手の中の携帯を見つめるキュヒョン。
いっこうになる気配がない。
発信履歴を開けた。
でもどうしたも発信ボタンが押せない。
2人のそれぞれの思いが交錯する。
2人の携帯が同時になった。
シウォンにはイトゥクから。
キュヒョンにはウニョクから。
その店に着くと、見慣れた車が止まっていた。
キュヒョンは一瞬ためらったがとにかく店に入った。
通された座敷にはいつものメンバーが集まっていた。
「おー、キュヒョン来たか。こっち来いよ。」ヒチョルが声をかけた。
キュヒョンはヒチョルの隣に座った。
いつもの光景。
「お前今日二日酔いだったんだって?そん何飲んだのか珍しい。」
そういってキュヒョンの頭をわしゃわしゃといつものようになでる。
「そうなんですよ。こいつ、シウォン先生に担ぎ上げられた時、
空飛んでるってはしゃいじゃって大変だったんですよ。」
みんなが大笑いした。
「お前は本当にかわいいなあ~。」
そういってヒチョルはキュヒョンの肩を抱き寄せる。
「やめてくださいよ。そうやって俺をからかって楽しむの。」キュヒョンはふくれて見せた。
キュヒョンはシウォンを見ることができなかった。
シウォンはキュヒョンをずっと見つめていた。
「そうそう。今日こいつソンミンとじゃれ合ってたんですよ。
仮眠室のベットで。人が散々心配してるっていうのに。」
「ソンミンってあのキュヒョンの同部屋だったリハセンのソンミンか?」
「そう。そのソンミン。」
「へ~、お前もやるなぁ。ソンミンとお前、そうだったのか?」
「ち、違いますよ!そんなのわかってますよね。おい、ウニョク!お前何言い出すんだよ!」
「あっ、でも、ソンミンって、魔法の手って言われてるよね。
とにかくテクニシャンだとか・・・プライベートで彼のマッサージ受けてる奴、
結構知ってるけど」
「て、お前もその虜ってか?」
「それじゃーウニョクの負けだな。お前にはゲームしかないだろ。
それじゃ太刀打ちできないな。」
「あっ、それひどいなぁ。キュヒョン!お前どうなんだよ。
ほんとのとこ。俺とソンミンどっちとるんだよ!」
「何言ってんだよウニョク!」
シウォンが聞いてるかと思うと余計焦る。
「お前ソンミンのリハ中、いつも気持ちよさそうに寝てるって知ってるんだからな!」
「な、なんだよ。別にいいじゃないか!」
「先生~、こいつほんとひどいよぉ~。」
ウニョクは大げさに嘆きながらイトゥクに抱きついた。
「キュヒョン、そんなにソンミンのテクはすごいのか?」
「ちょ、ちょっと、先生。おかしな言い方やめて下さいよ!」
キュヒョンはそう言いながら耳まで真っ赤になっていた。
「こいつ~。なに、真っ赤になってるんだよ。ますます怪しいぞ~。
なぁ、シウォン。お前もそう思うだろう?」
とヒチョルがシウォンにいきなり振った。
一瞬の沈黙のあと、
「別に。」
とシウォンが答えた。
その抑揚のない声がキュヒョンの胸に突き刺さった。
シウォンに関心を持ってもらえないことがこんなに辛いと思わなかった。
俺、何か悪い事したか?なんなんだよ。
この場にいるのがもうどうしても耐えられなくなった。