―   귀를 막고 그대를 들어본다
          ( 耳を塞いで 君を聞いてみる )
         두 눈을 감고 그대를 그려본다
            ( 両目を閉じて 君を描いてみる )
      그댄 흘러갔는데 
           ( 君は流れて行ったのに )
                      그댄 지나갔는데
                             ( 君は過ぎて行ったのに)
       이미 잡힐 수 조차도 없는 기억 속에서
           ( もうつかまえることもできない記憶の中で )



















真夜中、目が覚めたと同時に感じた痛みに俺は身体をぎゅっと縮めた。

しばらくすると仕事用の携帯電話が鳴り、俺は必死に手を伸ばした。

『...っ..。』

手が携帯電話に届く前に体がベッドから落ちて、俺は再び体が小さく縮ませた。

すると部屋のドアが開く音が聞こえて、すぐに体を抱き寄せられた。

『...じょん、す..。』

『話すな。』

そう言っていとも簡単に抱き上げられ、ベッドに寝かせられた。

『少しだけ、耐えてくれ。』

そう言って服の袖を捲られ、腕にチクッとした軽い痛みを感じた。

『...苦しかったな。』

そう言って額や頬に伝う汗をタオルで拭ってくれ、俺は痛みの中に意識が遠退いた。

次に目が覚めた時、掃除機の音が聞こえて視線を向けた。

『...チョウミ。』

『あ、起こしちゃいましたか??すいません』

そう言ってチョウミは掃除機を止めて近づいてきた。

『...お前がマスクを??』

『ホコリが入ったら、大変ですから。』

そう言ってチョウミは手にアルコールを吹きかけた。

『今の内にパッチを交換しましょう。』

『...頼む。』

『任せてください。』

そう言ってチョウミは微笑み、歩き出して机の引き出しを開けてから戻ってきた。

『ボタン、外しますね。』

『ん。』

そう言うとチョウミは丁寧に服のボタンを外し、胸に付いているモノが取り外され新しいモノが貼れた。

『なぁ、チョウミ。』

『なんですか??』

『...外の空気が吸いたい。』

『窓、開けます??』

『...庭に出たい。』

『...。』

『...駄目か??』

『...身体は、平気なんですか??』

『ん。』

『...じゃあ、10分だけですよ。』

そう言ってチョウミは立ち上がり、俺が起き上がろうとするのを手助けしてくれた。

そしてベッドから出た俺はチョウミに支えられながら歩き、中庭へとゆっくり向かった。

中庭に置いてある椅子に座り、俺は深呼吸をした。

『...晴れてて、暖かくて。気持ちいいな。』

『そうですね。』

『...少し一人にしてくれ。』

『...部屋の掃除、済ませてきます。何か飲みますか??』

『いい。』

『...わかりました。』

そう言ってチョウミは背を向けて歩き出した。

一人になり完全に椅子に背を預けて、目を瞑った。

心地よい風と暖かな陽を浴びて、心が少し軽くなっている気がした。

『~♪』

『気分が良さそうだな。』

出てきた音をそのまま出してみると声を掛けられ、目を開けて視線を向けた。

『...ジョンス。』

そう呼ぶとジョンスは目の前にしゃがみ、手を伸ばしてきて額や頬や首など次々に触れてきた。

『...夜中の薬が効いてるみたいだな。』

『...真夜中に手を煩わせて、悪かった。』

『気にするな。これが俺の仕事だ。』

そう言ってジョンスは立ち上がり、少し離れた所に座った。

『それで、お前はこれからどうするつもりだ??』

『...どうするって??』

『本当にこのままでいいのか??』

『...いいんだよ。』

『それでお前は幸せなのか??』

『...俺の幸せは二の次でいい。』

そう言って俺は空を見た。

『...一番大事なのは、キュヒョンとジョンウンの幸せだ。あいつらが幸せなら俺も幸せだし、俺はどうなってもいい。』

『...お前はいつもそうだな。』

そう言われて俺は視線をジョンスに向けた。

『...いつもみたく、呆れたか??』

『...誇らしすぎて、困ってる。』

そう言われて俺はクスッと笑ったが、ジョンスは真剣な目をしていた。

『...ただ。これだけは言っておく。側に居ても居なくても、キュヒョンは泣くぞ??』

『...。』

『...お前が死んだら、キュヒョンは泣く。』

『...っ..。』

『分かるだろ??』

『...だから、今の内から慣れさせるんだろ。』

『ヒチョル。』

『...せいぜい、もって3~4ヶ月だろ??でも、それだけあれば整理くらいはつけられる。』

『ヒチョル。』

『...キュヒョンを愛してるんだ。だから、この恋にピリオドを打ちたい。』

『...。』

『...分かってくれ。』

そう言うとジョンスはため息をついて立ち上がり、歩き出した。

『...お前の想いは理解できる。』

『...。』

『誰だって、できるなら見せたくはないはずだ。好きな人や愛する人に、苦しんでる姿や死にゆく姿を。』

『...あぁ。』

そう言うとジョンスは花壇の近くにしゃがみ、手を伸ばして花びらに触れた。

『...俺は苦しかった。』

『...。』

『ヨンウンが俺の知らないところで苦しんでたって後で知った時、死にゆく姿を見るよりもずっと苦しくてツラかった。』

『...ジョンス。』

『...大切な人が苦しんでるのを後から知ることは、側にいて見続けることよりも苦しいんだ。』

『...っ..。』

『...不甲斐なくて情けなくて、自分が許せなくなる。』

そう言ってジョンスはこちらを見た。

『...医者である前に、恋人として側に居たかった。そういうを大事にしたかったんだ。』

『...。』

『...だからお前の想いは理解できるが、黙って背中を押してはやれない。医者である前に、親友として。』

そう言ってジョンスは立ち上がり、側に来た。

『...話しすぎたな。中に戻ろう。』

そう言って手を差し延べられ、俺はその手を握った。

重なった手は引き寄せられ、俺は立ち上がりジョンスを見た。

『...聞いてもいいか??』

『なんだ??』

『...後悔してないか??』

そう聞くとジョンスは柔らかい笑みを見せた。

『...側に居てやれなかった日々を悔やんだことはあっても、愛した日々を後悔したことは一瞬もない。』

『...。』

『...どんなに苦しくても。どんなにツラくても。愛して過ごしてきた日々は幸せだったし、今でもずっと幸せだ。』

『...増えなくても減らない。』

『そうだ。』

『...強いな。』

『これが愛だ。』

そう言ってジョンスは俺の手を引きながら歩き出した。