83小説~First Love~
~ヒチョルサイドつづき~
「離せっ!!」
腕を力いっぱい振りほどこうとするが、上手くいかない。
「いやだ。
どうしてヒチョラがグループを抜けるんだ? 何があった?」
真剣な表情に変わったジョンスが、俺に問いかける。
「・・・」
「答えるまでこの手は離さない」
俺はジョンスを睨みつけたが、ジョンスも眉間にしわを寄せ頑なにつかんだ腕の力を緩めなかった。
お互いがお互いを睨みながら、10分程がたっただろうか。
ジョンスはこれで頑固だから、俺が答えるまで何時間だってつかんだ腕を離さないだろうな、と思った。
もう、想いを打ち明けてしまえばいいのではないか?
投げやりにそんな気持ちになってくる。
打ち明けてしまえば、俺はどうせグループのメンバーではいられなくなるんだから。
このまま気持ちを伝えずに離れようが、伝えて離れようが結果は同じではないか。
ジョンスは、俺の気持ちに応えられず気まずい思いをするだろう。
ジョンスが無理をして精一杯親友を演じてくれたって・・・。
俺はジョンスと今までのようには付き合えない。何もなかったようになんて振る舞えるはずもない。俺の10年間の想いを無かったことになんて出来ない。
それに・・・、
そんな年長組の態度が、グループに不協和音を生じさせるかもしれない。
ジョンスが何よりも大切にして、人生を懸けて守ってきたものだ。
俺にはそれを壊すことは出来ないと強く思う。
俺はため息をついた。
「離せよ。・・・答えるから」
「逃げない?」
俺はコクリと頷く。
ジョンスは、ゆっくりと、つかんでいた手を俺の腕からほどいた。
ジョンスが寄りかかれるように、ベットをギャッチアップしてやり、
俺は覚悟を決めて、ベットサイドの椅子に座った。