いつものように勤務を終えて帰ると、ドアの前に待っている人が居て僕は急いで駆け寄った。

目の前に立つと少し困ったように笑われ、すぐに鍵を開けて中に入ってもらった。

『自分の家なのに、どうして中に入らないんですか。』

そう言っても返答はなかったが、そんなことは気に止めず部屋のエアコンのスイッチを入れた。

『すぐに快適な温度まで下がりますから。そうだ、何か飲む物を持ってきますね。』

そう言って背を向けて歩き出そうとした時、ぎゅっと後ろから抱きしめられた。

『...ジョンウン兄さん??』

『...今日、フラッと立ち寄った店にキラキラ輝くステンドグラスがあったんだ。』

『...はい。』

『...モチーフは最後の恋。』

『...はい。』

『...それ見てたら、お前のことが浮かんできて。頭から離れなくなって会いたくなった。』

そう言われて僕は胸ら辺に回っている手をポンポンと叩いた。

『...明日は休みです。飲みに行ったりしたらどうするつもりだったんですか??』

『...帰ってくるまで待ってる。』

そう言われて僕はクスッと笑い、息を吐いた後で体をジョンウン兄さんの方に向けて包み込むように抱きしめた。

『...僕にとってあなたは唯一無二の人です。』

『...。』

『だから、ジョンウン兄さんは最初で最後の恋の相手。僕も同じです。』

『...キュヒョン。』

『すごくうれしいです。』

そう言うとジョンウン兄さんはぎゅっと抱きついてきた。

『ジョンウン兄さん。』

『...なんだ??』

『あなたが呼ぶなら、何処にだっていつだって駆け付けますから。』

『...。』

『いつでも察してあげられたら良いんですけど。それも今は割りと難しくて。顔も合わせる時間も取れてませんし。』

『...。』

『だから、遠慮はせずに呼び出してください。』

『...。』

『ジョンウン兄さんの為なら、僕は何だってやりますから。』

そう言うとジョンウン兄さんは少し体を離して僕を見つめてきた。

『...キュヒョン。』

『はい。』

『...ずっと一緒、な。』

『...もちろん。』

そう言ってゆっくり顔を近づけ、唇を重ねた。

唇がゆっくりと離れていき目が合うとどちらともなく微笑んで、それだけで幸せに包まれていくような気がした。




End