暑い。シャツは汗でびしょびしょに濡れている。上のスチールの階段から彼らの足音が聞こえる。多分4、5人かな。あまり急いでいる感じはしないけど、声は勢いをつけている。周りを見ると逃げる場所は全くない。階段を使わないと多分無理だ。
美味しいご飯を食べさしてくれてデザートも。アイスクリームはブラウニーの上に半分溶けたし。この「男のクラブ」結構前からメンバーになりたかった。ブラウニーの最初の一口で歯が痛い位甘さもあった。二口目を食べた時に硬いモノにあたった。歯が抜けちゃったかと思った瞬間、口からビー玉を取り出した。周りに見ると皆がジロジロ見ていた。隣に座っていた男はビー玉に気がついて叫び始めた。「ここだ!ここだ!」と。ホールは歓声のあらしになった。ステージの方まで連れていかれる間に「大当たりだ!大当たりだ!大当たりだ!」と皆、掛け声をあげた。「当たった人がいるぞ」とマスターC は言った。「メンバーの初日でメズラシイ!」と続けて言った。二人のメンバーが彼の方へよって来て手を掴んだ。ちょっと痛かったけど、我慢出来るぐらいだった。後ろからシェフの帽子が見えた。何が出るかと楽しみだった。シェフの顔が群衆から現れた。隣の二人は笑顔を見せながら、手をもっとしっかり掴んで来た。突然、緊張感が出て逃げたかったけど、あの二人がねじりながら手をしっかりと締めつけた。シェフがエプロンからナイフを出した瞬間に逃げようとしたけれど、二人は手を離してくれなかった。引っ張ったり押したりして一瞬、隙を見つけて逃げられた。ホールのドアを探しながら皆の「大当たりだ!大当たりだ」の声が聞こえた。やっとドア見つけて階段を降りた。
これ以上逃げる場所はないと彼は思いながら周りを見ている。セメントの壁しかない。すぐ上に階段を降りる足音が聞こえる。階段のレールから角刈りで縁取られた丸い顔が覗き込んでいる。「見つけたぞ」と。
