キュヒョンは大きなため息をついた。
「あれ?どうした?そんな大きなため息ついて」
急患とかきて、シウォンが回診にこれなくならないか・・・
なんて淡い期待だった。
シウォンが回診車を押すキュヒョンに声を掛けた。
「別に。」
キュヒョンの冷たい一言にシウォンは大げさに肩を上げ、首を傾げ
「ジーザス。」
とつぶやいた。
キュヒョンは前を向いたまま回診車を押し
「早く行きますよ。」
とシウォンを促した。
「なぁ、やっぱりなんか怒ってるよな?俺なんかしたかな?」
シウォンがいたたまれず聞いた。
「別に。気にしないでください。」
「気にするなったって・・・」
「ゲームで負けた。」
「は?」
「ウニョクに負けた。」
「ゲームって・・・」
「笑うな!昨日は絶対勝たなきゃならなかったんだ。なのに先生のせいで。」
いきなり自分のせいだと言われシウォンは目を丸くした。
自分のせいだと言われシウォンは前に回り込み、
腰を折りうつむきながら悔しがるキュヒョンの顔を覗き込み自分の胸を両手でたたきながら
「俺か?なんで俺なんだ?」
と大げさに言って見せた。
キュヒョンは自分ながら確かにおかしなこと言ってると思いながら横を向き黙っていた。
いたたまれなくなり、回診車を押し移動しようとしたが、シウォンは前をどかない。
シウォンの顔を数秒見つめてため息をついた。
「昨日の女の人、きれいだったね。彼女いたんだ。」
思わず出た言葉に自分でもびっくりした。
これじゃ、ヤキモチ焼く女の人みたいじゃないか。
何やってんだよ。
しまったと思ってキュヒョンはそっとシウォンを見上げた。
目を大きく見開いてびっくりしているシウォンがいきなり笑った。
なんだよ、どうせバカだよ。
キュヒョンはワゴンを押し、シウォンを押しのけ病室に向かった。
その後ろから、頭をポンポンと撫でた。
それが余計にカンに触った。
恥ずかしさと腹立たしさで何かひと言言ってやろうと立ち止まった瞬間、
「妹だよ。ご期待に添えなくて残念だけど。」
と耳元で囁き、シウォンはキュヒョンの髪にキスをした。

妹?妹ってなんだ?例え妹だとしたって、なんなんだ?あのラブラブぶりは
。どうみたって兄妹って感じじゃないじゃないか。
そう思いながらも腹立たしさの裏側でなぜかホッとしている自分に
思わず苦笑いしながらシウォンに囁かれた耳が熱くなるのを感じていた。
シウォンはキュヒョンの機嫌の悪さが自分のせいだと知ってうれしくなった。
キュヒョンがますます愛しく思え、
思わずハグしてしまいたくなる感情を押さえるのに一苦労だった。
下から仔犬のような目で見つめられると、息が止まるかと思う時がある。
本人に自覚がないだけに扱いに困る。
シウォンは苦笑いをしながら頭をかいた・・・
。