このブログで何度も紹介している。福岡市和白にある「珈琲やさん」のオーナー藤岡さん。
私の人生では、こんなに安定して美味しいコーヒーを飲ませてくださるお店はありません。
美味しいコーヒーを飲ませる事に徹底しているため、儲けに走ることもされません。藤岡さんのご年齢を考えた時、この美味しいコーヒーを淹れる伝承者が現れる事を願って止みません。
本屋さんにある珈琲関係の本人紹介されているお店もほとんど行き、リピート率が98%という(自称だと思います)お店の珈琲豆も取り寄せました。
日本人はお茶の文化は素晴らしいものがありますが、コーヒーに関しては情報に踊らされて、自らの舌で判断する文化が育っていない気がします。
ただ、東京の江東区清澄に「クリームクロップカフェ」という自家焙煎の倉庫を利用したお店があり、ここの中煎くらいのコーヒーは美味しかった(最後まで飲めました)です。
先日亡き、樹木希林さんが出演した「あん」という映画ビデオで見ました。2回目なのですが、1回めの時は、「珈琲やさん」の藤岡さんに出会っていませんでした。
「あん」の中で、樹木希林さん演じる、ハンセン病患者の徳江さんが、小豆を煮て「あん」を作る時に、小豆にこれまでどんな人生を歩いて来たんだと語りかけ、想像しながら美味しい「あん」を作っていくシーンがありました。
作り手の優しさがしっかり描かれていました。
「珈琲やさん」の藤岡さんはいつも、自分にとってお客さんは二番目、1番は珈琲豆の生産者の事を思って、最高に美味しいコーヒーに仕上げる事を考えているとおっしゃってます。
個人的にはコロンビアの豆が好きなのですが、毎年豆のできが違うので、焙煎の仕方を微調整している、そして毎日の気温や湿度も考慮して、さらに焙煎度合いを調整しているそうです。
どの世界でもそうですが、本当に一流の方は決して自分を売り込みません。今はSNSの時代なので、情報に踊らされで我が身我が身体で体験する事が少なくなっています。
名もなく、マスメディアでも紹介される事なく、それでも本物を追求してきた方や、その物に出会うと生きてきて良かったと思います。
世阿弥の「秘すれば花」という言葉は有名ですが、本物は「秘しても花」なんだなと感じます。そしてその花は決してアピールしない。
藤岡さんの珈琲を伝承する若い世代の人物が現れないかなと切に思っています。
私にできることは、このブログで紹介する事だけです。
九州に福岡に用事で来られた際は、是非お立ち寄りください。
自宅で一杯の珈琲を朝早く淹れて飲むと、何となく人生の豊かさを感じます。
最後に、樹木希林さんの演技は「モリのいる場所」もそうでしたが、あそこまで自然な演技ができるのだなと感動します。
藤岡さんの淹れる一杯のコーヒーと繋がります。
余談ですが、亡き高倉健さんは珈琲好きで有名でしたが、高倉さんも何度か藤岡さんの珈琲を求めて飲まれていたようです。(この件はたまたま藤岡さんが話されただけで、自ら話題に出す方はありません)
名人は名人を知る世界です。
本日も、最後までお付き合いいただきありがとうございました。