ガラッ
アルミ製の古い玄関引き戸が開いた。
「どうかね。江藤君。」
「いつも、お世話になっております。」
社長、20分後に、ご帰還。
今日もお酒の香り付で素敵だ。
「それは、そうと江藤君。2万円程負けりぃ。」
社長は表情一つ変えずに当り前のように真顔で言った。
ああ。
ああ。今回の現場のことが走馬灯のように蘇る。
やっぱりか。
ここで、値切るか。
一生懸命さは伝わらなかったか。
愛敬が振りまき足らなかったか。
逆に振りまき過ぎたか。
負けるのか?
また、負けるのか?
どうする?
どうする!?