わたしは小さな庭に1本のレモンを植えている。
毎年花をを咲かせてくれてから、結実~黄色く色づいて収穫するまでの間、ほぼ1年の長きにわたり、その成長を眺め・・・台風の日も雪の日も、激しい風の吹き荒れる日も共に乗り切って過ごすのです。
うちのレモンはレモンなのに甘く・・・珍しい品種なのです。
だから家族は皆このレモンの収穫を待ち望んでいるのです。
さて今年も収穫が目前だ☆みんな良い色に染まってきたね~
わたしは日々この子たちを眺めて過ごしてきているので、この子たちの変化は見落としません。
年末くらいから悲劇は始まりました・・・
ほんの数個、いなくなっているのです。
また一つ二つ・・・
ああ、また・・・
そして今日もまた・・・
あの子たちに話せる口があったならきっとこう言ったに違いありません。
お父さん!助けて!!!
・・・悔しいです。
まだ熟していないのです。今食べても最高の味じゃないのです。
それに、そんなに欲しいなら分けてくれませんかと言ってもらいたいのです。
私は喜んで差し上げたでしょうに・・・
あの子たちはあと少しで成熟できたのに、その夢を断たれ・・・見知らぬ盗人に連れ去られてしまった・・・
恥を知らない人というのは、いつの時代もいるものですね。
わたしはああいう恥ずかしい生き方はしたくありません。
・・・人・・・と呼べるでしょうか?
・・・猿・・・と呼んだ方が適切では?
と、嫌な思いすら胸をよぎる・・・
泥棒さんへ
わたしはあの子たちを大切に思いを込めて育てています。
どうかわたしの可愛いレモンを、あなたの欲望を満たすために悲しませないでください・・・。