一番に側に居たくて、これでもかというくらいに全速力で走った。
約束の場所に着いてまだ距離はあるがその姿を捉えた瞬間に、俺の胸は高鳴り足取りがもっと軽くなった。
深呼吸を一回してから足を前に進め、あと半分くらいの距離で顔がこちらに向いて目が合った。
少しの緊張感も目の前のすごく会いたくて恋しくていとおしい存在の前では徐々に解けていった。
『キュヒョン!』
そう呼びながら近づくと両手を広げられた。
『兄さん。』
久しぶりにそう呼ばれて少しくすぐったかったが、俺はその腕に収まった。
ぎゅーっと抱きしめられていることに優しさと愛を感じて、俺も負けじとぎゅーっと抱きしめた。
『兄さん。』
『それ嫌。』
『じゃあ、イェソンさん??』
『...いじわる。』
『うそ。ジョンウンさん。』
『なに??』
『...すごく会いたかったです。』
『...うん、俺も。』
『やっとですね。』
『...ずっと待ってた。』
『...これからはずっと一緒です。』
『...離さないからな。』
そう言うと体が少し離れて、キュヒョンの相変わらずの細くて長い指が俺の頬に触れた。
『ジョンウンさん。』
『キュヒョン。』
『ただいま。』
その言葉に俺は胸がいっぱいになり、目頭が熱くなるのと同時に涙が頬を伝った。
その瞬間にキュヒョンは少し困り顔をしながらも優しく指で拭ってくれて俺は満面の笑みを見せた。
『おかえり、キュヒョン。』
そう言うとキュヒョンは微笑み、そのまままたぎゅーっと抱きしめてくれた。