
ウニョクがキュヒョンに詰め寄った。
「そうだよ、しのごの言わずに何とかしろ!」
ヒチョルもウ詰め寄った。
その向こうでグラスを片手にイェソンも大きく頷いていた。
なんだか謂れの無いことを言われてキュヒョンはおもしろくなかった。
みんなに囲まれ哀れっぽく振る舞うシウォンにもより一層ムカついてきた。
自分を取り巻くこの状況に耳の中でキーンという音がし始め
頭がガンガンしてるしこめかみがズキズキしてきた。
我慢の限界だった。
「・・・・るさい・・・」
「え?何?」
ウニョクは黙らない。
「・・・・ぅるさいって言ってるんだよ・・・」
「ん?なんだ?何か言ったか?」
ヒチョルは黙らない。
背後ではシウォンの哀れっぽい声とみんなの声。
「うるさい!うるさい!うるさい!みんな黙れっ!!!」
とうとうキュヒョンが大声で怒鳴った。
そこにいた全員が一瞬で氷ついた。