「ソ、ソンミニ?!えっ?えぇぇぇー!!!」
「しぃー・・・みんなびっくりしちゃうよ。」
「で、でも、な、なんで?!まるっきりヨジャじゃないか!!」
キュヒョンは金魚のように口をパクパクさせた。
「へぇ~、チョウミ。お前こういう趣味があったんだ。」
シウォンが片眉をあげながらニヤリと笑いチョウミをからかった。
「いや、これは、その・・・」
「ソンミン、すごくかわいいなぁ。本当のヨジャみたいだ。」
シウォンがソンミンの全身をくまなく眺めながら感嘆の声をあげた。
「やだなぁ~シウォン先生ったらぁ。ふふふ、実は僕もそう思うんだぁ。
ってキュヒョン、いつまで驚いてるの?」
キュヒョンはまだ目の前の出来事が信じられず口を開けたままだった。
「え・・・?」
「大丈夫か?キュヒョナ」
「え?あっ、大丈夫。っつか何で?」
キュヒョンはまだ納得できない様子でふたりを問い詰めた。
「あぁ、これ。ほら僕たちって世間からしたら肩身狭いでしょ?
デートも堂々とできないし、腕組んで外歩くのも・・・
だったら小柄な僕がヨジャな恰好したらどうどうとでかけられるかなぁ~って・・・」
「あ~、、なるほどね・・・って、はぁ?」
ちょっと落ち着いてソンミンを正面からちゃんと見た。
自分よりひと回りもふた回りも小柄でちょっと丸みを帯びた体・・・
まぁ、手っ取り早く言えば、本物のヨジャみたいで確かにものすごくかわいい。
シウォン先生なんて目じり下げてニヤニヤしちゃって・・・
チョウミも鼻の下伸ばしちゃって、腰に手なんか回しちゃって・・・
(なんか、むかつく・・・)
チョウミとソンミンを交互に眺め、シウォンを一瞥して大きなため息をついた。
「勝手にやってろよ・・・」
(なんだよ、まったくなんなんだよ。ばっかじゃないの?)
キュヒョンは腹立たしさ紛れに鼻の下を伸ばしているチョウミの脛を蹴りあげ
ニヤついてるシウォンにみぞおちを食らわしその場を駆け出した。
キュヒョンはショックだった。
本物ではないとはいえ、ヨジャ姿のソンミンを見て満足してるチョウミと
ありえないってほどのニヤケ顔でソンミンを見つけてたシウォンの姿。
ほんっとありえない。
ソンミンが悪いんじゃないってわかってる。
小柄で全体的に丸みを帯びたその体つき・・・
触ると柔らかでいつもまるで女の子みたいだってキュヒョンも前々から思ってた。
それに引き替え自分は・・・
足を止めウィンドウに映った自分を見ているとだんだん視界が悪くなってきた。
あぁームカつく!!!
思わず頭を掻きむしった。
「おい、待てよキュヒョン!」
追いかけてきたシウォンに腕を掴まれた。
が、キュヒョンはシウォンを一瞥し無言でその腕を振りほどき、また歩き出した。
「おい、キュヒョンどうしたんだよ。チョウミもソンミンも困ってたぞ。」
さっきからポケットの中のiphoneがずっと着信を知らせようと震えている。
きっとチョウミからだ。そんなのわかってる。
何でこんなに動揺してるのか、何がそんなにショックだったのか
キュヒョンはわかり始めたけど認めたくなかった。
チョウミとソンミンの幸せそうな様子もムカついたけど、
何よりもヨジャ姿を見つめるシウォンのあの顔・・・
そんなに女の子がよければ・・・
俺なんかと・・・
あぁーもぉー!!
そうだよ。これは嫉妬だよ。
バカシウォン。
あんな顔してデレデレしちゃって。
ソンミンが悪いわけじゃないのはわかってるよ。
だって、だって・・・しょうがないじゃないか。
「おい、キュヒョン。本当にどうしたんだ!」
不意に肩を掴まれイライラが爆発した。
「・・・・ボ・・・」
「え?」
「シウォンのパボっ!!!大っ嫌いだ!!」
あっけにとられたシウォンを置き去りにして人ごみの中を駆けだした。