―   넌 어디 있는 거니  
          ( 君はどこにいるの? )
          나의 목소리 들리질 않니
             ( 僕の声が聞こえないの? )
      아픈 내 심장이 너를 찾는다
        ( 痛む僕の心臓が君を探す )

















目の前には緑が豊かな一本の坂道がある。

その先には一軒家があって、緑も豊かだが花も色鮮やかに咲いているはず。

タクシーを降りてその坂道を上がり、一軒家を見て立ち止まった。

『...相変わらず綺麗な場所。』

そう呟いてまた足を進めて扉の前に立ち、インターフォンを押した。

するとすぐに扉が開き、人が姿を見せた。

『どちら様ですか??』

『ジョンスさんに面会を。』

『...ご用件は??』

『ヒチョル兄さんのことで話があると伝えてください。』

『...あの、』

『来たのか、ジョンウン。』

目の前の彼が戸惑いつつも何かを言おうとしたところで後ろから声を掛けられ、俺は振り向いた。

『ジョンスさん。』

『ヘンリー、中へ案内しろ。』

『でも、』

『いいから。』

そう言ってジョンスさんは俺の横を通り先に中に入っていき、前を向き直した。

『...どうぞ。』

そう言って扉を全開にしてくれて、俺は頭を下げて中に入った。

ヘンリーと呼ばれた彼に案内されて部屋に入ると、ジョンスさんがパソコンの前に座っていた。

『よく来たな。』

『あの頃と変わらず、綺麗なところですね。』

そう言うとジョンスさんはこちらを見た。

『ヨンウンの所に行ってたんですか??』

『...あぁ。』

『今でも愛してくれているんですね。ありがとうございます。』

そう言って俺は頭を下げた。

頭を上げてジョンスさんに近づき、テーブルに紙を置いた。

『シウォンの店でキュヒョンが歌います。』

『...。』

『ヒチョル兄さんに渡してください。』

『...ここに居ると思ってるのか??』

『キュヒョンが一人では探せなくて。尚且つ、ヨンウンやヒチョル兄さんの心を落ち着かせることが出来る場所はここしかありません。』

『確信を持ってるんだな。』

そう言われて俺はジョンスさんを見つめた。

『兄さんを必ず連れてきてください。』

『俺が言う通りにすると思うか??』

『そうしてください。』

『...。』

『ジョンスさんの思う通りにしてください。』

『...。』

『...ただ、理解してほしいんです。』

『...。』

『...人生の一分一秒を重ねてきて、共に歩んできたこの日々を無かったことには出来ない。』

『...。』

『...ずっと三人だけの家族で生きてきて、ヨンウンも兄さんも苦しんでた。』

『...。』

『...それでも側に居られれば、力にはなれなくても心は救われる。』

『...。』

『...同じになれなくても、少しは支えてあげたい。』

そう言うとジョンスさんは立ち上がり、側に立った。

『ジョンウン。お前が本当のことを話したら、考えてやる。』

『...意地悪ですね。』

『俺だって同じだ。キュヒョンとお前の恋は後押ししてやりたい。ヒチョルの想いは理解できる。だからといって、側を黙って離れて姿をくらますのは違うとも思ってる。』

『はい。』

『同じだからこそ、お前にも同じように思ってる。』

『...。』

『ヒチョルは知らないんだろ??』

そう言われて俺は椅子に座った。

『キュヒョンは知ってるんですよ。』

『...。』

『あいつと会ったのが病院の屋上だったので。』

『...。』

『...父さんが兄さんには時期を見て、話そうって。だから、ずっと黙ってて。』

『...。』

『...一度、打ち明けようとしたんです。でも、タイミングが悪くて。』

そう言って俺はジョンスさんから視線を外して、机に置いてある写真立てを手にして見つめた。

『...ヨンウンと兄さんを食事に誘って、その時に打ち明けようと思ったんです。』

『...。』

『でも、言えなかった。』

『...。』

『...ヨンウンが倒れたって連絡が入ったんです。』

『...。』

『で、駆け付けたら主治医にもって三ヶ月だろうって。言えなかったんです。』

『...そうか。』

『...でも。もう時期なのかな、とも思います。』

そう言って写真立てを戻して、ジョンスさんを見た。

『...兄弟で過ごしたいって、加えて伝えてもらえますか。』

『...わかった。』

そう言われて俺は立ち上がった。

『じゃあ、俺はこれで。』

『帰るのか??』

『兄さんが帰ってきて鉢合わせしたら、また違うところに行ってしまいますから。』

『そうかもな。』

『それに行くところがあるんです。』

『...そうか。』

そう言ってジョンスさんは歩き出し、ドアを開けた。

『ヘンリー。』

そう呼ぶと彼は走ってきた。

『ジョンウンを送ってやれ。』

『ジョンスさん。一人で帰れます。』

『遠慮するな。』

そう言ってジョンスさんは彼に車の鍵を渡した。

『いいか、ヘンリー。ジョンウンを必ず目的地まで送り届けろ。それで終わるのを待って、家までちゃんと送れ。』

『...過保護すぎませんか??』

『そうですよ、ジョンスさん。』

『足りないくらいだ。本当は俺がやってやりたいくらいだ。』

『...元主治医として??』

そう聞くと彼は驚いたように目を見開き、ジョンスさんはこちらを見た。

『それもそうだが、義弟を気遣う義兄としてだ。』

『ありがとうございます。』

そう言って俺は彼の隣まで歩き、ジョンスさんと向かい合った。

『今日は言う通りにします。』

『そうしてくれ。』

『...兄さんのこと、よろしくお願いします。』

そう言って俺は頭を下げた。

それから彼がジョンスさんと話している間に車へ乗り、渋々車を走らせる彼の車で俺は目的地を目指した。