今年の1月から始まったNHKの大河ドラマは「光る君へ」。
熱心に見ているので、そのタイトルにあやかって、「光る作品」をご紹介させていただこうと思います。
紫式部が書いた「源氏物語」が世に出たのは、今から1000年以上も前。
千年も前に、このような光輝く物語を女性が書いた、ということは、すごいことだと改めて感銘を受けます。
高校時代に、頑張って「源氏物語」を原文で第二帖まで読みました。
本当は五十四帖を全部読みたかったのですが、解説書と首っ引きで原文に当たるのは時間も半端なくかかり、
二帖でとん挫したのです。
物語が始まる一帖は「桐壺」、次の二帖は「帚木」。
帚木は「雨夜の品定め」とも呼ばれ、17歳になった光源氏が、夏の雨の夜に仲間の「男子」とともに
「どんな女性がいいか」という「品定め」をするくだりです。
内容はすっかり忘れましたが、夏の蒸し暑い夜に絶世の美男子、「光源氏」が、着物の襟を「しどけなく」緩めて、
くつろぎながら語り合う姿を、いたく想像したのをよく覚えています。
ここに書かれた「しどけなく」という言葉が、そのまま若き貴公子、光源氏の美しくもなまめかしい姿を浮かび上がらせたのです。
さて、「光る作品」のご紹介です。
大きく膨らんだ斜面に切り込みを入れる課題です。
ふっくらとしたソファでくつろぐ女の子の絵の中のエレメントを、
額装にうまく採り入れて「光って」います。
ソファの後ろのライン、ランプのコードの延長線上にコンセント(斜面の中)、
ランプシェードの赤のラインなど。
遊び心いっぱいで楽しい額装です。
ご自身のシャドーの作品を額装されました。
シャドー作品のまわりの色遣いが絶妙で、
ただもう、「きれい!」と見入ってしまう作品です。
丁寧な作業も「光って」います。
ドキュモン(額装されている絵)はウィーン世紀末の画家、エゴン・シーレの絵です。
額装は、1㎜厚マット紙を、4つの部分に切り分けて立体的に見せるデザインです。
画面の上に少し見える服のグリーンが印象的で、
額装にもどこかにこのグリーンを入れようと画策しましたが、
やはりグリーは入れず、(入れられず)
アイボリーだけの額装になりました。
フレームも手作りです。
格調の高さが「光る」作品です。
お勤めの会社の「創業20周年」のイベントを飾る誉れ高い作品です。
額装されているカラフルな手拭いは、創業10周年の年に配られたものだそうで、
その当時はまだ入社していなかったため、周りのかたから手拭いをお借りして額装されました。
手拭いを丸めてならべる見せ方や、ルリエフ(浮彫)やゴルジュ(溝)をいれた白のマットなど、
完璧な出来栄えです。
社内でもお褒めの言葉をいただいたそうです。
嬉しい限りです。
ゴッホの「ひまわり」の絵のカードを額装されました。
額装の課題は、絵のまわりの空間に、絵にちなんだ「アクセサリ」を
創作して置く、というものです。
ゴッホのひまわりを、紙とボタンで表現して縦に並べられています。
創作した紙のひまわりの色や、パヴェ(絵を載せてある台座)の下に巻かれた化粧紙の色が
優れて美しく、魅入られます。
絵のまわりに独立した斜面を置くデザインです。
白のベースに置かれた白の斜面、その中央を貫いているモスグリーンのラインが印象的で
不思議な魅力のある作品です。
ドキュモンは、「ガスで、温かい湯がたっぷりと使えるようになる」
と書かれたビュバー(広告入りインク吸い取り紙)です。
熱い「湯けむり」を、ひねりを入れた紙で表現してみては?
というアイデアはよかったのですが、
実際にこれを制作して見ると、たくさんの困難がありました。
実に、さまざまな工夫でこの困難を乗り越えて制作された作品は、
どこにもないレアリザシオン(作品)となり、とても輝いています。
「光る作品」
次回に続きます。
「光る君へ」とともに。