「イエッサー!じゃぁキュヒョナは左からよ!あと上にも注意な。」
「了解!!時間は・・・○○:○○作戦スタートだ!」
「絶対勝ってやるぜ!」
「いよいよ最後のツメだ。ここさえ攻略できれば新しい武器も
手に入るし、次の作戦に入ったときに必ず有利だし。
ヒョク、ぬかるな・・・よ・・・ん・・んん・・・あ・・・」
「よしわかっ・・・え・・・?ん・・・あぁ・・・?」
インカムから聞こえてきたキュヒョンの声にウニョクはびっくりして
聞き返した。
「おい!何言ってんだよ。聞こえないぞ!!」
「・・・な、なに・・せ、せんせ・・・ん・・・はぁ・・・」
聞こえてくるのはキュヒョンの甘い吐息だった。
「ちょ、ちょっとお前何やってんだ?」
「せんせ・・・ちょ、ちょっと、やめ・・・ダメだって・・・作戦・・・
んんん・・・」
「おい、キュヒョン?おーい!!」
「どうした?」イトゥクが声をかけた。
「なんか、混線してるのかなぁ・・・
急にキュヒョンの声がおかしな声になって・・・」
といいつつ、リモコンのボタンを押しゲーム画面から
ウェブカメラモードへ切り替えた。
と、そこに映し出されたのはキュヒョンを抱きしめ、
キスをしながら今まさにキュヒョンを押し倒そうとしているシウォンだった。
キュヒョンはリモコンを放さず抵抗していた。

「うぉー!!おい!な、なんだよ何やってんだよ!!」
ウニョクがカメラに向かって叫んだ。
ウニョクのアップが映し出された。
それに気が付いたシウォンがカメラに向かってウィンクをし、
リモコンを手に画面を切り替えた。
ウニョクはTVを指差しながら、
「先生が・・先生が・・・」
とイトゥクに向かって口をパクパクさせた。
「はいはいはい・・・あぁ~わかったわかった。」
と大笑いでウニョクの頭を撫でた。
「先生が・・・ヤバいって!!」
シウォンがほろ酔い気分で帰ってくると、テレビの前に座りこみ、
ゲームに夢中になるキュヒョンが目に入った。
キュヒョンはゲームに夢中で自分が帰ってきたことにも
気づかないようだった。
しばらくおとなしく眺めていたがその一生懸命なかわいい姿に
とうとう我慢できず、そっと近づきその首筋に唇を這わした。
が、シウォンは知らなかった。
ゲームに夢中になっているキュヒョンに決して近づいてはいけないことを・・・
シウォンが画面を切り替えた後、キュヒョンはシウォンを振り切り
リモコンを振り回し大激怒でシウォンを叱った。
あっけにとられるシウォンのみぞおちに一発くらわした。
そして、崩れ落ちたシウォンをそのままにし、
キュヒョンはまたテレビの前に座り込み、ウニョクを呼んだ。
「あ・・・あぁ・・・えっとぉ・・・大丈夫か?」
「ん?何が・・・?何も問題ないけど?何かあるのか?」
インカムの位置を直しながらキュヒョンが親指を立て、
スタンバイできたことを知らせた。
「い、いやぁ~、ほらさっきなんだかシウォン先生、
帰ってきたみたいだから・・・
大丈夫なのかなぁ~って・・・」
「あぁ、大丈夫。何も気にすることないよ。」
いってキュヒョンは口角をあげながらニヤっと笑った。
「あっ、あっ、そっか・・・ならいいんだけど・・・」
そう言いながらキュヒョンの背後で床に這いつくばる
シウォンを心から気の毒に思った。
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キ「やったなぁ~!」
ウ「あぁ、ちょっと時間かかったけど、やったぜ!」
キ「ヒョクのあの作戦、すごかったなぁ。さすがだよ。」
ウ「キュヒョナだって、あれ、あの発想。あれビックリしたよ。」
キ「あぁ~あれは力の限り頑張ったよ!」
ウ「あぁ~すっきりした。後は次のステージの作戦だな。」
キ「おぉ。それぞれ考えておこうな。」
ウ「うわぁ、もうこんな時間だ!じゃぁ、キュヒョナ、
シウォン先生にもよろしくな!」
キ「おぉ、そっちこそイトゥク先生のよろしく。じゃぁ、明日。」
ウ「おぉ、明日な!」
そう言ってログアウトした。
「ふぅ・・・」
キュヒョンは大満足のため息をついた。
そして居間に一人きりで、シウォンがいないことにやっと気づいた。
「あっ・・・しまった・・・」やっとさっきの出来事を思い出した。
ゲームに夢中のキュヒョンにちょっかいを出してきた
シウォンにみぞうちくらわしたんだった・・・
「先生、怒ってるかなぁ・・・」
キュヒョンは部屋の中をシウォンを探して見て回った。
「・・・先生?」
書斎から明かりが漏れているのが見えたので
そっと声をかけてみた。
「・・・どうぞ」と中から声がした。
ドアを開けるとシウォンいた。

「終わったの?」手元に医学書を持ちipodで何かを聴講していたらしい
シウォンが静かに聞いた。
「う、うん・・・えっと、ヒョクチェがありがとうございますって・・・」
「そう。楽しかった?」そう言いながらシウォンが手招きした。
キュヒョンはシウォンの傍らに立った。
「あ、あの・・・」
「ん?何?」
「さっきは・・・すみませんでした。俺、ゲームに夢中になっちゃうと・・・」
「さっきのでよーくわかったよ。ゲーム中は近寄っちゃいけないって。」
シウォンが静かに笑いながらそういった。
「え・・・いやぁ・・・なんか夢中になっちゃうと・・・」
少しの沈黙に居心地が悪くなった。
「・・・じゃぁ、あの・・・俺帰ります。」
「そっか。送って行こうか?」
「女じゃあるまいし・・・大丈夫ですよ。」
「ははは、確かにな・・・じゃぁ気を付けて。」
そう言ってシウォンは手元の医学書に目を向けた。
「えっと・・・あの・・・」
あっけないさよならにキュヒョンはちょっと戸惑った。
「・・・?どうした?」
「いえ・・・。ありがとうございました。おやすみなさい。」
キュヒョンは書斎を出て、リビングを横切りゲーム機の入った
袋を持ち玄関に向かった。
靴を履き、玄関の扉のドアに手をかけたところで
シウォンの態度が気になりなんとなく立ち去りがたく
一旦ためらったがとにかく部屋を出たかったので
ドアを開けようとした。
が、その瞬間、ドアを押し戻されびっくりする間もなく後ろから
抱きしめられた。
「どこ行くの?本当にこのまま帰すと思った?」
シウォンが耳元でそう囁いた。
「せ、せんせ・・・」
シウォンはキュヒョンの唇にキスをした。
激しいキスにキュヒョンはただただ立ち尽くすばかりで
手に持っていた袋が床に落ちた・・・
