「シウォン先生に同情するよ・・・」
「お前、自分が言ってることわかってる?」
(なんだよそれ・・・)
キュヒョンはウニョクに言われたことが面白くない。
キュヒョンには本当に訳が分からなかった。
一緒にいても結局一緒にいられない状況にある。
一緒にいられるように努力はしてみたものの、結局一緒にいられない。
一緒にいようとする事でかえってストレスを生み出している。
一緒にいようとする事がかえって弊害を生み出している。
一緒にいられないのであれば無駄なことをする必要がない。
一緒にいられないのであれば一人でいても同じである。
一緒にいるのに一緒じゃないのは不合理だ。
であるならば同居する意味がない。
そうちゃんと思考した上で話してるのに、
それが伝わらないのがなぜなのかがわからない。
「お疲れ様です。帰ります。」
そうシウォンに送信して家を出た。
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「ただいま~」
キュヒョンは誰もいない部屋に声をかけ電気をつけた。
そこは長年住み慣れたキュヒョンの城だった。
シウォンの家に比べたら本当に質素で狭い空間だけれど
この部屋は自分が大事にしている空間だった。
自分の好きなものがあふれている。
部屋全体を見回し小さくうなずきながらソファーに倒れこんだ。
気が付いたら夜中の12時を回っていた。
寝てしまっていたらしい。
テレビをつけた。
(あっ、先生の好きなドラマだ・・・)
洗濯機を回た。、
(あっ、洗濯機回してきてあげるの忘れた・・・)
ラーメンを作り鍋ごと抱えて一人で食べた。
(先生、ご飯ちゃんとたべれたかなぁ・・・)
なんか、暇だな・・・
前にもらったワインを開け、グラス片手にぼーっとテレビの画面を見つめた。
「最近のテレビはなんだかおもしろくないなぁ~・・・」
と、思わず言葉を発した。
シウォンからは何度かメールと着信があった。
なんとなく返事する気にならなくてそのままにしていた。
まだ、病院なのかな・・・
ちゃんと体、やすめてるのかなぁ・・・
明日も外来あるのに大丈夫かな・・・
気が付くとシウォンのことばかり考えていた。
「あぁ、ばかばかしい!!
せっかく家に帰ってきたんだから、考えるのよそう!」
そう首を振りながら自分に言い聞かせるように声を出し、
打ちかけていたメールを破棄した。
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ソファーに横になり、ゲーム雑誌見ているうちに寝てしまっていたらしい。
スマホの振動で目が覚めた。
シウォン先生だった。
「もしもし?先生?」
「キュヒョン、今どこだ?」
「え・・・?寮だけど?」
「何で出てこないんだ?」
え・・・?と思い、玄関の方に目をやると激しくドアを叩く音がしていた。
「え、えぇ?ちょ、ちょっと待って・・・」
慌てて玄関を開けると、満面の笑みのシウォンが立っていた。
(え?え?え?)
キュヒョンは慌てて玄関から顔をだし、廊下に人がいないか確かめ、
慌ててシウォンを玄関に引き入れた。
「せ、先生、何やってるんですか?なんでここに来ちゃったんですか?」
「いや、連絡しても返事がないから・・・」
「誰にも会いませんでした?」
「会ってない・・・」
「もー、先生なんでこんな・・・俺の立場考えてくださいよ。」
「・・・・・」
「何の用ですか?俺忙しいんですよ。」
「いや、用はない。」
「え・・・?」
「用があるっていえばあるけど・・・ないと言えば・・・ない・・・」
「何言ってるんですか。明日、外来でしょ?
寝不足の顔じゃ患者さんに失礼ですよ!」
「・・・・・」
「ちゃんとご飯食べたんですか?どうせ食べてないいんでしょ?」
「・・・・・」
「病院に泊っちゃえばよかったのに。ラーメン買っておいてあるし。」
「・・・・・」
「大体先生はDr.Siwonモードに入っちゃうと、自分の事全然かまわなくなっちゃうんだから・・・」
「・・・・・」
「ほんとに全く・・・」
と、いきなりシウォンに抱きしめられ、玄関のドアに押し付けられた。
びっくりして身をよじろうとしたが、肩を押えられ、唇を塞がれてしまった。
あまりの激しさに、意識を持って行かれそうになりながら
キュヒョンは立っているのがやっとだった。
「せ・・・せん・・・せ・・・ん・・・な、な・・・に・・・んん・・・や・・・やめ・・・」
いったん体が離れ解放されたとおもったが、また抱きしめられた。
「ちょ・・・ちょっと・・・はなし・・・て・・・」
そう言ってシウォンの胸元を押し返した。
「キュ、キュヒョ・・・」
先生はそう言いながら崩れ落ちて行った。
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「ちょ、ちょっと、何ふざけてるんだよ先生。俺そんなに強く押してないだろ?」
先生のおしりをペチンと叩きながらそう言った。
しかしシウォンは動かない。
「先生、もういいですから。冗談はやめてくださいよ。」
そう言いながら体を起こそうとした。
普段だったらここでいたずらがバレたと言わんばかりに
片目を開け、ニッコリ笑いながら羽交い絞めして来たり
キスをして来たりする場面なんだが、今日のシウォンは動かないままだった。
「先生、そんな芝居したって駄目ですからね!」
そう言って腕を引っ張ったが力なく床へ落ちて行った。
え・・・?
えぇ・・・?マジ?
え?先生?マジなの?
「先生?先生?ちょっと、先生?」
シウォンは完璧に意識を失っていた。
「ヒョク!ヒョク!どうしよう!!先生が、先生が!」
「おいキュヒョンどうした?なんだ?先生がどうした?」
「ヒョク!俺、どうしていいかわからない!ヒョクどうしよう・・・」
「おい、何があったんだよ!おい!おい!」
投げ出したスマホからウニョクが呼んでいるのが聞こえていたが、
とにかくシウォンをこのままにしておけないと部屋に移動させようと
抱え上げたが力が入らず、一緒転んでしまった。
「先生!ねぇ、シウォナ!目を開けてよ。どうしたんだよ!」
キュヒョンはシウォンの名を呼び続けた。
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め、迷走中です・・・